
歯科医院でレントゲンの撮影をしたら埋伏歯があったのですが、歯の矯正はできますか?
埋伏歯があっても歯列矯正はできますよ!埋伏歯に関する基本的な情報と、矯正治療の進め方について説明しますね。
目次
埋伏歯とは?
埋伏歯(まいふくし)とは、通常の位置に生えるべき歯が、顎の骨内に埋まったままになっている状態を指します。
一般的に歯は、乳歯が抜けるとその後に永久歯が生えてきますが、何らかの理由で歯が正常な位置に生えない場合に「埋伏歯」が発生します。

埋伏歯と親知らずの違い
埋伏歯は親知らずも含みますが、親知らず以外の歯でも埋伏歯になることがあります。親知らずが埋伏することは一般的ですが、埋伏歯は親知らずに限らず、他の歯でも発生することがあるという点で異なります。

埋伏歯の原因は?
埋伏歯が発生する原因は様々で、主な原因として次のようなものがあります。
- 顎のスペース不足
顎の骨が狭くて歯が生えるスペースが確保できない場合、歯が埋まったままになることがあります。 - 歯の方向異常
歯が正常な方向に生えるのではなく、傾いたり逆さに生えることで、歯が骨内に埋もれてしまうことがあります。 - 先天的な要因
一部の人は、歯の発育が正常でないことがあり、これが原因で埋伏歯が発生することがあります。 - 外傷や事故
顎に衝撃を受けることによって、歯の発育が妨げられ、埋伏歯になることもあります。
埋伏歯がある場合の歯列矯正は?
埋伏歯がある場合の歯列矯正には、通常の矯正治療に加えて、埋伏歯を引き出すための追加の手順や手法が必要になります。
歯列矯正で、顎の骨内に埋まったままの埋伏歯を正常な位置に引っ張り出す方法にはいくつかのアプローチがあり、歯の状態や位置、患者の年齢や成長段階によって適した治療方法が異なります。
1. 外科的引き出し(開窓術)
埋伏歯が非常に深く埋まっている場合や、矯正装置で直接引き出すのが難しい場合、外科的な手術を行って埋伏歯を引き出す方法です。この方法は、親知らずなどでも見られます。
- 手術の流れ:
- 局所麻酔を使用して、歯茎に小さな切開を加えます。
- 歯茎を切開し、歯の上に小さな「窓」を開けて、歯を引き出すためのスペースを作ります。
- 歯が出てこないように固定されていた場合、ワイヤーやブラケットを使用して、矯正器具で歯を引き出す準備をします。
- メリット: 外科的な方法で、埋伏歯を確実に引き出すことができます。特に歯が完全に埋まっている場合には効果的です。
- デメリット: 手術が必要なので、回復期間や腫れ、痛みが生じることがあります。

2. 矯正装置を使った引き出し(矯正的移動)
埋伏歯がある程度顎の骨に近い位置にあり、外科的処置なしで引き出せる場合には、矯正装置(ブラケットやワイヤー)を使用して引き出す方法です。この方法は比較的非侵襲的で、患者の状態に応じて行われます。
- 方法:
- まず、埋伏歯に矯正装置(ブラケット)を取り付けます。歯を引き出すために、力を加えるためのワイヤーを使います。
- 牽引力を加えるために、エラスティック(ゴム)やチェーンを使って、少しずつ埋伏歯を引き出します。
- このプロセスは非常に時間がかかることがあり、通常数ヶ月から数年にわたって行われます。
- メリット: 外科的処置を避けることができるため、患者の負担が少なく、回復期間が不要です。
- デメリット: 時間がかかり、治療の進行に応じて引き出しのスピードが変わるため、定期的なチェックと調整が必要です。

参考動画:https://vt.tiktok.com/ZSkdVoc9c
3. 矯正用アンカースクリューを使用する方法
埋伏歯の引き出しにおいて、矯正用アンカースクリュー(ISA)を使う方法もあります。
アンカースクリューとは、矯正治療のために一時的に顎の骨に埋め込まれる小さな金属のネジです。
- 方法:
- 矯正用アンカースクリューを顎の骨に埋め込み、そこに矯正器具を取り付けて、埋伏歯を引き出します。
- アンカースクリューは、矯正治療の過程で力を確実に加えるため、より効率的に歯を引き出すことができます。
- メリット: より精密に、効率的に埋伏歯を引き出せます。患者さんにとっては手術を避けつつ、矯正力を集中させることができるため、引き出しが速くなることもあります。
- デメリット: アンカースクリューを埋め込む際の痛みや違和感があります。

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埋伏歯を放置するとどうなる?
埋伏歯を放置すると、このような問題が起こる可能性があります。
- 歯並びの乱れ
埋伏歯が他の歯に圧力をかけることで、歯並びが悪化することがあります。 - 周囲の歯に悪影響を与える場合
埋伏歯が隣接する歯に影響を与え、むし歯や歯周病の原因になることがあります。 - 痛みや炎症
埋伏歯が炎症を引き起こして痛みを伴う可能性があります。
一方で、埋伏歯が他の歯に影響を与えていない場合は無理に治療する必要はありません。定期的に歯科でチェックしてもらい、状態を確認することが大切です。
最後に
必ずしも事前に埋伏歯を抜歯しないと歯列矯正ができないということはありません。
埋伏歯があって歯列矯正を検討する場合は、矯正と外科の専門の歯科医師による適切な診断と治療を受けることで、問題を解決することができます。