「矯正治療が終わって歯並びはきれいになったのに、前歯の間に黒い三角形のすき間ができて気になる…」このようなお悩みをお持ちの方は、決して少なくありません。
この隙間はブラックトライアングルと呼ばれ、矯正治療によって歯並びが整ったからこそ現れるケースもあります。今回は、ブラックトライアングルが起こる理由や、当院での改善事例、治療方法について分かりやすく解説します。
目次
ブラックとライングルとは

ブラックトライアングルとは、歯と歯の間にできる黒い三角形のすき間のことです。本来、歯と歯の間は「歯間乳頭(しかんにゅうとう)」というピンク色の歯ぐきで埋まっています。しかし、何らかの理由でこの歯ぐきが下がったり、不足したりすることで、隙間が影になり黒く見えてしまいます。
特に前歯にできると、以下のような影響が出ることがあります。
- 審美性の低下:笑ったときに目立つ、写真写りが気になる
- 不完全な印象:「矯正したのに隙間がある」と感じしまう
- 衛生面の不安:食べかすが詰まりやすく、不衛生に見える。
なぜ矯正後にブラックトライアングルができるのか
「矯正の失敗ではないか?」と心配される方もいますが、多くの場合、歯が並んだことによる「結果」であり、異常なことではありません。主な原因は以下の3つです。
①歯並びが整い、隠れていた隙間が見えてきた

重なっていた歯(叢生)が並ぶと、それまで隠れていた歯の形がはっきりと現れます。歯の形が「逆三角形」に近い場合、根元に近い部分に隙間ができやすくなります。
②歯の形や大きさの影響
隣り合う歯が触れ合う点(コンタクトポイント)の位置によって、隙間の見え方は変わります。
- 矮小歯(通常より小さい歯)がある場合
- 歯の先端に比べて根元が細い形状の場合
③歯ぐきの位置の変化(歯肉退縮)
成人の矯正治療では、歯を動かす過程で歯ぐきの位置がわずかに下がることがあります。もともと歯周病傾向があった方は、整列後に歯茎が入り込みきれず、隙間として残りやすくなります。
ブラックトライアングルの改善方法
ブラックトライアングルの改善には、大きく分けて「矯正的なアプローチ」「詰め物でのアプローチ」「外科的なアプローチ」の3つがあります。
当院で推奨している改善方法
① IPR(削合)による改善

歯の側面をわずかに(0.2〜0.5mm程度)削り、歯の形を整えてから隙間を閉じる方法です。

- 症例詳細
- 主訴:ガタガタが気になる
- 診断名:叢生
- 初診時年齢:49歳
- 使用装置:マウスピース矯正装置(インビザライン)
- 抜歯部位:なし
- 治療期間:1年9ヶ月
- 費用:¥910,000(税込¥1,001,000)
- リスク・副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、後戻り


②ダイレクトボンディングによる改善

歯を削らずに、歯科用プラスチック(コンポジットレジン)を精密に盛り付けて隙間を埋める方法です。

- 症例詳細
- 主訴:ガタガタ、八重歯、笑った時の歯茎の見え方が気になる
- 診断名:叢生
- 初診時年齢:30歳
- 使用装置:マウスピース矯正装置(インビザライン)、途中ワイヤー矯正
- 抜歯部位:上下左右第一小臼歯
- 治療期間:3年
- 費用:¥865,000(税込¥951,500)
- リスク・副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、後戻り

その他の改善方法
ラミネートベニア

歯の表面を薄く削り、セラミックのシェルを貼り付ける方法です。歯の色や形を劇的に変えることができますが、健康な歯を削る必要があります。
歯周外科治療(歯肉移植)
ご自身の歯ぐきを一部移植し、下がってしまった隙間を物理的に埋める手術です。重度の歯肉退縮がある場合に検討されます。

※ラミネートベニアや歯周外科治療が必要な場合は、信頼できる専門医への紹介状をお出しすることも可能です。
ブラックトライアングルを予防するために
ブラックトライアングルは、日頃のケアで「悪化を防ぐ」ことが可能です。
- 「優しいブラッシング」を心がける 強い力で磨くと歯ぐきが下がってしまいます。柔らかめのブラシを使い、軽い力(鉛筆を持つ程度の圧)で磨きましょう。
- 歯間ケアを習慣にする フロスや歯間ブラシを使い、歯ぐきの炎症(歯周病)を防ぐことが、歯ぐきの厚みを維持するポイントです。
- 定期検診を受ける 矯正中・矯正後も、プロによるクリーニングで清潔な状態を保ちましょう。

まとめ:患者様に寄り添った「適切な選択」を
ブラックトライアングルの改善方法は一つではありません。 「IPR(歯のやすりがけ)」は非常に有効な方法ですが、たとえ微量であっても「健康な歯を削ること」に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。そのお気持ちは、私たちも十分に理解しています。
そのため、当院では無理に特定の治療をお勧めすることはありません。
1.まずはじっくりとお話を伺います
「どの程度まで隙間を埋めたいか」「歯を削ることに抵抗はないか」など、患者様のご希望を最優先にヒアリングします。
2.複数の選択肢をご提示します
当院で対応可能な「IPR」や「ダイレクトボンディング」だけでなく、それぞれのメリット・デメリットを公平にお伝えします。
3.適切な専門医をご紹介します
「歯を削らずに色も変えたい(ラミネートベニア)」や「外科的に歯ぐきを戻したい」といったご希望がある場合は、当院での処置にこだわらず、信頼できる専門クリニックへの紹介状を作成いたします。
「矯正してよかった」と心から思っていただけるよう、患者様にとって最も負担が少なく、納得感の高い解決策を一緒に探していきましょう。ぜひお気軽にドクターやスタッフへご相談ください。


