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拡大装置の正しい使用方法
拡大床(かくだいしょう)や急速拡大装置などの拡大装置は、医院での装着後、患者さまが自宅で継続的に拡大ネジを回していく必要があります。拡大装置は急に強く力をかけるのではなく、数ミリずつ時間をかけて徐々に力をかけて広げていくため患者さまの協力が非常に重要になります。
ネジの真ん中に穴があるので、その穴に専用の針金の先を入れ、手前から奥へ倒すようにして回していきます。奥までネジを回したら、手前には引いて戻さずに、下側に向かってネジ回しを抜きます。手前に向かって針金を抜いてしまうとネジが回っていない状態になり、治療が進まなくなりますので注意が必要です。
基本的には1日に1~2回このようにネジを回すのを繰り返していきます。お子さま自らが口腔内のネジを回すのは難しいので、保護者の方などの協力が必要になります。
拡大装置のネジが回らなくなる原因
治療中の患者さまから、よく「拡大装置が回らなくなってしまったが、どうしたらいいか?」という問い合わせがあります。原因はいくつか考えられるのですが、
溜まった汚れによりネジが固まってしまった
拡大ネジの穴に食べカスや汚れなどが溜まり、穴を塞いでしまうことでネジが回せなくなってしまうことがあります。汚れは小さめの歯ブラシなどで除去しても落ちない場合は、固くこびりついてしまっている可能性があるので無理に落とそうとせず歯科医院で汚れを除去してもらうようにしましょう。
ネジを巻き切っている
ネジを巻き切って、それ以上ネジが回らない状態になっている可能性があります。無理に力ずくで巻こうとすると装置が破損してしまう可能性がありますので注意しましょう。
ネジが壊れている
単純にネジが壊れてしまい回せなくなっている可能性があります。もしも、ネジが硬くなって回しにくくなっているだけの場合は、一度ネジ穴にネジを深く差し込み、ネジの頭の部分を両手で一緒に回してみて、何度か巻いた後に再度戻すと巻きやすくなることがあります。これでも変わらず何か問題がある場合は、すぐに歯科医院を受診し確認してもらいましょう。
拡大装置のネジが回らない状態と放置しておくと…
拡大装置は患者さま一人一人の症例に合わせ、1日に決められた回数・決められた量に従い、ネジを回す必要があります。中には、ネジ回しを忘れてしまった、早く治療を進めたい、ネジが回らなくて焦ったからといってネジ回しのタイミングや取り扱いを自己判断で変えてしまう方もいらっしゃいます。
拡大装置は使用方法を誤ると、効果が期待できないどころか逆に状態を悪化させてしまうことがあります。ネジを回しすぎたことにより歯列弓が大きく広がり、臼歯が噛めなくなるだけでなく、過度な拡大を行った場合、骨から歯根が飛び出してしまう可能性もあります。
トラブルを防ぐためにも、決められた使用方法は必ず守るようにしましょう。また、拡大を終えるタイミングもそれぞれで、ネジを最後まで回し切らずに歯列弓が十分広がる場合もあります。どこまで広げるのかも、定期的に歯科医院で確認してもらいましょう。