マウスピース型矯正装置で歯が動かないと感じたときに確認したいポイント

2026.04.16UPDATE:2026.04.15

マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動かないと感じたら、まず確認すべきこと

マウスピース型矯正装置(インビザライン)を始めたものの、「本当に歯が動いているのかな・・・」と不安になることはありませんか?

透明で目立たないマウスピース型矯正装置(インビザライン)は、ワイヤー矯正と異なり、歯の動きが目に見えにくいという特徴があります。そのため、治療が順調に進んでいるのか、患者さまご自身では判断しにくいことがあります。

実際に、マウスピース型矯正装置(インビザライン)で「歯が動かない」と感じる方もいらっしゃいます。しかし、その中には、対応によって治療経過が調整される場合もあります。

この記事では、マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動かないと感じたときに確認すべき6つのポイントを、矯正専門医の視点から詳しく解説します。治療経過を確認するためのチェックポイントと対処法を知ることで、安心して治療を進めるための参考になります。

【ポイント1】装着時間が不足していないか確認する

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は一般的に1日20時間以上の装着が推奨されています。

これは、歯を動かすために持続的な力をかけ続ける必要があるためです。装着時間が短いと、歯が元の位置に戻ろうとする力が働き、計画通りに歯の移動が進まない場合があります。

装着時間が不足する主な原因

装着時間が不足してしまう理由として、以下のようなケースがあります。

  • 食事の時間が長い・・・会食や外食が多い方は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を外している時間が長くなりがちです。
  • 装着を忘れてしまう・・・特に就寝前や食後に装着し忘れることがあります。
  • 違和感や痛みで外してしまう・・・慣れるまでの期間、つい外してしまうことがあります。
  • 人前で外すのが面倒・・・トイレなどで取り外すのが煩わしく感じることがあります。

装着時間を確保するための工夫

装着時間を確保するためには、以下のような工夫が効果的です。

  • スマホのアラームを活用する・・・食後30分後にアラームを設定し、装着を習慣化します。
  • 専用ケースを常に持ち歩く・・・外出先でも安全に保管でき、紛失を防ぎます。
  • 食事時間を意識的に短くする・・・だらだら食べを避け、メリハリをつけます。
  • 装着記録をつける・・・専用アプリやメモで装着時間を可視化します。

当院では、遠隔モニタリング(デンタルモニタリング)を導入しています。スマホで口の中を撮影するだけでAIと矯正医が治療経過の確認に活用しています。装着状況も確認できるため、自己管理がしやすくなります。

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【ポイント2】マウスピース型矯正装置(インビザライン)の適合状態をチェックする

マウスピース型矯正装置(インビザライン)が歯にしっかりフィットしていないと、適切な力がかからず、歯の移動が進みにくくなる場合があります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)と歯の間に隙間がある場合、治療計画通りに歯が動いていない可能性があります。

適合不良が起こる原因

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の適合が悪くなる原因として、以下が考えられます。

  • 装着時間の不足・・・前述の通り、装着時間が短いと歯が計画通りに動かず、次のステージのマウスピース型矯正装置(インビザライン)が合わなくなります。
  • チューイーの使用不足・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)を装着した後、チューイー(シリコン製の棒)をしっかり噛むことで、マウスピース型矯正装置(インビザライン)が歯に密着します。これを怠ると適合が悪くなります。
  • マウスピース型矯正装置(インビザライン)の変形・・・熱湯で洗浄したり、不適切な保管をしたりすると、マウスピース型矯正装置(インビザライン)が変形することがあります。
  • 歯の移動速度の個人差・・・骨の硬さや年齢などにより、歯の動く速度には個人差があります。

適合状態を確認する方法

ご自身でできる適合状態の確認方法は以下の通りです。

  • 鏡で見て隙間がないか確認する・・・特に前歯部分に隙間がないかチェックします。
  • 指で押してみる・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)を装着した状態で、指で軽く押してみて、浮いている感じがないか確認します。
  • チューイーを使用する・・・装着後、できるだけチューイーを5~10分程度しっかり噛みます。

適合が悪いと感じたら、すぐに担当医に相談することが大切です。無理に次のステージに進むと、治療計画が狂ってしまう可能性があります。

【ポイント3】歯周病や虫歯がないか確認する

歯周病や虫歯があると、矯正治療に大きな影響を及ぼします。

特に重度の歯周病がある場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を含む矯正治療の適応が慎重に判断される場合があります。

歯周病が矯正治療に与える影響

歯周病は、歯の周辺組織である歯茎が腫れたり、歯を支える顎の骨が溶けたりしてしまう病気です。歯周病が進行し、歯茎の炎症や歯槽骨の吸収が進んでいる状態で矯正力を加えると、以下のようなリスクがあります。

  • 歯周病の症状が悪化する・・・炎症がさらに進行します。
  • 歯の揺れが大きくなる・・・歯を支える骨が弱っているため、不安定になります。
  • 重度の場合、歯の状態が悪化する可能性・・・矯正力が加わることで、歯を失う可能性があります。

中等度~重度の歯周病に罹患している場合は、矯正治療を始める前に、まず歯周病治療を優先します。歯周組織が健康な状態になってから、改めて矯正治療の可否を判断します。

虫歯が矯正治療に与える影響

虫歯がある状態で矯正治療を進めると、以下のような問題が生じます。

  • 虫歯が進行する・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)で覆われることで、虫歯菌が繁殖しやすくなります。
  • 痛みが出る・・・矯正力が加わることで、虫歯の痛みが増すことがあります。
  • 治療計画が変わる・・・虫歯治療で歯の形が変わると、マウスピース型矯正装置(インビザライン)が合わなくなる可能性があります。

