こんにちは。さいたま市 大宮SHIN矯正歯科、院長の矢野です。

「歯列矯正をしたら、ブラックトライアングルができてしまった」という声を聞くことはありませんか?

ブラックトライアングルとは、 歯の付け根と付け根の間にできてしまう隙間のことで、黒く三角形になっている見た目からそのように呼ばれています。

ブラックトライアングルは、前歯のよく見える位置に発生します。

ブラックトライアングルができる原因

ブラックトライアングルができてしまう主な原因は、加齢によるものです。年齢を重ねるにつれ歯を支えている骨が痩せていき、歯肉の位置が下がってきます。歯の形は下に行くほど細くなっていますので、歯の付け根にすきまができてしまいます。そのほかの原因として、以下のことが考えられます。

-歯肉退縮

矯正治療によって歯の位置が移動すると、歯周組織(歯肉)の位置も変化することがあります。特に歯肉が薄い場合や元々歯肉が後退していた場合、歯の間に隙間ができやすくなります。

-歯の形や大きさの変化

歯列矯正で歯を動かす過程で、歯の角度や位置が変わることにより、隣接する歯の接触面が変化し、隙間が生じることがあります。

矮小歯と呼ばれる特に小さい歯や、または歯の形状が逆三角形の場合に生じやすくなります。そのため、叢生(そうせい)と呼ばれる凸凹が強い歯並びは、矯正治療をして歯並びが改善されるとブラックトライアングルが目立つと言われています。

叢生の歯並び

-歯周病や不十分な歯周ケア

そのほかの原因として、口腔内の清掃状態の悪さによるもの、歯の磨き方によるもの、必要以上に歯ブラシで強くこすってしまうと、ブラッシング圧の強さにより、歯肉がすり減ってしまい歯と歯の間にすきまができてしまいます。

ブラックトライアングルが与える主な影響

-審美的な影響

 最も顕著な影響は、審美性の低下です。

-歯肉の健康への影響

歯間に隙間ができると、歯垢や食べかすが詰まりやすくなり、歯周病や虫歯のリスクが高まります。ブラックトライアングルのある部分はブラッシングが難しくなるため、歯周病の予防が難しくなります。

-機能的な影響

歯間の隙間が大きくなると、発音に影響を与えることがあるかもしれません。

ブラックトライアングルの対処法

―適切な歯磨きと歯周ケア

 ワイヤー矯正治療中は歯周病が進行しやすいため、ブラケットやワイヤーに配慮しつつ、丁寧に歯磨きすることが重要です。定期的に歯科医によるクリーニングやチェックを受けることも有効です。

―矯正治療の方法

歯と歯の間のコンタクトポイントにやすりがけをして隙間をつくるIPR(アイピーアール)という処置をして、矯正装置にて隙間を閉じることで、ブラックトライアングルを目立たなくすることができます。

健康な歯を削ることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、IPRで削る歯の量はごくわずかです。むし歯になるのでは…といった心配は無用ですが、そのため、歯の形やブラックトライアングルの大きさによっては改善されない場合もあります。

ここから紹介する方法は当院では行っていません。ご希望の方は紹介状をお出ししますのでドクターまたはスタッフにお伝えください。

―補綴治療による方法

①ラミネートべニア(セラミックの薄いシェル)を歯の表面に貼り付ける治療法

この治療法は、主に歯の形態や色調の改善するために使用されますが、矯正治療後やブラックトライアングルができてしまった場合でも治療することができます。

ラミネートべニアにて治療後も、口腔ケアを怠らずに行うことが重要です。特に、歯と歯の間の衛生状態を維持するために、定期的な歯科医院でのチェックやクリーニングを受けることが推奨されます。

②コンポジットレジンにて歯冠形態を修正する治療法

コンポジットレジンとは、小さなむし歯や歯の欠けを修復する際に使用する、液体やペースト状の歯に直接盛り付けて固めるレジンです。

歯の色に合わせて調整できるため、自然な仕上がりを目指せます。短時間で治療が完了し、セラミック治療などと比較してコストが抑えられることがメリットです。

③歯周外科治療

歯肉の再建をすることにより歯と歯の間の隙間を減らすことができます。

必要に応じて、患者様自身の口腔内から歯肉を採取して、歯間の隙間を埋める場所に移植することがあります。

この治療方法により、歯肉の健康が回復し、ブラックトライアングルが解消されることが期待できますが、手術後のケアと定期的な歯周検診が重要です。

ブラックトライアングルを予防するには

歯茎へ強い刺激がかかると歯肉が退縮し、ブラックトライアングルができやすくなります。

歯茎や歯の健康を維持し、隙間ができないようにするには、正しい歯磨き習慣を身につけることで予防できます。

優しく磨く

歯茎を傷つけないように、柔らかめの歯ブラシを使用し、鉛筆を持つときと同じような持ち方で歯を磨くと適切な力で歯磨きができます。

歯と歯茎の境目を丁寧に清掃

歯茎のポケット部分を軽くマッサージするように磨くようにしましょう。

デンタルフロスや歯間ブラシを使用

-歯の表面だけでなく歯間の汚れがたまらないように、日頃からフロスや歯間ブラシを使って歯茎に汚れが溜まるのを防ぎます。