口ゴボとは

口ゴボとは、横から見たお顔の口元がポコッと盛り上がっている状態を示します。

理想的な横顔は、口を閉じた状態でお顔を横から見た時に、鼻先と顎先を結んだ線(Eライン)の内側に口元が収まっている状態とされています。

口ゴボは逆に、Eラインから上唇・下唇が出ている状態のことを指します。

-口ゴボはどんな歯並び?

口ゴボは、出っ歯や ガタガタ(叢生)などの不正咬合が原因の場合もありますが、正面からみた歯並びが良くても口ゴボの人はいます。

下顎骨劣成長など骨格が原因で顎が小さい人は、歯並びが綺麗でも横から見た口元がもっさりした印象になります。

口ゴボは部分矯正で治る?

-部分矯正とは

歯は親知らずを除いて上下で28本あります。通常の矯正治療では、この28本をすべて動かして歯並び、咬み合わせを整えます。

一方、部分矯正では、見た目の気になる歯やその周辺の数本の歯のみを動かします。
前歯のちょっとした凹凸や、すきっ歯を治したい方のために利用されることもある治療方法となります。

部分矯正と全体矯正の比較
↑全体矯正と部分矯正で動かす歯の範囲の違い

-部分矯正では治らない

最近、比較的軽度な口ゴボであれば 、マウスピースの部分矯正で安い治療費で治せるという広告を目にしますが、口ゴボの部分矯正はおすすめしません。治りません。

そもそも「軽度」といっても、自分自身のロゴボがどの程度か判断ができないと思います。

ロゴボの多くは、歯の大きさや本数に対して顎が小さいため、歯が顎にきれいに並びきらず、はみ出してしまった状態が口元を突出させている原因です。

口元の突出感をなくすために、前歯を後方に移動させるには、奥歯も同時にずらしていく必要があります。そうなると前歯だけを矯正する部分矯正では、ロゴボを治すことは難しいと言えます。

自分では、少し動かせば綺麗になると思っている歯並びでも、上下の顎の位置に問題があることも。骨格的なズレは、口元をぱっと見ただけではわからない場合もあり、レントゲン写真を撮って、歯列矯正専門の歯科医師が診断します。

口ゴボのレントゲン

-部分矯正のデメリット

適応症例でない部分矯正は、いずれ他の歯に負担がかかります。かみ合わせの弊害が起き、放っておくと最終的には歯を失うことになるため、結局は再矯正することになります。

また、ワイヤー治療の場合は部分的であっても痛みがあまり変わらないこともあります。
治療後の保定期間(後戻りを防ぐためのリテーナー着用期間)も、意外と全体矯正より長い傾向があります。

口ゴボの症例紹介

当院で口ゴボが改善された症例を紹介します。美容整形や外科手術など大掛かりな処置をしなくても、適切な歯列矯正で歯並びだけでなく、口元の印象も大きく変化します。

-マウスピース型矯正装置(インビザライン)で口ゴボを改善

この患者さまは、目立ちにくい、ワイヤー矯正と比べると痛みが少ないという理由から、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を選択し、歯列矯正のために上下左右、合計4本の小臼歯を抜歯しています。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)のメリット

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は抜歯症例には向かないと言われますが、矯正用アンカースクリューなど補助装置を併用し、マウスピースが不適合にならないよう注意することで、マウスピース型矯正装置(インビザライン)でも順調に治療が進んでいます。

治療を開始してから、1年7ヶ月経過していますが、口元の突出感がなくなり、横顔の印象がだいぶ変わりました。

  • 【症例まとめ】
  • 主訴:出っ歯・横顔が気になる
  • 診断名:上顎前突
  • 初診時年齢:21歳
  • 治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)、矯正用アンカースクリュー2本、ボタン(ゴム掛け)加速矯正装置、遠隔モニタリングシステム(デンタルモニタリング
  • 抜歯箇所:上下左右第一小臼歯
  • 治療期間:1年7ヶ月(現在治療継続中)
  • リスクと副作用:マウスピースの使用時間が20時間以上使えていない場合、抜歯した前後の歯が倒れてくる可能性がある
  • 費用:1,063,000円(税別)

口ゴボの歯列矯正にかかる費用

大人の歯列矯正にかかる、費用全体の相場は60万円〜150万円ほどです。

当院では、歯列全部を矯正する場合、ワイヤー矯正は90万円前後、マウスピース型矯正装置(インビザライン)であれば、100万円前後の治療費です。詳しい治療費についてはこちらから

-歯列矯正が高額な理由

歯列矯正が高額になる主な理由は、保険が適用されないためです。

公的保険が適用される治療とは、今のところ病気や怪我などに限られており、歯列矯正は見た目の改善という審美的な目的があると判断されるので保健適用外となります。

また、矯正器具は、口の中を傷つけたり、身体に害のないよう生体親和性のある特殊な素材を用いること、施術者にも歯列矯正の専門的な技術を要することが費用が高額になる要因です。

-矯正する歯科医院の選び方

とはいえ、治療費が高額だからという理由で、ご自身に適していない中途半端な治療を選択することは、口ゴボの悩みやコンプレックスの根本的な解決にはなりません。

歯並びは、一見、悪い部分だけを改善すれば良くなると思われがちですが、そうではありません。上下の顎の骨格、歯列全体そして生活習慣、全てが関連して、ひとりひとりの歯並びが成り立っています。

そしてそれは、口元の印象も同じです。口ゴボを改善し、横から見ても美しいEラインを実現するのに、部分矯正だけで可能な人はごくわずかでしょう。

ロゴボをなるべく費用をかけずに治したくて、安価なマウスピースの部分矯正を考えている方は、1医院だけで決めるのではなく、2ー3院、歯列矯正専門の歯科医院のカウンセリングを受診し、治療する医院を比較検討することをおすすめします。