歯の矯正治療というと、ひと昔前まではワイヤー矯正が主流でしたが現在はマウスピース矯正装置もだいぶ一般的になりました。
そして最近では、ワイヤーとマウスピース矯正装置を併用した治療を行うことが増えてきました。
この2つの装置を併用した歯列矯正は2パターンがあります。
このブログでは、①の初めはワイヤー矯正でのちにマウスピース矯正装置(インビザライン)に移行する治療方法についてお伝えします。
- ②のマウスピース矯正装置からワイヤー矯正に移行する治療についてはこちらのブログをご覧ください。
- マウスピース型矯正装置におけるリカバリーテクニックについて①
- マウスピース型矯正装置におけるリカバリーテクニックについて②
目次
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)の併用とは?
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)の併用とは、その名の通り透明なマウスピース型の矯正装置(インビザライン)と従来のワイヤー矯正を組み合わせて行う矯正治療の方法です。
それぞれの装置のメリットを活かして、より効果的な矯正治療を行うことを目的としています。最初にワイヤー矯正を行い、大きな移動が完了した後にマウスピースで最終調整をします。
ハイブリッド矯正やコンビネーション治療と呼ばれることもあるようです。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)を併用するメリット
目立ちにくい透明のマウスピース矯正装置は審美性が高く、取り外しができるため、治療中の患者さまの負担が少ないことがメリットです。
一方、ワイヤー矯正はより強力な矯正力を持つため、歯の大きな移動や回転が必要な場合に有効です。
両者を組み合わせることで、それぞれの治療法の長所を活かし、効率的に歯並びを整えることができます。
歯並びによっては、マウスピース矯正装置(インビザライン)単独で治療するより治療期間を短縮できる場合があります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン )の併用が適している方
当院でマウスピース矯正装置(インビザライン)で治療ができない歯並びはほとんどありませんが、次のような歯並びの方は、マウスピースのみで矯正を行った場合、治療にかかる期間が長くなる可能性があります。
◾️歯が前後にずれた状態で生えており、ガタガタの度合いが大きい(重度叢生)
◾️歯のガタガタは少ないが、抜歯の必要がある(上顎前突・上下顎前突)
◾️奥歯のかみ合わせが左右にずれている(鋏状咬合)
そこで、最初の数ヶ月〜1年間ほどは歯にブラケットを装着しワイヤー矯正を行い、その後マウスピース矯正装置(インビザライン)による矯正を行います。
もしマウスピースのみで矯正治療を行った場合、歯を動かすのに4年以上かかる可能性がある治療期間を、装置を併用することで短縮できます。
また、成人式や結婚式などのライフイベントを控えた方にもおすすめです。目標とする日までワイヤー矯正で歯を動かし、イベントに合わせてワイヤーから目立ちにくいマウスピースに装置を交換して治療を行います。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)を併用した治療の費用は?
当院では、マウスピース矯正装置(インビザライン)で治療する場合の金額と同じ治療費です。ワイヤーの追加料金などはかかりません。
ただし、ワイヤーをより目立ちにくいホワイトワイヤーにした場合は追加費用がかかります。
治療費の詳細はこちらをご覧ください。
ホワイトワイヤーとは、ワイヤーを白色に塗装した矯正装置です。
白い色をしているため目立ちにくく、治療期間中のお口の見た目がより自然な印象になります。機能面は従来の矯正装置と変わらず、幅広い症例に対応できます。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)を併用して治療した症例
出っ歯を気にして来院された患者さまです。歯並びのガタガタはありませんが、出っ歯を改善するために上下左右1本ずつ合計4本の歯を抜歯しました。
治療期間のことを気にされており、適した矯正装置であればこだわりが無いとのことでしたので、ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)を併用して治療を行いました。
抜歯した隙間を閉じるために矯正用アンカースクリューも使用しました。
- 主訴:出っ歯、横顔の口元の突出、ガミースマイルが気になる
- 診断名:上顎前突
- 初診時年齢:23歳
- 治療装置:表側ワイヤー矯正、矯正用アンカースクリュー、マウスピース矯正装置(インビザライン)
- 抜歯箇所:上下左右第一小臼歯
- 治療期間:ワイヤー矯正16ヶ月間・マウスピース矯正装置(インビザライン)9ヶ月間
- リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り
- 費用:1,012,000円(税込)
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)を併用した治療の注意点
固定式のワイヤー矯正と違って、マウスピースは取り外しができるので適合など自己管理が重要になり、それぞれの装置の変化に慣れる必要があります。
その他、ワイヤー矯正からマウスピース矯正装置に切り替える時に、しばらく装置制作のため治療がストップする期間があります。それでもマウスピース単独で歯を動かすよりは効率が良いでしょう。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正装置(インビザライン)の併用は、複雑な歯並びや、早期に矯正治療の効果を実感したい患者さまに向いています。
とはいえ、それぞれの方法をどのタイミングで使用するか、またどの部分に使用するかは、患者さまの歯並びによって異なります。直接、歯科医師と相談して治療計画を立てることが大切です。