口腔内を清潔に保つための習慣

矯正治療中は、以下のような習慣で口腔内を清潔に保ちましょう。

  • 食後はできるだけ歯磨きをする・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)を装着する前に、丁寧にブラッシングします。
  • フロスや歯間ブラシを使う・・・歯と歯の間の汚れもしっかり除去します。
  • マウスピース型矯正装置(インビザライン)も清潔に保つ・・・専用の洗浄剤や柔らかいブラシで洗浄します。
  • 定期的に歯科医院でクリーニングを受ける・・・プロフェッショナルケアで、ご自身では取れない汚れを除去します。

【ポイント4】骨格的な問題がないか確認する

あごの骨の形や上下のズレが原因で歯並びが悪い状態になっている場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン)での治療が難しい場合があります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は主に歯を動かす治療法であり、あごの骨そのものを大きく変えることはできません。

骨格性の問題とは

骨格性の問題とは、歯並びの乱れが歯の位置だけでなく、あごの骨の形や大きさ、位置関係に起因している状態を指します。

以下のような症状がある場合、骨格的な問題が関係している可能性があります。

  • 著しい出っ歯(上顎前突)・・・上あごが前に出ている、または下あごが後退しています。
  • 著しい受け口(下顎前突)・・・下あごが前に出ている、または上あごが後退しています。
  • 顔の歪みを伴う顎変形症・・・左右のあごの大きさや位置が異なります。
  • 過蓋咬合(深い噛み合わせ)・・・上の前歯が下の前歯を大きく覆っています。

骨格的問題がある場合の治療法

骨格性の問題が大きい場合は、外科手術を伴う「外科的矯正治療」が必要となる可能性が高いです。

ただし、当院では豊富な治療経験とワイヤー矯正の技術を組み合わせ、多くの方にマウスピース型矯正装置(インビザライン)をご提供しています。

骨格的な問題がある場合でも、以下のような方法で対応できるケースがあります。

  • ワイヤー矯正との併用・・・歯の移動量が大きい場合は、ワイヤー矯正を6~10ヶ月併用することもあります。
  • 抜歯による対応・・・スペースを確保することで、骨格的な問題を軽減します。
  • 精密な治療計画・・・大学病院の矯正科で12年以上研鑽を積んだ院長が、ワイヤー矯正の知識を応用した精密な治療計画を作成します。

骨格的な問題があるかどうかは、レントゲンやCTなどの精密検査によって判断します。初診相談時に詳しく診断いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

【ポイント5】インプラントや埋伏歯がないか確認する

インプラントが複数入っている方や、埋伏歯(埋まっている歯)がある方は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の適応範囲が制限される可能性があります。

インプラントが矯正治療に与える影響

インプラントとは、歯を失ったあごの骨にインプラント体を埋め込み、人工の歯根を作る治療法です。インプラントは顎の骨に直接結合しているため、天然歯のように矯正力で動かすことができません。

お口の中にこれらの動かせない歯が複数存在する場合、歯を移動させるスペースが制限されたり、矯正計画そのものが立てられなくなったりすることがあります。

ただし、インプラントの本数やインプラントが埋まっている部位によっては、治療可能な場合もあります。治療方法は限定されますが、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の知識と経験豊富な医師に相談し、治療方法について相談することが大切です。

埋伏歯が矯正治療に与える影響

埋伏歯とは、歯茎やあごの骨の中に埋まっていて、正常に生えてきていない歯のことです。マウスピース型矯正装置(インビザライン)は歯の表面(歯冠)に装着して力を加えるため、歯冠が完全に埋まっている埋伏歯には直接作用させることができません。

埋伏歯を正しい位置に動かすには、多くの場合、歯茎を切開して装置を取り付け、引っ張り出す処置(開窓牽引)が必要となります。これはマウスピース型矯正装置(インビザライン)では行えません。埋伏歯の状態によっては、抜歯やワイヤー矯正との併用が必要となります。

【ポイント6】自己管理ができているか確認する

マウスピース型矯正装置(インビザライン)が可能な歯並びでも、生活スタイルが原因でマウスピース型矯正装置(インビザライン)の効果が出ない場合もあります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療経過は装着状況などの影響を受けることがあります。

自己管理が必要な理由

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、取り外しができるという大きなメリットがある一方で、患者さまご自身の管理が治療の成否を左右します。

以下のような自己管理が求められます。

  • 毎日20時間以上装着する・・・食事と歯磨き以外は基本的に装着します。
  • セルフケアをしっかり行う・・・口腔内とマウスピース型矯正装置(インビザライン)の両方を清潔に保ちます。
  • 指示通りに通院する・・・1~4ヶ月に1回の通院を守ります。
  • マウスピース型矯正装置(インビザライン)を破損・紛失した際はすぐに連絡する・・・放置すると治療計画が狂います。
  • 適合確認を怠らない・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)がしっかりフィットしているか、毎日確認します。

自己管理が難しい方の特徴

以下のような方は、自己管理が難しくなる可能性があります。

  • 会食や外食が多い・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)を外している時間が長くなりがちです。
  • 忙しくて時間がない・・・装着を忘れたり、ケアが疎かになったりします。
  • 面倒くさがり・・・取り外しや清掃が面倒に感じてしまいます。
  • 物をよくなくす・・・マウスピース型矯正装置(インビザライン)を紛失するリスクが高くなります。

