矯正治療をして歯並びがきれいになってきたら、もうずっと新しい歯並びを維持できると思っている方が多いと思います。しかし、矯正装置を外した直後は、歯を支えている骨が十分に固まっていません。そのため、移動した歯が新しい位置に落ち着くまでしばらくの間はリテーナー(保定装置)を使用してもらいます。

リテーナーが大事な詳しい理由はこちら

長い間付けていた装置が「やっと外れる〜!」と思ったのも束の間、「まだ装置が続くのか…」と、がっかりする方もいるかもしれませんが、ワイヤー矯正やマウスピース矯正装置(インビザライン)など矯正装置に種類があったように保定装置にも種類があります。

当院で使用している保定装置の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。そろそろ保定期間に入る頃かな…という方で、どんなリテーナーを使うのか気になる方は装置選びの参考にしてみてください。

ベックタイプリテーナー

取り外しも簡単で、歯磨きもしやすい、昔からある最も一般的なリテーナーです。歯の表側は歯列全体をしっかりとワイヤーで取り囲み、裏側からは、透明なプラスチックのプレートが歯列を包んで、歯の移動を防ぎます。

咬合面(こうごうめん)と呼ばれる、噛む部分は覆われていないので細かい噛み合わせの調整を行う役割もあります。

主に、当院ではシルバーのワイヤーとブラケットで矯正を行なった患者さまはこのベックタイプリテーナーを使用します。

クリア棒リテーナー

形はベッグタイプリテーナーと同じものになりますが、前歯の部分が透明のシリコン素材でできています。ベックタイプやクリア棒リテーナーなど口蓋をプラスチックで覆うタイプのリテーナーはプレートタイプリテーナーとも呼ばれます。

前歯の部分が透明なので、装置をつけていることが目立ちにくく、お仕事が接客業の方など、普段お口を開けた時にワイヤーが見えたくないといった、審美面が気になる方のためリテーナーです。白いワイヤーとセラミックブラケットで治療した患者さまはクリア棒リテーナを使用しています。

マウスピースタイプリテーナー

透明なマウスピースタイプのリテーナーで、クリアリテーナーとも呼ばれています。透明なので付けているのが気づかれにくいのが最大のメリットです。歯全体を覆うタイプで薄いプラスチックで出来ており、強度はあまり強くありません。食いしばりや歯ぎしりをする方は特に装置が壊れやすくなります。

咬合面(上下の歯がかみ合う面)を含む歯全体を覆っている形のため、かみ合わせを微調整する必要がある場合は別のリテーナーをおすすめします。また、長期間使用しているとどうしても汚れが付着してしまい、着色もしやすいので、清掃のしにくさがあります。

マウスピース矯正装置(インビザライン)で治療した方はリテーナーもマウスピースタイプを使用することが多いです。

フィックスタイプ

細いワイヤーを歯の裏側に直接接着する固定式のリテーナーです。目立たず、取り外しの必要がないのがメリットですが、噛み合わせによっては上顎には装着できない場合や、歯磨きがしづらいので虫歯になりやすくなるリスクがあります。

また外れてしまう可能性もあります。もしそうなった場合は、飲みこんでしまわないように気をつけてください。そして、すぐに付け直さないと後戻りしてしまいます。プレートタイプやマウスピースタイプリテーナーと併用することもあります。

歯並びを維持するためにリテーナーを使う保定期間もとても大切な矯正治療です。せっかく綺麗に並んだ歯が、後戻りしてしまうかはリテーナーの使用状況にかかっています。伝えられた使用時間をしっかり守り、綺麗な歯並びを維持していきましょう。