こんにちは。大宮SHIN矯正歯科の院長 矢野です。

昔から利用されているブラケットを用いたワイヤー矯正と、近年シェアを伸ばしているマウスピース型矯正装置(インビザライン)。どちらも歯並びを治すのに効果的な装置ですが、症例によって向き不向きがあります。

マウスピース矯正装置で治りやすい歯並び

少しずつ形の異なるマウスピースを交換しながら、歯並びを整えていくマウスピース型矯正装置(インビザライン)は、一般的にワイヤー矯正よりもやや治療期間が長くなると言われていますが、実はマウスピースの方がスムーズに矯正治療が進む症例もあります。

-かみ合わせが深く、ブラケットが付きにくい歯並び

過蓋咬合

上の前歯が下の前歯を深く覆ってしまっている歯並びです。

歯科用語では過蓋咬合(かがいこうごう)と呼ばれるこの歯並びの場合、ワイヤー矯正だと下の前歯のブラケットが上の前歯の裏側に当たってしまい、ブラケットが外れやすくなってしまいます。

しかし、マウスピースであれば、器具の脱離の心配なくスムーズに治療を進めていくことができます。

過蓋咬合をマウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療した症例はこちら

-被せ物をしている歯が多い歯並び

虫歯の治療などで、歯に金属やセラミックの人工歯のかぶせ物が多く入っている歯並びは、ワイヤー矯正のブラケットがつきにくく外れやすくなる可能性があります。

ブラケットを歯面つける時に使用する接着剤と人工歯は相性があまりよくないからです。

-歯を大きく動かす必要のない歯並び

ガタガタが少なく、歯の移動量が少ない歯並びは、マウスピース型矯正装置(インビザライン)でも比較的、短期間で歯並びが綺麗になります。

-むし歯になりやすい歯並び

この場合の「むし歯になりやすい」とはカリエスリスクが高い人のことを言います。

カリエスリスクとは、虫歯になる危険度のことです。歯の性質、食習慣、唾液の量や性質、お口の中の細菌量は人によって異なり、むし歯になりやすい歯の人がいます。

患者さまご自身では装置を外すことができないワイヤー矯正は、約2年程度の治療期間中ずっと歯に装置がついたままです。そのため、歯ブラシがしっかりできないとむし歯になりやすい環境です。

矯正治療の途中でむし歯ができた場合によっては、矯正器具の一部を外してむし歯の治療を行う必要が出てくることがあり、治療期間が延びてしまう可能性があります。

マウスピースで矯正する場合は、ご自身で装置を外して歯ブラシができますので、虫歯のリスクが少ないのがメリットです。

-金属アレルギーがある歯並び

ワイヤー矯正に用いるブラケットやワイヤーの多くは金属でできています。

アレルギー対応のものもありますが、もし使ってみて身体に合わなかった場合は、装置や治療法を途中で変更することになります。

初めから金属アレルギーの可能性がある方には、マウスピース型矯正装置の方をおすすめしてます。

ワイヤーかマウスピースどっちがいい?矯正装置の選び方

自分の歯並びの状態をきちんと把握する

このように歯並びによっては、マウスピースかワイヤー、どちらの矯正装置を選ぶかで治療期間や歯の動き方が変わることがあります。

そのため、きちんとした医療機関で検査を行い、現在のお口の中の状態をしっかり確認した上で、ご自身に合った治療方法を選んで頂くことが重要です。

ライフスタイルを把握する

歯並びだけでなくライフスタイルによって、マウスピースかワイヤーどちらの装置が適しているかが変わってきます。

矯正治療中であることが周囲に知られたくない方や痛みに弱い方は、マウスピースの方が良いでしょう。一方、付けたり外したりして装着時間の管理が面倒という方はワイヤー矯正がおすすめです。

それぞれの矯正器具のメリットデメリットを理解する

上記を踏まえた上で、矯正治療を始める際は、それぞれの矯正器具のメリット・デメリットを理解した上で、ご自身に合う治療法を選んでいただくことが重要です。

症例によっては、マウスピースでとワイヤー治療を組み合わせ、両方の利点を取り入れて治療を行っていくことも可能です。矯正専門医とよく相談をして、装置や治療法を選びましょう。