自己管理をサポートする仕組み

当院では、患者さまの自己管理をサポートするために、以下のような仕組みを提供しています。

  • 遠隔モニタリング(デンタルモニタリング)・・・スマホで口の中を撮影するだけで、AIと矯正医が治療経過の確認に活用しています。通院回数を減らせるため、忙しい方でも治療を続けやすい環境を整えています。
  • 専用アプリで治療管理・・・予約、会計、診察券、治療情報確認がスマホ一つで完結します。
  • 定期的なフォローアップ・・・通院時に装着状況や適合状態を確認し、必要に応じてアドバイスを行います。

自己管理が難しいと感じる方は、ワイヤー矯正など他の治療法も検討することができます。初診相談時に、ライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

歯が動かないと感じたら、すぐに相談することが大切です

マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動かないと感じたら、放置せずにすぐに担当医に相談することが重要です。

早期に原因を特定し、適切な対処をすることで、治療計画を大きく修正することなく、治療計画に沿った対応につながる場合があります。

大宮SHIN矯正歯科の強み

当院では、口腔内の状態や検査結果をもとに、治療方法を検討しています。症例に応じて、マウスピース型矯正装置だけでなく、他の矯正治療を含めた方針を判断しています。

大学病院の矯正科で12年以上研鑽を積んだ院長がすべての症例に関わり、ワイヤー矯正の知識を応用した精密な治療計画を作成しています。

また、iTeroを口腔内の状態を把握するための検査機器として使用しています。治療後の姿を事前に確認できる「クリンチェック」により、歯がどのように動き、治療終了時にどうなるかを3Dシミュレーションで事前に確認できます。

薬機法に基づく注意事項

当院で使用するマウスピース型矯正装置(インビザライン)は、医薬品医療機器等法(薬機法)において未承認の医療機器です。歯科医師の責任のもと、海外メーカーから個人輸入により入手しています。国内にも類似の承認医療機器はありますが、当院では患者さまに治療方針の一つとして使用しています。詳細は初診相談時にご説明いたします。

また、本装置は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

まずは初診相談へ

当院では、初診相談を実施しています(セカンドオピニオンを除く)。治療が必要か、費用はいくらか、どの装置が合っているか、丁寧に説明いたします。

「マウスピース型矯正装置(インビザライン)で治るかわからない」「なるべく目立たずに矯正したい」「治療期間や費用が知りたい」そんな方は、診察時に治療について確認することができます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯が動かないと感じている方、これからマウスピース型矯正装置(インビザライン)を始めようと考えている方、どちらの方も安心して治療を継続しやすい体制づくりに取り組んでいます。

気持ちが分かる私たちだからできる矯正治療。でも、歯医者は痛いし、怖いというイメージから治療しなかった過去があります。だからこそ、矯正についての知識と数多くの経験と共に患者さまの要望に寄り添った治療を進めてまいります。矯正治療のことで疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。

歯の動きが気になる方へ

マウスピース型矯正装置で歯が動かないと感じる場合は、装着時間や適合状態など複数の確認ポイントがあります。初診では現在の状況を確認し、今後の見通しをご案内します。

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次の一歩

自己判断で続ける前に、装置の状態や治療計画を確認しておくと安心です。気になる段階で相談してみてください。

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著者情報

大宮SHIN矯正歯科 院長 矢野 晋也

経歴

2001年 日本大学歯学部卒業

2006年 日本大学歯学部矯正科大学院卒業

2008年 日本大学歯学部矯正科専修医

2010年 日本大学歯学部矯正科助教

2013年 大宮SHIN矯正歯科開業

2016年 医療法人社団バリュースマイル

     大宮SHIN矯正歯科理事長就任

 

資格・所属学会

歯学博士

日本矯正歯科学会認定医

日本矯正歯科学会会員

日本舌側矯正歯科学会

日本顎変形症学会

日本口蓋裂学会

日本成人矯正歯科学会

東京矯正歯科学会会員

さいたま市立植竹中学校 校医

日本歯科医師会

埼玉県歯科医師会

大宮歯科医師会

日本医師薬専門学校 非常勤講師(審美矯正学)

日本大学歯学部歯科矯正学講座 同門会 理事

指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)

顎口腔機能診断施設

歯科矯正診断指定施設

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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矯正で歯茎が下がることはある?放置するとどうなるか原因と対処法を解説

2026.04.15

矯正治療を検討されている方、あるいは現在治療中の方から「歯茎が下がるのでは」という不安の声をよく耳にします。

実際のところ、矯正治療によって歯茎が下がる「歯肉退縮」は起こり得る現象です。

しかし、適切な知識と対策があれば、そのリスク軽減につながる可能性があります。

本記事では、矯正治療における歯肉退縮の原因から、放置した場合のリスク、そして具体的な対処法まで詳しく解説します。

矯正治療で歯茎が下がる「歯肉退縮」とは

歯肉退縮とは、歯の周囲を覆っている歯周組織や歯茎が下がることで、歯根が露出してしまう状態を指します。

この現象は、加齢や歯周病が主な原因として知られていますが、矯正治療が誘因となることもあります。

歯肉退縮の主な症状

歯肉退縮が起こると、以下のような症状が現れます。

  • 歯が長く見えるようになる
  • 歯根が露出して見える
  • 歯と歯の間に三角形の隙間(ブラックトライアングル)ができる
  • 口元が痩せて見える

特に前歯部分で歯肉退縮が起こると、審美的な問題として気になる方が多いです。

歯並びが整う過程で、歯と歯の間に黒い三角状の隙間ができることがあり、これをブラックトライアングルと呼びます。

矯正治療で歯茎が下がる主な原因

矯正治療における歯肉退縮には、いくつかの原因が考えられます。

それぞれの原因を理解することで、予防策を講じることができます。

歯槽骨の薄さ

歯槽骨は、歯を支える働きを持つ重要な骨です。

体内の他の骨とは異なり、歯槽骨は再生に限界があるとされています。虫歯や歯周病によって溶けてしまったり、治療で削ってしまったりした場合は、人工的に補わない限り失われた状態のままとなります。

