こんにちは。埼玉県さいたま市の大宮SHIN矯正歯科 院長の矢野です。

矯正装置というとパッと思い浮かぶ、ワイヤー矯正やマウスピース矯正装置(インビザライン)のほかに、これらと併用して使用する補助装置があります。今回はそうした補助装置の中のひとつ、カリエールについてご説明します。

カリエールとは


カリエールは上下どちらか片顎の前から3番目と6番目の歯に直接装着して、対合の前から6番目の歯にボタンをつけ、顎間ゴムを使って矢印のように奥歯を後に移動させるための補助装置です。奥歯のかみ合わせの位置によって、上顎につける場合と下顎に装着する場合があります。

カリエールってどんな歯並びの人が使うの?


奥歯のかみ合わせを大きく動かす処置が必要な方に使用します。カリエールは奥歯を効率よく後ろに移動させ、歯が並ぶスペース不足を改善し、奥歯が正しい位置でかみ合うようにします。

正しい奥歯の位置とは?

上下の第一大臼歯が下の写真のようにかみ合っていれば、奥歯の歯並びに問題はありません。

しかし…

2級カリエール

上の写真のように、正常といわれる位置より上顎の奥歯が前方に出ている場合は、上顎にカリエールを、下の写真のように、下顎の奥歯の方が前に出ている場合は下顎にカリエールを装着し、それぞれカリエールがついている奥歯を後方へ移動させ、歯が並ぶためのスペースを確保します。

3級カリエール

上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、叢生(ガタガタ)の歯並びで、奥歯の位置関係に問題がある方にカリエールを使用します。大人だけでなく、子どもの矯正治療にも使用します。

カリエールの使い方


↓カリエールはこのように歯に装着しています↓

カリエールは、基本的にはワイヤー矯正のためのブラケットやマウスピース矯正装置(インビザライン)を使用する前段階の処置として、数ヶ月間装着します。カリエールが付く方と反対側の歯列は、固定源なので歯が動かないようにマウスピースを装着します。

そして最も重要なのが、1日20時間以上顎間ゴムをかけることです。このゴムかけは患者さまに協力していただかないとカリエールの効果が得られません。

カリエールを補助装置として使用する3つメリット


①治療期間の短縮

カリーエルは、犬歯、小臼歯、大臼歯の奥歯4〜5本を、同時に効率良く後ろへ移動することができます。そのため、カリエールを使用しなかった場合の3割程度、治療期間を短縮できると言われています。例)2年半かかると言われた治療期間が約1年

②歯を抜かないで矯正できる

歯を抜かないと治せなかった症例が、カリエールを使って後ろに歯を動かしてスペースを作ることで、歯を抜かずに治療できるようになりました。ただし、抜歯してさらにカリエールを使用する場合もあります。

③子どもの矯正治療にも使用できる

カリエールは大人の矯正治療だけでなく、子どもの歯から大人の歯に生え変わっている最中のお子さまの矯正治療にも使用できます。

カリエールのデメリット


ゴムかけをしないと効果が得られないということです!!基本的にお食事の時と歯磨き以外はゴムをかけます。これはマウスピース矯正装置(インビザライン)の使用方法と同じですね。そしてもうひとつ、カリエールを付ける歯が被せ物の場合もカリエールは使用できません。

カリエールがお口の中についている様子


上顎にカリエールが付いた症例

下顎にカリエールがついた症例

カリエールに関するよくある質問


①しゃべりづらくならない?

カリエールを付けた直後は違和感があってしゃべりにくく感じる場合もあるかもしれません。でも、歯の外側につける装置なので、舌に触れることはなく日常生活の滑舌には影響はありません。

②食べ辛くない?

お食事の時はゴムとマウスピースを外すので、食べ辛くはありません。しかし、カリエールの装置に食べ物が挟まりやすくなるので、葉物やえのきなど絡まりやすい食べ物は気をつけましょう。

飲み物はゴムをかけたまま飲むこともできますが、お水がおすすめです。お茶やコーヒー、ジュースなどを飲む時はお食事と一緒に飲みましょう。基本的に飲食時の注意点はマウスピース矯正装置(インビザライン)の時と同じです。

↓関連記事↓

【ワイヤー矯正】歯にブラケットが付いている時に注意する5つの食べ物と食べ方のコツ

③痛くない?

痛みの感じ方は個人差があるようです。ゴムをかける時に痛みを感じるという方方がいらっしゃいます。しかし、だんだん歯間に隙間ができて変化が目に見えてくると、痛みも歯が動いているというモチベーションに変わるようです。

④目立たない?

カリエールが登場したときは金属のものしかなく、存在感は否めませんでしたが、最近はカリエールクリアという透明の樹脂タイプのものがあり、目立つ見た目は克服されています。

⑤金属アレルギーでも使えますか?

比較的アレルギーの起こりにくい、ニッケルチタン合金、ポリエステルといった材質でできています。


治療期間が短くなる、抜歯しないで歯並びがきれいになるなど、魅力的な効果がたくさんのカリエールですが、適応症例が限られています。歯並びでお悩みの方は、マスク生活が続く今のうちに、ぜひ矯正歯科で相談してみてはいかがでしょうか。

当院は初診無料カウンセリングを行っております!ひとりひとりの歯並びや生活スタイルに寄り添った改善の方法をご提案します。