こんにちは。さいたま市、大宮SHIN矯正歯科、院長の矢野です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療中に
・途中でマウスピースを作り直すことになった
・全てのマウスピースを装着し終わったのに、追加でまたマウスピースを作ることになった
といった、経験をされたことがあると思います。
目次
マウスピースを作り直すことを不安に思わないでください
最初の3Dシミュレーションによる治療計画で、治療終了時のマウスピースまで出来上がっているマウスピース型矯正装置(インビザライン)のはずなのに、先ほどのようなことを言われると
『予定通り歯が動いていないのかな?』
『もしかして失敗なの?』
と不安や疑問が出てくると思いますが、マウスピース型矯正装置(インビザラインフル)(歯列全体)で矯正している方のほとんどが、追加で新しくマウスピースを作成します。
あくまで人間の歯なので、必ずしもぴったりコンピューターの予測通りに歯が動くことは難しいのです。もちろん、中には追加マウスピースや作り直しが必要ない方もいらっしゃいます。でも、ほとんどの方が歯列矯正が完了するまで、平均3~4回作り直しの作業が必要といわれています。
それでは、なぜ作り直しが必要になるのでしょうか?
マウスピースを作り直す理由とは
マウスピース型矯正装置(インビザライン)の3Dシミュレーションによる治療計画でも予測できないことがあります。マウスピースを装着した状態で噛んだときに歯根に伝わる力です。そのため、長期間かけて歯並びを改善していく中で次第に、最初の治療計画と実際の歯の動きとの間に微妙なズレが生じてきてしまい、軌道修正が必要になってくるのです。
そしてもうひとつ、日常生活でのマウスピースの使用状況もコンピューターではわかりません。マウスピース型矯正装置(インビザライン) で使用するマウスピースは、取り外し可能な装置です。歯にブラケットを装着するワイヤー矯正治療のように、歯と矯正装置がしっかり固定されているものではありません。
マウスピースの装着時間は一日20時間以上、理想的だとされている時間としては一日22時間とされていますが、その使用時間が守られていないと、マウスピースと歯の間に浮きが生じてきてしまいます。
また、装着時間通り使用できていても外す回数が多かったりすると、予定通り歯が動かなくなる可能性が十分にあります。1日にマウスピースを外す回数は多くても3~4回までにしていただくことをお勧め致します。
マウスピースを作り直すタイミング
マウスピースを作り直すタイミングは、最後のマウスピースを使い切ってからとは限りません。
マウスピースの使用時間をしっかり守っていただいている方でも、先ほど述べたように治療計画と実際の歯の動きのズレがドクターによって確認された場合は、まだ装着していないマウスピースが残っていても作り直すことになります。
治療計画通りに歯が動いていないと、マウスピースと歯の間に浮きが生じてきたり、極端な場合はマウスピースが合わなくなってしまい装着できなくなります。この状態になると患者さんご自身でも違和感を感じると思います。
しかし、一見、凸凹だった歯並びが綺麗に並んでいるから順調だと思っていても、上下の歯の噛み合わせの関係が正しくないこともあります。そのため、ドクターがチェックして、このままのマウスピースを使用し続けても実際の歯の動きがシミュレーション通りには不可能と推測された場合、マウスピースの作り直しになります。
マウスピースを作り直している間の注意点
マウスピースを作り直すことになった場合は、再び精密検査の時と同じように、新しいマウスピースを作るための資料を必要とします。そのため、歯型とお顔・口腔内の写真、レントゲンの撮影をします。
SHIN矯正歯科では歯型は口腔内スキャナー(itero element アイテロ エレメント)で読み取り、データとしてマウスピース型矯正装置(インビザライン )本社のある海外へ瞬時に送信できますが、それでもマウスピースを再製作して新しいものが患者さんのお手元に届くまでに約1ヶ月半かかってしまいます。
・itero elemenntについて詳しくはこちら
・マウスピース型矯正装置(インビザライン) システムについて詳しくはこちら
この期間の過ごし方は、その後の治療に大きく影響しますので必ず守っていただきたいことが2つあります。
新しいマウスピースに交換しない
通常ひとつのマウスピースは1〜2週間装着していただいているので、約1ヶ月半というと少し長く感じてしまいますが、再製作のために歯型を口腔内スキャナー(itero element アイテロ エレメント)で読み取っていたときに装着していたマウスピースを使用し続けてください。
1日20時間以上のマウスピース装着時間を守る
マウスピースを作り直している間の約1ヶ月半は治療のお休み期間ではありません。この間にマウスピースを外した状態が長時間続くと、歯は以前の歯並びに後戻りしてしまいます。
上記の2点が守られないと、マウスピース再製作のために採取した歯型のデータと、歯並びが変わってしまい、せっかく作り直して届いた新しいマウスピースが合わなくなってしまう恐れがあります。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン)で歯列矯正治療中にマウスピースを作り直すことは、コンピュータのシステム任せにせず、歯科医療の中でも矯正専門の知識やマウスピース型矯正装置(インビザライン)での矯正治療経験豊かなドクターの判断がとても重要になります。
治療開始の時点で最初から最後のマウスピースまで出来上がっているマウスピース型矯正装置(インビザライン)ですが、途中で微調整=”マウスピースの作り直し”を行いながら、最終的に審美的にも機能的にも正しい歯並びを完成させていきます。