歯周病や過去の骨折・打撲、不適切な噛み合わせなどが原因で、歯槽骨が薄くなっていることもあります。

矯正治療を始める前から歯周病にかかっている場合は、すでに歯槽骨が薄くなっていることがあるため、注意が必要です。

歯周病の影響

ブラッシングが不十分であるなどの原因により、口腔衛生が悪化すると歯周病になったり、歯周病が重症化したりすることがあります。

歯周病になると、歯槽骨が溶かされて薄くなり、歯槽骨を覆う歯肉も退縮しやすくなります。

矯正治療中は、歯にワイヤーなどの装置が付くことにより、歯磨きの際に汚れの取り残しが出てしまいやすくなるため、歯周病のリスクが高くなります。

矯正治療が終わって装置を外し、歯茎の炎症による腫れが引いてくると、歯茎が引き締まり、下がったように見えてしまうこともあります。

過度なブラッシング

口腔内を清潔に保つことは大切ですが、力任せにブラッシングすることで歯茎を傷つけてしまうと炎症につながります。

歯ブラシで強くゴシゴシ磨いたり、硬い歯ブラシを使っていたり、電動歯ブラシを誤って使っていたりすると、歯茎が傷つき、歯茎が下がってしまうことがあります。

矯正治療中は、歯についている装置によって汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが増すため、ついつい過剰に歯磨きをしすぎてこのようなことが起こることもあります。

正しいブラッシング方法を知って実践するようにしましょう。

矯正装置の衛生管理不足

治療中に使用しているマウスピース矯正装置(インビザライン)やリテーナーがある場合は、衛生管理が重要になります。

使用するときの注意を守り、飲食時は取り外すなど清潔に保つことが大切です。

治療用具に付着した細菌によって口腔内に炎症が起きると歯肉退縮の原因になります。また、普段の歯磨きが十分でないことで歯垢や歯石が付着して歯周病になることもあります。

加齢による影響

歯茎が下がる原因として「加齢」も大きな要因となります。

骨は常に破壊と再生を繰り返しており、矯正治療はそのシステムを利用して歯を動かしていきます。破壊と再生のバランスが取れていれば、骨や歯茎が下がることはありませんが、加齢によりコラーゲンの生成が少なくなると、新しい骨が作られにくくなっていきます。

そうすると骨が減ってしまうことで歯茎も下がってしまいます。このようなことは、矯正治療を行っていなくても通常よく起こっています。

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歯肉退縮を放置するとどうなるか

歯肉退縮を放置すると、さらに深刻な問題に発展する可能性があります。

早期に対処することが、身体的・経済的負担を軽減することにつながります。

知覚過敏の発生

知覚過敏は、歯肉退縮によってみられる代表的な症状のひとつとされています。

歯茎が下がると、それまで歯茎で覆われていた歯根が露出します。歯根は、歯冠(歯の頭の部分)にあるエナメル質が存在しませんので、温度刺激を敏感に感じ取ってしまう「知覚過敏」を起こしやすくなります。

象牙質が直接、冷たいものや熱いものに触れるため、強い痛みを感じることがあります。

知覚過敏は虫歯ではありませんので、それそのものが歯を破壊するというものではありませんが、食事や歯磨きのたびにしみたり痛みを感じてしまい、辛い思いをしてしまうことも少なくありません。

虫歯リスクの増加

歯肉退縮により、歯根が露出してきますが、歯根の表面には頑丈なエナメル質がありませんので、虫歯が発生しやすくなる可能性があります。

歯根は本来、歯肉によって守られているため、歯冠と違ってエナメル質がありません。歯冠よりも繊細な歯根が、歯肉退縮によってむき出しになってしまうと、細菌が増えやすくなる可能性があります。

歯根の虫歯は進行スピードが速いため、歯髄炎や根尖性歯周炎へ移行するリスクも高い傾向にあります。

歯周病の悪化

歯肉が退縮すると歯茎の中で細菌が増えやすくなり、歯周病が進行する可能性があります。

健康な状態では、食べ物を噛んだ時の力は、歯根の周囲にある歯槽骨や歯根膜によって吸収されます。しかし、歯肉が退縮すると、歯周組織に噛む力が過度に伝わってしまうため、炎症が発生しやすくなります。

その結果、歯がグラグラしたり、歯が抜けてしまったりします。

審美面への影響

歯茎が下がるとその分歯が長く見えるようになりますし、歯と歯の間の隙間が大きくなり、口元が老けたように見えてしまうことがあります。

歯と歯の間に隙間が開いてくると、その部分に食べものが詰まりやすくなり、そこから虫歯や歯周病ができたり、口臭を発生したりと言ったリスクが出てきます。

歯肉退縮の予防法

歯肉退縮を避けるためにも予防法を知ることが大切です。

日常生活や食事に気を付けることで、歯肉退縮のリスクを軽減することができるでしょう。

適切なブラッシング方法の習得

歯周ポケットのクリーニングが重要です。

歯茎が下がるのも、歯が抜けてしまうのも、歯周病が原因です。日頃の歯磨きで、口腔内を清潔に保つことは大切ですが、歯周ポケットを清潔に保つことは歯周病予防に重要とされています。

