オープンバイトとは
オープンバイトとは、別名「開咬(かいこう)」ともいいます。奥歯を噛んだとき、上下の前歯の間には若干の隙間があいていますが、この上下の歯の隙間が非常に大きい状態をオープンバイトといいます。
力を入れて閉じても歯と歯の間があいているため、上手く食べ物を噛み切ることができなくなってしまい、開咬の程度が強い場合は十分に咀嚼されていない食べ物が胃腸への負担を大きくしてしまいます。
オープンバイトの原因
原因はいくつか考えられますが、小さい頃の頑固な指しゃぶりや舌を出す癖、口呼吸などが主な原因として考えられています。
長期に渡って上下の前歯の間に指や舌を挟む癖が習慣化されると、上下前歯の間に徐々にすき間があいてきてしまうのです。扁桃腺肥大やアレルギー性鼻炎などによる口呼吸は、習慣化されると舌癖が出やすくなってしまいます。
他には、遺伝などで骨格的に問題があり、下顎の成長方向が悪い人がなりやすいという傾向もあります。
オープンバイトの弊害
オープンバイトを放置してしまうと、どのような悪影響があるのでしょうか。オープンバイトの人は、常に口が開いている状態となるため、口呼吸の頻度が高くなり口内が乾燥しやすくなります。
唾液には口内環境を整える役割がありますが、口内が乾燥し唾液の量が減ってしまうと菌の繁殖を促進させることに繋がります。口内の乾燥は風邪や歯周病、口臭を引き起こす原因にもなります。その他、上下の歯に隙間ができることで空気が漏れ出やすくなり、滑舌や発音にも影響を及ぼす場合があります。
また、開咬は将来歯を失うリスクが高いといわれています。前歯の噛み合わせが悪く、噛み合わせた時の力の分散が上手くおこなえていない場合、奥歯に過剰な負荷がかかることになります。その過度な力が長期間かかり続けると、歯の劣化を早めることになってしまうのです。
この場合、すぐに何か症状が現れるわけではなく、歯が徐々に劣化していくため、重度になるまで気づかない方も多く、最終的には歯が割れてしまい、最悪の場合抜かなければならないことも少なくありません。
他にも、うまく咀嚼することができず十分に咀嚼されていない食べ物を飲み込むことによって胃腸への負担を大きくしてしまうこともあります。
オープンバイトの治療法は?
オープンバイトは矯正治療で、奥歯の圧下(あっか)と前歯の挺出(ていしゅつ)つまり、奥歯を低くして上下の前歯を伸ばして噛み合わせる方法や、手術により顎の骨を切って前歯が噛み合う位置で骨を固定する方法などがあります。
必要に応じて矯正治療時には矯正用インプラント(アンカースクリュー)を併用することもあります。オープンバイトの治療法は、単に噛み合わせを改善するだけではなく、舌癖を改善するためのお口のトレーニングも並行して行います。
最後に
- オープンバイトをそのままにしておくと…
- ■唾液量が減り口内環境のバランスが乱れる
- ■奥歯への負担が増し最悪抜歯になる場合がある
- ■胃腸への負担が大きくなる
このようにオープンバイトを放置しておくと、歯だけでなく体への影響も大きいことがわかります。不正咬合の中でも一番後戻りしやすいとも言われており、矯正治療後も再び隙間があいてきてしまう場合もありますが、ある程度症状を軽減させることは可能です。
昔は上下の前歯の隙間が大きい場合などは、外科手術での治療が多かったようですが、現在は矯正・治療だけで改善できる症例も多くあり、患者さまの負担もかなり軽くなってきました。外科手術が必要な開咬かどうかは初診のカウンセリングでわかりますので、お悩みの方はぜひご利用ください。
オープンバイトを放置するリスクを考えると、矯正治療をして症状を改善させるメリットは大きいかもしれません。