マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯列矯正治療を行なっている途中で歯と歯の間を削る場合があります。IPR「InterProximal Reduction」アイピーアールまたはディスキングストリッピングと呼ばれます。

 

今日はIPR処置についてご説明します。

 

 

 

 

 

 

 

IPRの目的


 

 

 

IPRは、歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保するために行います。

 

 

 

歯が重なっていて歯並びが凸凹していたり、前突(出っ歯)や受け口を改善するには、歯列にスペースが必要になります。

 

 

従来の矯正治療では、一部の歯を抜歯することでそのスペースを確保していました。

 

 

インビザライン ではなるべく抜歯を行わない代わりに、歯と歯の間を削ることで隙間を作ります。

 

 

 

IPRの安全性


 

健康な歯を削ることに、抵抗を感じる方がいらっしゃると思いますが、IPRによって虫歯になることはありません。

 

 

図のように歯肉から上の歯の構造は3層になっています。IPRで削るのは歯の表面、一番外側のエナメル質の部分です。エナメル質の厚み2〜3ミリに対して、IPRで削る量は最大0.25ミリ。『削る』というよりは『やする』感覚です。

 

 

歯が薄くなったり、虫歯のリスクが高まるといった心配はいりません。むしろIPRされたエナメル質の歯面のほうが再石灰化を引き起こし、虫歯に対して強くなるという報告もあります。

 

 

 

下の写真のような器具を、歯と歯の間の隙間に入れ、前後に引いて空隙を作ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エナメル質は人間の体の中で最も硬い組織で、水晶と同じくらいの硬さがあります。歯に対する様々な外部刺激から歯髄(歯の神経が通っている部分)を守るということが最大の役割で、エナメル質自体は神経が通っていないので削っても痛みを感じることはありません。

 

 

しかし、削る際の振動が響くので、それが不快に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

 

 

IPRのメリット


 

iTeloでスキャンした歯型をもとに、精密な3Dシュミレーション(治療計画)によって、歯列が正しい位置に並ぶために必要なスペースの最適な位置と量が予測できるようになりました。治療開始から何週間目にどこの位置を何ミリ削るか、ということも事前にわかります。

 

 

 

 

その結果、できるだけ歯を抜かない矯正治療が可能になり、適切なIPRは治療期間の短縮にも繋がります。

 

 

 

歯並びの凸凹具合によっては、抜歯もIPRもしないで矯正できることもありますが、どちらかの処置が必要になる場合がほとんどです。

 

 

 

まとめ


 

 

植物や農作物を育てるときに、「間引き」という作業があるのをご存知ですか?

 

芽や苗の状態で隙間なく密集している植物は、「間引き」の作業をして、植物同士の間に隙間を作ってあげないと実が大きく育つことができません。また、そのままにしておくと栄養が行き渡らず、それぞれの植物はやせ細ってしまいます。

せっかくたくさんの芽が出たとしても全てが不作になってしまうのです。

 

 

歯列矯正治療において抜歯やIPRは健康な歯を保つための「間引き」だと思ってください。