ブラッシングだけではなく、フロスなどを使って歯周ポケットをクリーニングしましょう。

力を入れすぎた歯磨きで歯茎を傷つけないよう、正しいブラッシング方法を身につけることが重要です。

バランスの良い食事

ビタミンを取り入れたバランスのよい食事が大切です。

歯茎の健康を保つためには、コラーゲンの生成を促すビタミンCや、歯茎の組織を強化するビタミンA、血行を促進するビタミンEなどを積極的に摂取することが推奨されます。

栄養バランスの取れた食事は、歯茎だけでなく全身の健康維持にもつながります。

定期的な歯科検診

矯正治療中は、定期的に歯科医院でクリーニングを受け、口腔内の状態をチェックしてもらうことが重要です。

早期発見・早期治療が、身体的・経済的負担を軽減します。

歯肉退縮は自然に回復が見込めない場合が多いとされています。気になる症状があれば、早めに専門の歯科医院へご相談ください。

禁煙

タバコを吸うと、歯周病のリスクが上がり、歯茎が下がりやすくなります。

喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯肉退縮を加速させることがあります。禁煙については歯科医師と相談のうえ検討されることが望ましいとされています。

歯肉退縮への対処法

一度下がってしまった歯茎というのは、自然な回復が難しいとされる場合があります。

下がってしまったことによる見た目や不快症状の改善としては、いくつかの治療法があります。

コンポジットレジン修復

コンポジットレジンというのは、歯科用のプラスチック素材で、露出した歯根部分を覆うように詰めることで、知覚過敏の症状を軽減したり、見た目を改善したりすることができます。

比較的簡単な処置で、治療時間も短く済みます。

遊離歯肉移植術(FGG)

上顎の口蓋から採取した歯肉組織を、退縮部位に移植する方法です。

この方法は、歯茎の厚みを増やすことができ、将来的な歯肉退縮の予防につながる場合があります。

なお、当院では処置内容や症例に応じて、他院へ紹介させていただく場合があります。

結合組織移植術(CTG)

上顎から結合組織のみを採取し、歯肉の下に移植する方法です。

審美性に優れ、一定の改善が見込まれる方法とされています。移植した組織が周囲の歯茎と自然に馴染むため、見た目の改善が期待される場合があります。

根面被覆術-VISTAテクニック-

最小限の切開で複数の歯の歯肉退縮を同時に治療できる、低侵襲で高度な技術です。

術後の痛みや腫れが少ないのが特徴で、患者様の負担を軽減できます。

ただし、この治療法は高度な技術を要するため、専門的な知識と経験を持つ歯科医師による治療が必要です。

大宮SHIN矯正歯科での取り組み

当院では、矯正治療における歯肉退縮のリスクを最小限に抑えるため、以下のような取り組みを行っています。

精密な診査・診断

矯正治療を行う際は、必ず診査・診断にて、周囲の骨や歯茎の状態もきちんと診なければなりません。

歯以外の状態も考慮しないと、せっかく矯正治療を受けても歯茎が下がってしまうからです。

当院では、X線とデジタル模型を用いた精密検査を実施し、一人ひとりの歯槽骨の厚みや歯茎の状態を詳しく評価しています。

個別化された治療計画

患者さま一人ひとりの状態に応じた治療方針のもと、一般的な解決策ではなく、患者さま一人ひとりの歯の特徴、顔のつくり、ご希望や生活背景を考慮した治療計画を提供しています。

歯茎が薄い方には、事前に歯茎を厚く丈夫にする処置を検討することもあります。

多様な治療方法の提供

当院では、ワイヤー矯正、マウスピース矯正装置(インビザライン)、舌側矯正装置など、多様な治療方法に対応しています。

患者さまの歯茎の状態や希望に応じて、状態に応じて装置を選択し、歯肉退縮のリスクに配慮した治療を検討します。

まとめ

矯正治療における歯肉退縮は、適切な知識と対策があればリスク軽減につながる可能性があります。

歯槽骨の薄さ、歯周病、過度なブラッシング、矯正装置の衛生管理不足などが主な原因として挙げられます。

放置すると、知覚過敏、虫歯リスクの増加、歯周病の悪化、審美面への影響など、さまざまな問題が生じる可能性があります。

予防法としては、適切なブラッシング方法の習得、バランスの良い食事、定期的な歯科検診、禁煙などが重要です。

一度下がってしまった歯茎は、自然な回復が難しいとされる場合がありますが、コンポジットレジン修復、遊離歯肉移植術、結合組織移植術、根面被覆術などの治療法があります。

当院では、精密な診査・診断、個別化された治療計画、多様な治療方法の提供、日本矯正歯科学会認定医による治療を通じて、患者さま一人ひとりの状態に応じた矯正治療を行っています。

矯正治療を検討されている方、歯肉退縮が気になる方は、診察時にご相談いただくことが可能です。

詳しい治療内容や費用については、事前に歯科医院で確認することが重要です。

大宮駅西口から徒歩2分、土日も診療しておりますので、お忙しい方でも通院しやすい立地です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)について

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)において承認を受けていない医療機器です。

本装置は、米国アライン・テクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン社を通じて、歯科医師の判断のもと入手しています。

日本国内にも、マウスピース型矯正装置(インビザライン)として薬機法の承認を受けている医療機器が複数存在します。

なお、マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、米国食品医薬品局(FDA)により医療機器として認証を受けています。

