歯列矯正が原因で、いじめに繋がらないか?と心配の保護者もいらっしゃいます。担当医と使用する装置について相談することで、いじめにならずに矯正治療が行えるかもしれません。

歯列矯正で「いじめ」が起きることはあるの?

心の発達が未熟である小学生が、“見たもの”をそのままに口に出してしまうことがあります。ギラっと目立つ矯正装置を付けているのを見てクラスメートがからかうかもしれませんし、または、意図していなくても矯正装置を付けていることで上手に発音できないことをクラスメートに指摘されて、傷つくお子さんもいるかもしれません。

しかし、歯列矯正で「いじめ」が起きる可能性は極めて低いです。それは、「装置の選択」で防ぐことができるからです。

いじめられにくい矯正装置

小学生に行う矯正治療では、主に顎の成長のサポートを促す、または逆に抑制する装置がよく使用されます。①取り外し可能(装着時間は就寝中や在宅中のもが多い)なもの、または、②見た目に配慮されたものも多くあります。

取り外し可能な装置(学校生活では使用しなくて良い)

就寝中など在宅時間に装着するので、学校生活では使用せず見た目や発音を気にする必要がない装置です。

①床矯正

上顎や下顎の成長を促す(広げる)ことで、歯のスペースを確保する目的で使用します。

拡大床

②マウスピース型矯正装置(i-3(アイスリー)、プレオルソ

反対咬合の治療に使用され、主にお口周りの筋肉や舌の位置、筋肉を鍛えるのに使用します。主に就寝時に装着します。

③ヘッドギア

上顎前突の治療に使われ、上顎の成長を抑制します。主に就寝時に使用します。

④チンキャップ

上顎や下顎の成長を促す(広げる)ことで、歯のスペースを確保する目的で使用します。

見た目に配慮された装置(他人に気づかれにくい)

すべての歯が永久歯に生え変わると2期治療と呼ばれる矯正治療を行います。成人の矯正治療で行われる歯を一本ずつ並べる治療と同じです。近年では、装置の見た目を懸念する人のために、より見た目に配慮された装置が増えてきました。

①審美ブラケット

ワイヤー矯正は、金属の装置やワイヤーが目立つと思っている方もいますが、近年では、審美ブラケットと呼ばれる、ブラケットが白や透明色のものがあり、従来よりも目立ちにくくなっています。また、装置は歯の表側につけるので、発音にはあまり影響が少ないです。

②舌側矯正

歯の裏側にブラケットをつける矯正方法です。歯の裏側なので、正面からは装置が見えません。逆に、デメリットとしては、慣れるまでは話しづらいという点が挙げられます。

③子ども用マウスピース型矯正装置(インビザラインファースト)

マウスピースを数週間ごとに交換することで、少しずつ歯の移動を促します。1日の装着時間は20時間以上ですが、透明なので日常生活でも目立ちません。しかし、食事の度に外す必要があるので、周囲に見られたくない場合はトイレで着脱するなど工夫が必要です。慣れるまでは話しづらい可能性があります。

いじめが起きないように学校と連携する

口数が少ないお子さんの場合、学校で起きたことを保護者が把握しづらい傾向にあり、保護者の心配はつきないです。そのような場合、学校に矯正治療中であることを伝えて子供たちの態度や対応を見てもらうのも一つの手です。また、仲の良いお友達に説明しておくと学校に理解者がいて安心できるかもしれません。

まとめ

わが子に歯列矯正をさせたいけれど、いじめのきっかけにならないか心配という悩みは解消されたでしょうか。低学年の子どもの歯列矯正は第1期治療にあてはまり、ほとんどが学校生活で着用しなくても大丈夫、もしくは正面からはほぼ見えないことがほとんどです。(症状の程度による)

第2期治療の時期としては思春期に差し掛かる頃なので、本人が気にするのであれば舌側矯正、マウスピースを使った矯正、審美ブラケットのブラケット矯正などを選択すると良いかもしれません。発音に関しては、次第に慣れてくるので一時的なものです。

最後になりますが、歯並びをキレイにすることは、前向きな行動であり、自己肯定感のアップにも繋がります。そしてなにより、子どものうちから歯列矯正を行うことは、抜歯の回避や顎の発達のサポートができる貴重な時期ですので、ぜひ前向きに捉えてください。