出っ歯過蓋咬合(かみ合わせが深い)の子どもの歯並びを改善するために、バイオネーターという矯正装置を用います。ワイヤーとレジン(プラスチック)でできており、上下の歯列にまたがる取り外し式の矯正装置です。

バイオネーターを使って治療する歯並び

バイオネーターとは

通常、歯の矯正治療というと、ブラケットとワイヤーを用いるワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置などが一般的ですが、バイオネーターも、歯の矯正治療に使用される装置の一種です。

筋機能矯正装置と呼ばれ、筋肉の力を利用して成長期の歯と口の周りの組織を正しい位置に誘導し、噛む力を均等に分散させます。

そうすることで、バイオネーターは、噛み合わせや歯並びだけでなく、正しい顔面の発育を促し口腔まわりの問題を改善するのに役立ちます。

バイオネーターの素材

一定期間装着し、調整しながら歯を正しい位置に徐々に移動させ、症状を改善させるバイオネーターは、硬いプラスチック素材で作られているので耐久性があります。

ひとりひとり異なる上下の歯型と、かみ合わせを元に、矯正専門の歯科医師によって設計され、歯科技工士がワイヤーと床(しょう)部分はレジンープラスチック素材を用いて製作します。金属やレジンアレルギーがある方は使用が難しいことがありますが、ごく稀です。

バイオネーターの適応症例

バイオネーターは特定の不正咬合に対応するために設計されています。適応症例としては、上顎前突(出っ歯)や過蓋咬合(前歯のかみ合わせが深い歯並び)などです。

年齢的には、8〜12歳くらいの成長期の段階にある子どもに使用します。

前歯が乳歯から永久歯(大人の歯)に生え変わっている発育段階にあることで、歯科医師はバイオネーターを効果的に使用できます。

歯並びがガタガタの場合は、バイオネーターにネジを付けて顎を拡大する機能も追加し、歯並びとかみ合わせを改善します。

ネジ付きのバイオネーター

バイオネーターの使い方

使用時間

寝ているとき約8時間+日中2時間(昼間意識のあるとき)の1日10時間 以上バイオネーターを使用します。ただ口にいれているのではなく、噛んでいないと効果がありません。

通院頻度

平均すると1~2ヶ月おきに調整のために来院する必要があります。装置の調整後、歯のお掃除やフッ素塗布、場合によっては口腔内の改善のために口周りのトレーニング(MFT)を行うこともあります。

使用期間

バイオネーターの使用期間はだいたい1年半くらいです。バイオネーター使用後、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置を使用する場合もありますし、バイオネーターのみで治療が終わることもあります。

個人の治療計画や症状によっても異なります。詳しく知りたい方は初診カウンセリングや精密検査をご利用ください。

装着時間や調整頻度、使用期間はかかりつけの矯正歯科医師の指示に従いましょう。指定された時間を守って正しく装着することが大切です。

取り外しが可能な分、再装着を忘れてしまうと治療期間が長くなってしまうので気を付けましょう。

バイオネーターの費用

当院の場合は、360,000~420,000円(税別)です。一般的に大人の矯正にかかる費用より低めです。

バイオネーターのメリット

バイオネーターのメリットは、取り外しが可能なことです。

そのため、子どもの通学時や食事の時、歯磨きの時に外せるのでストレスも他の矯正器具に比べ低く、また口内の清潔も保ちやすいため、虫歯リスクも下げられます。

また、徐々に口腔内を広げたり歯を移動させることから痛みや口内炎などのリスクが低いこと、成長段階に合わせて調整でき、子どもの発育に合わせて最適化できることもメリットです。

バイオネーターのデメリット

お子さまが指示通りにきちんとバイオネーターを装着できているか、保護者の方のケアが重要です。

デメリットは、バイオネーターが取り外しが可能な分、外したまま適切に装着できないでいると、矯正治療の効果が低下する可能性があることです。

また、バイオネーターの付け初めは口の中に装置がある状態に慣れるまでは歯の痛み(一時的)や装着時の違和感があります。また、発音がしずらくなることもあります。

その他、虫歯予防のために洗浄剤を用いてバイオネーターを定期的にクリーニングする必要もあります。


また先ほども述べたように、ごく稀に金属・レジンなどのアレルギー反応が発現することもあります。

バイオネーターは大人にも使うの?

基本的に大人にはバイオネーターは使用しません。

歯の生え変わりや顎の成長により口腔構造が変化する、この子どもの成長段階を利用してバイオネーターが機能しているので、永久歯が生えそろい、顎や歯の成長が落ち着いた大人には他の有用な矯正器具があるため、殆ど利用されません。