また、マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

歯ぐきの変化が気になる方へ

矯正中の歯ぐきの下がりは、原因によって対応が異なります。初診ではお口の状態や治療中の経過を確認し、今後の見通しをご案内します。

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次の一歩

気になる症状は早めに確認しておくと安心です。状態に応じた対応方法や受診の目安もご案内します。

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著者情報

大宮SHIN矯正歯科 院長 矢野 晋也

経歴

2001年 日本大学歯学部卒業

2006年 日本大学歯学部矯正科大学院卒業

2008年 日本大学歯学部矯正科専修医

2010年 日本大学歯学部矯正科助教

2013年 大宮SHIN矯正歯科開業

2016年 医療法人社団バリュースマイル

     大宮SHIN矯正歯科理事長就任

 

資格・所属学会

歯学博士

日本矯正歯科学会認定医

日本矯正歯科学会会員

日本舌側矯正歯科学会

日本顎変形症学会

日本口蓋裂学会

日本成人矯正歯科学会

東京矯正歯科学会会員

さいたま市立植竹中学校 校医

日本歯科医師会

埼玉県歯科医師会

大宮歯科医師会

日本医師薬専門学校 非常勤講師(審美矯正学)

日本大学歯学部歯科矯正学講座 同門会 理事

指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)

顎口腔機能診断施設

歯科矯正診断指定施設

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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006

2026.04.15UPDATE:2026.04.27

出っ歯を気にして来院された患者様です。お顔を正面から見た時の、前突と歯茎の見え方の改善を希望されていました。歯を抜くことに問題はないが、目立つワイヤー矯正には抵抗があったため、マウスピース矯正装置(インビザライン)で治療しました。

①主訴:出っ歯が気になる
②診断名:上顎前突
③初診時年齢:20歳
④住まい:埼玉県春日部市
⑤治療に用いた主な装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)
⑥抜歯部位:上顎右側第一小臼歯、左側第二小臼歯、下顎左右第一小臼歯
⑦治療期間:3年6ヶ月
⑧治療費概算:¥870,000(税込¥957,000)
⑨リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り主訴:出っ歯が気になる

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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叢生 25歳 女性 2年2ヶ月

2026.04.11UPDATE:2026.04.17

ガタガタなことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:25歳・女性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:2年2ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:86万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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叢生 8歳 女の子 1年5ヶ月

2026.04.08

ガタガタを気にして来院された患者様です。非抜歯で、取り外し式矯正装置拡大床)を使用し、永久歯が生えるスペースを確保して、ガタガタを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:8歳・女の子

治療装置:拡大床

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:1年5ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:39万円程度(税別)

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矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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叢生 19歳 女性 1年6ヶ月

2026.04.08UPDATE:2026.04.17

ガタガタなことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:19歳・女性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:1年6ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:85万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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叢生 24歳 男性 3年4ヶ月

2026.04.07

ガタガタを気にして来院された患者様です。抜歯上顎右側第一小臼歯上顎左側第二小臼歯下顎左右第一小臼歯)で、表側矯正ワイヤー)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:29歳・男性

治療装置:表側矯正(ワイヤー)

抜歯or非抜歯:抜歯(上顎右側第一小臼歯、上顎左側第二小臼歯、下顎左右第一小臼歯)

治療期間:3年4ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:79万円程度(税別)

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矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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上下顎前突 24歳 男性 1年10ヶ月

2026.04.07UPDATE:2026.04.17

出っ歯なことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、咬み合わせを改善しました。

主訴:出っ歯

診断名:上下顎前突

初診時年齢・性別:24歳・男性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:1年10ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:85万円程度(税別)

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矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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叢生・上顎前突 28歳 女性 2年6ヶ月

2026.03.28

出っ歯を気にして来院された患者様です。抜歯上下左右第一小臼歯)で、表側矯正ワイヤー)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:出っ歯が気になる

診断名:上顎前突・叢生

初診時年齢・性別:28歳・女性

治療装置:表側矯正(ワイヤー)

抜歯or非抜歯:抜歯(上下左右第一小臼歯)

治療期間:2年6ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:78万5千円程度(税別)

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矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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005-4761

2026.03.25

かみ合わせが深いことを気にして来院された10代の患者さまです。子供用マウスピース矯正装置(インビザラインファースト)でかみ合わせと歯並びの改善を行いました。通院間隔も適切で、マウスピースの使用状況も良好だったため、計画どおり順調に治療が進みました。

①主訴:かみ合わせが深い。ガタガタも気になる
②診断名:過蓋咬合、叢生・上下顎前突、鋏状咬合
③初診時年齢:10歳・女の子
④住まい:埼玉県さいたま市
⑤治療に用いた主な装置:子ども用マウスピース型矯正装置(インビザラインファースト)
⑥抜歯部位:なし
⑦治療期間:1年7ヶ月
⑧治療費概算:¥460,000(税込¥506,000)
⑨リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り主訴:出っ歯が気になる

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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004-3384

2026.03.25

口元の印象(横顔のライン)を改善したいというご希望から、歯を並べるスペースを確保するために、上下左右の第一小臼歯の抜歯を行い、矯正治療を進めました。前に出ている歯を後ろに下げることで、口元の突出感を改善し、すっきりとした横顔を目指します。
ただし、歯を下げすぎると口元が引っ込みすぎてしまい、かえってバランスが崩れることもあるため、横顔やお顔全体の調和を大切にしながら、適切な範囲で歯の移動量をコントロールしました。

①主訴:出っ歯、横顔(口元)が気になる
②診断名:叢生・上下顎前突、鋏状咬合
③初診時年齢:23歳・女性
④住まい:埼玉県さいたま市
⑤治療に用いた主な装置:表側ワイヤー矯正(ホワイトワイヤー)
⑥抜歯部位:上下左右第一小臼歯
⑦治療期間:2年8ヶ月
⑧治療費概算:¥765,000(税込¥841,500)
⑨リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り主訴:出っ歯が気になる

 

