抜歯後の白いプニプニの正体は?


抜歯をした後、抜歯したところに白いプニプニしたものが見えることがありませんか?この正体は一体何なのでしょうか。実は、この白いプニプニしたものの正体は“血餅”、いわゆる血の塊です。

血餅というと赤いイメージですが、血液は血球などの細胞成分と、血漿と呼ばれる液体成分から構成されており、血球部分は赤い色をしていますが、血漿部分は白色、または透明です。

血漿成分が多くなると、血餅は白いプニプニのように白い塊として現れる場合もあります。この血餅には大切な役割があり、血を止めたり抜歯後の傷の治りを早めたりするだけでなく、ほかにも歯の骨がむき出しにならないよう保護し、2次的な感染を防ぐ役割もあります。

白いプニプニができるまでの流れ

抜歯をした後、どのように白いプニプニができるかというと、まず歯を抜いた周りの歯茎や骨などの組織から血が滲んできます。その血が抜歯窩にたまり、徐々に固まると血餅になります。この血餅は2日ほどで作られます。

この過程では、抜歯の穴に血液が集中することで発熱や痛みがピークになります。痛みがひどい場合、患部を冷やそうと冷たい物を当てると痛みは少し和らぐこともありますが、冷やしすぎると血行が悪くなり、新しく血管を作る作業が遅れてしまうので、患部の冷やしすぎには注意しましょう。

血餅が作られた後、どのような流れで治っていくのかは次の項目で詳しく見ていきます。

白いプニプニがどのように治る?

抜歯した後2日ほどすると、先程作られた血餅の中に血管と細胞が増えはじめ、1週間後には新しい骨が形成されはじめます。さらに、歯茎も2日から5日ほどで新しい歯茎の皮を作る準備を始めます。20日後には抜歯した穴が塞がり、新しい組織が歯茎になじんでいきます。

このような経過をたどり、抜歯した後の穴が正常な形に戻って日常生活に支障がなくなるには1カ月ほど、抜歯後の歯茎や骨がまわりの骨とほとんど変わらない状態になるには3~5カ月ほどかかると言われています。

抜歯にはそこまで難しくないものから、顎の骨の下にある親知らずを抜くような難しい抜歯までさまざまな状況があるため、歯茎が元通りになるまでの期間はそれぞれ異なります。

抜歯後に白いプニプニができた時の注意点


通常、抜歯した穴には血液が溜まり、表面が乾いてかさぶた状になった後、徐々に組織化していき血餅となりますが、血餅はしっかりと付着しているわけではないため、気になるからといって指や舌、歯ブラシなどで触ると簡単に動いてしまいます。

気になって何度も触ってしまうと血餅が取れたり、細菌感染を引き起こしてしまう可能性もあります。血餅が取れると抜歯した穴から白い骨が見えたままとなり、激しい痛みを伴います。これを“ドライソケット”と言います。

ドライソケットは名前の通り抜歯した穴に血液が満たされず、血餅が無いために穴が乾いてしまっている状態のことを言います。穴が乾いてしまうと骨が空気と触れている状態になり、疼痛や感染を引き起こします。また、血餅は止血剤の役割も担っているので血餅が取れると出血してしまうこともあるので注意が必要です。

抜歯後の痛みのピークを迎えた後、徐々に治まる痛みが反対に徐々に強くなる場合などは、このドライソケットという状態になってしまっている可能性が高いので、そのまま放置せずに早めに歯科医院に相談しましょう。

抜歯したら飲酒、喫煙は避けた方がいい?

さらに、抜歯後は患部がデリケートになっているので、数日~数週間ほど抜歯した部分が傷つきやすかったり、炎症が悪化しやすくなる可能性があります。

その間はなるべく硬い食べ物や刺激的なものは避け、やわらかいものを食べることをおすすめします。

さらに、飲酒をするとアルコールによる血管の拡張作用によって血が止まりにくくなってしまいます。最低でも抜歯後12時間は飲酒を避けましょう。

喫煙は反対に血流を悪くするため傷口が治りにくくなり、タバコを吸うことにより免疫力が低下してしまうので細菌に感染しやすくなります。喫煙により血餅が剥がれてしまう可能性もあるため、喫煙も抜歯後は避けるようにしましょう。

最後に

矯正治療のために抜歯を選択し、抜歯の痛みや辛い時期を乗り越えた方はこれからのきれいな歯並びのための準備をしている段階ですよね。

しかし、抜歯後に白いプニプニした部分が気になり何度も触ったり、うがいをして何度も穴を塞いでいる血餅を取ったりすると激しい痛みを伴うドライソケットを招きかねません。

せっかく矯正治療のために抜歯したにも関わらず、ドライソケットや細菌感染などを起こしてしまうと矯正治療をスムーズに行うことができません。抜歯後は抜歯部位を優しく労わり、白いプニプニができてもそっと自然に治っていくのを待つことが大切です。