下の歯だけの矯正は可能か

上の歯は綺麗なのに、下の前歯だけがガタガタしていて気になるということがありますよね。とくに今まで気にならなかったのに、年齢とともにガタガタが増えてきたという方もいらっしゃると思います。

歯は、顎の大きさだけではなく、噛む力(咬合力)や唇や舌の力の影響を受けて並びます。

上の歯に比べて下の歯は舌の力や親知らずの影響を受けやすいため、色々な力がかかった結果、下の前歯が増齢とともにガタガタになることが多いです。

奥歯の噛み合わせや上の歯に問題がない場合は、下のみの部分的な矯正治療が可能となる場合があります。

-部分矯正とは(MTMとLOT

部分矯正とは歯を部分的に移動する方法を言います。一般的には治療期間は6ヶ月から1年程度で、大規模でない矯正が適応となります。

部分矯正には、一歯から数歯単位の部分矯正があり、「局所矯正」とも言われるMTM(Minor Tooth Movement)と、比較的広範な治療範囲の意味合いで用いられてきた「限局的矯正治療」(Limited Orthodontic Treatment)と呼ばれることが多いです。

-下の歯だけ部分矯正するメリット

部分矯正治療は全体的な矯正治療に比べると次のようなメリットが挙げられます。

1.装置を装着する部位が少ないため違和感が少ない

2.下の歯のみの矯正治療なので目立ちにくい

3.治療期間が短い

4.料金が比較的安価に抑えられる

-下の歯だけ部分矯正するデメリット

部分的にしか歯列矯正しない場合のデメリットは下記の通りです。

1.適応症が少ない

2.治療の限界がある

3.部分的に歯を動かすことによって、他の歯に影響が生じ、かみ合わせが変化したり違和感が出る可能性がある

デメリットの3.に関しては装置をつけていない歯が動かないように、追加でマウスピースや歯の裏側にワイヤーなどを装着して抑えることによって防ぐことが多いです。

-全顎矯正との適応の違い

全体矯正と部分矯正の違いは、全部の歯か局所の歯を動かすかです。

全体矯正はかみ合わせにを1から作る治療ですが、部分矯正は今あるかみ合わせを前提に変化させずに一部の歯並びを改善させます。

治療期間は全体矯正でおよそ2−3年、部分矯正ではおよそ6―12ヶ月と言われています。部分矯正では歯を抜くことが少なく、歯と歯の間の隙間を閉じたり、歯の軽度なガタガタの改善し、奥歯が倒れてしまったのを起こしたりなどを行います。

歯を動かす際、動かしたい歯に力をかけるとその反作用の力が生じるため、一般的に反作用の力が歯並びに影響しないように固定源を作ります。部分矯正の場合はその反作用を受けて固定源である動かしたくない歯が動いてしまうと、もともとのかみ合わせを変化させてしまう場合があります。

ですので、部分矯正の場合は治療予定以外の歯が動かないように、歯科矯正用アンカースクリューやマウスピース矯正装置などで固定を強固にする必要があります。

矯正装置の種類とその特徴

下の歯だけの矯正する場合も、装置の種類は歯列全体を矯正する時と同じものを用います。

装置の種類は大きく分けて、取り外せないブラケット・ワイヤー装置と取り外しができるマウスピース装置の2種類あります。

取り外せない装置は歯の表面にブラケット装置を着けたまま生活していただくため、歯ブラシがしにくかったり、違和感が強いなどのデメリットがありますが、逆に装置の着脱の手間がないためその方が楽と感じる方もいらっしゃいます。

マウスピース装置は歯ブラシがしやすいですが、マウスピースは食事と歯ブラシ時以外の1日の約22時間使用を推奨しているためしっかり使用できないと歯は動いてきません。

マウスピースを付けたまま飲食をされると、虫歯や着色の原因となるため、飲食関係の仕事をされていて頻繁に味見や試食する回数が多い方にはブラケット装置をおすすめしています。

下の歯だけ矯正した場合の一般的な費用感

下の歯だけの部分矯正は全体矯正治療に比べると、装置を装着する部位が少ないため費用や治療期間を抑えることが可能です。

下の歯の前歯だけなのか、奥歯だけなのか、それとも下の歯全部の矯正治療をするかなどの治療する範囲によって費用は変わりますが、一般的にはブラケット・ワイヤー装置の場合は15万円から45万円、マウスピース矯正装置の場合は30万円から60万円ほどかかります。

当院では部分矯正は28万円(税別)から治療可能となっております。

大宮SHIN矯正歯科の治療費のページ

矯正後のメンテナンスとケア

矯正治療は歯を動かす過程も大切ですが、歯を動かし終わった後の保定(歯が戻らないように抑えること)期間も同じように大切と言われています。

それは部分矯正治療でも同じです。とくに下の前歯は舌や噛む力の影響を受けやすく後戻りがしやすいと言われています。

また、下の親知らずが横を向いている場合は親知らずが下の奥歯を押すことによって、前歯のガタガタが生じる場合があるので、保定装置はしっかり使用するようにお願いします。

治療後も定期的に来院していただき、歯の後戻りが生じていないか、保定装置に変形や破損がないか、親知らずの位置に問題がないかなどを確認していきます。

よくある質問とその回答

-ワイヤー矯正の痛みはどのくらいですか?

ワイヤー矯正の場合、装置を装着した日やワイヤーを交換して新たに歯に力をかけた際に痛みが生じます。ただ痛みの感じ方は個人差がかなり大きいです。

マウスピース矯正は歯にかかる力が一定量となっていますが、ワイヤー矯正の場合は歯の動きによって強いときと弱いときがあるため、一般的にワイヤー矯正の方がマウスピース矯正と比べて痛みが強いと言われています。歯の痛みは大体3、4日がピークで、1週間経つと痛みを感じないことが多いです。

それ以外では硬いものを食べたき、歯軋りや噛みしめなどで一時的に上下の歯が強く接触する場合は痛みが生じやすいです。

-下の歯だけ治療した場合、顔立ちの変化はありますか?

下の前歯が上の前歯よりも出っ歯の場合矯正治療によって顔立ちが変化することがありますが、一般的には上の前歯の位置や噛み合わせの改善によって顔立ちや横顔が変化することが多いです。

口元の突出感の改善や噛み合わせのずれの改善がご希望の場合は、部分矯正ではなく全体矯正をお勧めしたします。

-治療開始後に他の部分の歯並びが気になる場合はどうしたらいいですか?

部分矯正の途中や後に他の部分の治療を追加することは可能です。しかし、治療費や治療期間が追加となるため、初めから全体矯正治療を行った方が治療費や治療期間を抑えることができる場合もございます。

歯並びだけではなく、噛み合わせ・口元など気になる部分に関しては、治療方法・治療費や治療期間について担当医とよく相談してから治療を開始することをおすすめいたします。