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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矯正で滑舌は良くなる?発音への影響と改善の可能性について詳しく解説

2026.03.19UPDATE:2026.03.16

矯正治療と滑舌の関係

矯正治療を検討する際、「滑舌が悪くなるのでは?」と不安に感じる方は少なくありません。
特に人前で話す機会が多い方にとって、治療中の発音への影響は気になるポイントの一つでしょう。

矯正装置を装着した直後は、発音のしづらさや違和感を感じることがあります。
これは口腔内の環境が変化することや、装置にまだ慣れていないことが主な要因と考えられています。

一方で、矯正治療によって歯並びや噛み合わせが整うことで、発音がしやすくなると感じる方もいます。
ただし、感じ方や変化の程度には個人差があります。

矯正治療中の発音の変化は、新しい口腔環境に適応していく過程で生じることがあります。
装置を装着することで舌や唇の動きが変化し、これまでと同じ発音方法では話しにくく感じることがあります。

しかし日常会話を続けることで、装置のある状態に徐々に慣れていく場合があります。
舌や唇の動かし方を自然に調整していくことで、発音の違和感が軽減していくこともあります。

多くの方は時間の経過とともに装置の存在に慣れ、会話に大きな支障を感じなくなることがあります。

矯正治療中に発音しにくくなる理由

矯正装置を装着すると、口腔内の環境が変化するため発音に影響を感じることがあります。

多くの場合、矯正装置にまだ慣れていないことが主な理由と考えられています。
装置が口腔内に入ることで舌の動きや歯の表面の感覚が変わり、これまでと同じ発音がしにくくなる場合があります。

舌の動きが重要な子音への影響

舌の動きが重要な子音は、矯正装置の影響を受けやすい場合があります。

例えば「さ行」は、舌先を上の前歯の裏側付近に軽く近づけて発音します。
歯の裏側に装置がある場合、その動きが変化し発音がしにくく感じることがあります。

同様に「た行」や「ら行」なども、舌の動きが関係する音であるため影響を受ける場合があります。

唇の動きが重要な子音への影響

一方で、唇の動きが重要な子音も矯正装置の影響を受けることがあります。

「ま行」「ば行」「ぱ行」などは、唇の閉じ方や動きが重要です。
装置の存在によって唇の動きが変化し、発音が少し不明瞭に感じる場合があります。

ただし、これらの変化は矯正装置に適応していく過程で生じることが多く、時間とともに慣れていくケースもあります。

矯正装置の種類による発音への影響の違い

矯正装置の種類によって、発音への影響の感じ方が異なる場合があります。

表側矯正(ワイヤー矯正)

歯の表面にワイヤーとブラケットを装着する矯正方法です。
舌が直接装置に触れる機会が少ないため、発音への影響が比較的少ないと感じる方もいます。

ブラケットには金属製のものや、歯の色調に近い素材のものなど複数の種類があります。
装置の選択は治療計画や適応などを踏まえて判断されます。

舌側矯正

歯の裏側にワイヤーとブラケットを装着する矯正方法です。
装置が舌に触れやすいため、発音の変化を感じる場合があります。

特に舌を使う「さ行」「た行」「な行」「ら行」などは、慣れるまで話しにくさを感じることがあります。
感じ方や慣れるまでの期間には個人差があります。

マウスピース型矯正装置で「死にそう」と感じるのはなぜ?痛み以外の原因を整理して解説

マウスピース型矯正装置を使用していると「痛い」「苦しい」と感じることがあり、中には「死にそう」と表現するほどつらいと感じる方もいます。本記事では、その原因を痛みだけでなく装着感や生活面の影響なども含めて整理し、対処のポイントをわかりやすく解説します。

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マウスピース型矯正装置(インビザライン)

透明なマウスピース型装置(インビザライン)を使用する矯正方法です。
歯全体を覆う構造のため、装着直後は舌の動きや空気の流れが変化し、発音がしにくく感じる場合があります。

取り外しが可能な装置であるため、状況に応じて外すことができる場合もあります。
ただし、装着時間が治療計画に影響することがあるため、使用方法については歯科医師の説明を受けることが重要です。

装置に慣れるまでの期間と改善のプロセス

矯正装置を装着してから発音に慣れるまでの期間には個人差があります。

比較的早く慣れる方もいれば、違和感がしばらく続く方もいます。
時間の経過とともに口腔内の環境に適応していく場合があります。

治療中に滑舌が悪くなりやすいタイミング

矯正治療中には、特に発音に違和感を感じやすいタイミングがあります。

  • 治療開始直後
  • 装置調整直後
  • 補助装置を装着したとき

これらのタイミングでは口腔内の環境が変化するため、一時的に発音しにくく感じる場合があります。

滑舌の違和感を軽減するためのトレーニング方法

矯正装置に慣れるまでには時間がかかる場合があります。装置によって舌や唇の動きが変化するため、発音の違和感を感じることもあります。

その間、口や舌の動きを意識することで、発音の違和感が軽減する場合もあります。

無理のない範囲で口の動きを意識した練習を行うことが、装置に慣れるきっかけになることがあります。

舌を動かすトレーニング

舌の動きを意識することで、発音のしやすさが変化する場合があります。

舌をゆっくり前方に出したり、上下左右に動かしたりする運動を行うことで、舌の動きや位置を確認することができます。

こうした動きを繰り返すことで、舌の可動域を意識しやすくなる場合があります。無理のない範囲で行うことが大切です。

母音を意識した発音練習

母音「あいうえお」をゆっくり発音し、口の形を意識する練習を行う方法があります。口の開き方や舌の位置を確認しながら発音することで、発音の動きを意識しやすくなります。

ゆっくりとした発音を繰り返すことで、言葉の発音を確認しながら話す練習につながる場合があります。

早口言葉による練習

早口言葉をゆっくり発音する練習を行うことで、口や舌の動きを意識しやすくなります。

最初はスピードを意識せず、発音の形を確認しながら練習することが大切です。

無理のない範囲で繰り返すことで、口の動きに慣れていく場合があります。

日常会話を増やす

会話の機会を増やすことで、装置のある状態での発音に徐々に慣れていく場合があります。

日常生活の中でゆっくり話すことを意識するだけでも、口の動きを確認しながら会話を行うことができます。

家族や友人との会話など、普段の会話の中で自然に話すことも、装置に慣れるための一つの方法と考えられます。

矯正治療後の滑舌改善の可能性

矯正治療によって歯並びや噛み合わせが整うことで、舌の動きや空気の流れが変化する場合があります。その結果、発音がしやすくなったと感じる方もいるとされています。

歯並びの状態は舌の位置や動きに関係することがあり、歯列の変化によって口腔内の使い方が変わる場合があります。ただし、発音の変化や感じ方には個人差があり、すべての方に同じ変化が見られるとは限りません。

歯並びと発音の関係

歯並びの状態によっては、舌の位置が安定しにくく、特定の音を発音しにくいと感じる場合があります。

例えば、前歯の位置や歯列の形によっては、舌先の位置が定まりにくくなることがあり、発音に影響を感じることがあります。歯並びが整うことで舌の動きが安定し、発音がしやすくなったと感じる方もいます。

噛み合わせと発音機能

噛み合わせが整うことで、口腔内の空間や空気の流れが変化することがあります。

発音は舌や唇、歯など複数の要素が関係して行われるため、噛み合わせの状態によっては音の出し方に違いを感じる場合があります。噛み合わせが安定することで、発音がしやすくなると感じるケースもありますが、その程度や変化には個人差があります。

矯正治療中に避けるべき行動

過度な発音練習

無理な発音練習は口腔内に負担をかける可能性があります。

特に装置を装着した直後は、歯や歯ぐきに力が加わっている状態のため、強い発音練習を繰り返すことで違和感が強くなる場合があります。

発音の練習を行う場合は、短時間から始めるなど無理のない範囲で行うことが大切です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)を長時間外す

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の場合、装着時間が治療計画に影響することがあります。

長時間装置を外した状態が続くと、歯の移動に影響が出る可能性があるため、使用方法については歯科医師の説明を受け、指示に従って装着することが大切です。

装置の異常を放置する

矯正装置が外れたり、ワイヤーが曲がったりすることがあります。

そのままの状態で放置すると、装置が粘膜に当たって違和感が出る場合や、治療計画に影響する可能性があります。

違和感や異常を感じた場合は、自己判断で対処せず歯科医院へ相談することが望まれます。

大宮SHIN矯正歯科の矯正治療への取り組み

当院では、歯並びや噛み合わせの状態を確認したうえで治療計画を立てています。
診断にはレントゲン撮影や口腔内スキャンなどを活用する場合があります。

治療方法の選択や装置の種類については、患者さまの状態や生活背景を踏まえて説明を行い、理解を得たうえで進めています。

まとめ

矯正治療では、装置の装着によって口腔内の環境が変化するため、治療開始直後や装置調整後に発音の違和感を感じる場合があります。特に舌や唇の動きが関係する音では、これまでと同じように発音しにくいと感じることがあります。

一方で、このような発音の変化は装置に慣れていく過程で生じることが多く、日常会話を続ける中で徐々に違和感が軽減する場合もあります。慣れるまでの期間や感じ方には個人差がありますが、時間の経過とともに会話への影響が少なくなることもあります。

また、歯並びや噛み合わせの状態によっては、矯正治療によって舌の動きや口腔内の空間が変化し、発音がしやすくなると感じる方もいます。ただし、こうした変化の程度には個人差があります。

矯正治療を検討する際には、装置の種類や生活スタイルなども踏まえ、歯科医師と相談しながら自分に合った治療方法を検討することが大切です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)について

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)において承認を受けていない医療機器です。

本装置は、米国アライン・テクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン社を通じて、歯科医師の判断のもと正規ルートで入手しています。

日本国内には、マウスピース型矯正装置(インビザライン)として薬機法の承認を受けている医療機器が複数存在します。

なお、マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、1997年に米国食品医薬品局(FDA)により医療機器として認証を受けています。

また、本装置は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

治療にあたっては、効果や限界、考えられるリスクについて十分に説明したうえで提供しています。

著者情報

大宮SHIN矯正歯科 院長 矢野 晋也

経歴

2001年 日本大学歯学部卒業

2006年 日本大学歯学部矯正科大学院卒業

2008年 日本大学歯学部矯正科専修医

2010年 日本大学歯学部矯正科助教

2013年 大宮SHIN矯正歯科開業

2016年 医療法人社団バリュースマイル

     大宮SHIN矯正歯科理事長就任

 

資格・所属学会

歯学博士

日本矯正歯科学会認定医

日本矯正歯科学会会員

日本舌側矯正歯科学会

日本顎変形症学会

日本口蓋裂学会

日本成人矯正歯科学会

東京矯正歯科学会会員

さいたま市立植竹中学校 校医

日本歯科医師会

埼玉県歯科医師会

大宮歯科医師会

日本医師薬専門学校 非常勤講師(審美矯正学)

日本大学歯学部歯科矯正学講座 同門会 理事

指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)

顎口腔機能診断施設

歯科矯正診断指定施設

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

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