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カリエールとは
ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置(インビザライン)と併用して使用する、歯列矯正の補助器具のひとつです。
かみ合わせのために奥歯を大きく動かす必要がある症例に使います。カリエールは、奥歯を効率よく後ろに移動させ、歯が並ぶスペース不足を改善し、奥歯が正しい位置でかみ合うようにします。
カリエールをつける歯はどこ?
奥歯のかみ合う位置によって、上下どちらか片顎に使用します。カリエールが付く方と反対側の歯列は、固定源なので歯が動かないようにマウスピースを装着します。
上下の第一大臼歯が下の写真のようにかみ合っていれば、奥歯の歯並びに問題はありません。
しかし、正常といわれる位置より上顎の奥歯が前方に出ている場合は、上顎にカリエールをつけます。2級カリエールと呼びます。
下顎の奥歯の方が前に出ている場合は下顎にカリエール(3級カリエール)を装着し、それぞれカリエールがついている方の奥歯を後方へ移動させ、歯が並ぶためのスペースを確保します。
カリエールをつける期間は?
カリエールは、ワイヤー矯正のためのブラケットやマウスピース矯正装置(インビザライン)を使用する前段階の処置として、数ヶ月間装着します。
そして最も重要なのが、1日20時間以上顎間ゴムをかけることです。このゴムかけを患者さまに協力していただかないとカリエールの効果が得られません。
基本的に食事と歯磨き以外はゴムをかけます。これはマウスピース矯正装置(インビザライン)の使用方法と同じですね。
例えば、下の写真のように、上顎の前から3番目(犬歯)と6番目(第一大臼歯)の歯に直接装着した場合、下顎の第一大臼歯にボタンをつけ、顎間ゴムを引っ掛けます。
そうすることで、矢印のように上顎の奥歯が後方に移動します。
↓カリエールはこのように歯に装着しています↓
カリエールの値段は?
カリエールの値段は、歯列矯正を行う歯科医院によって違いますが、大宮SHIN矯正歯科では、1本33,000円(税込)で装着しています。
カリエールを使用することで次のような効果が得られます。
①治療期間の短縮
カリーエルは、犬歯より後ろの歯、4〜5本を同時に効率良く後ろへ移動することができます。
そのため、治療期間を3割程度短縮できると言われています。例えば、カリエールを使用しなかったら2年半かかる治療期間が、約1年ほどになります。
②歯列矯正のために歯を抜かなくてよい
抜歯が必要な症例が、カリエールを使って後方に歯を動かことで、歯列に歯の移動に必要なスペースが生まれ、歯を抜かずに治療できる場合があります。症例によっては、抜歯してさらにカリエールを使用することもあります。
しかし、カリエールを付ける歯に被せ物がしてある場合は、カリエールは使用できません。
カリエールは痛い?
痛みの感じ方は個人差があるようですが、ゴムをかける時に痛みを感じる方が多いようです。
その痛みは、歯が動いている証拠です。だんだん歯間に隙間ができ、歯列の変化が自分で確認できるようになると、痛みもモチベーションに変わるという方も稀にいらっしゃいます。
痛み以外に、カリエールについてよくある質問をご紹介します
-滑舌について
カリエールを付けた直後は口の中の違和感がありますが、歯の外側につける装置なので、舌に触れることはなく日常生活の滑舌には影響はありません。
-食事について
歯とカリエールの隙間に食べ物が挟まりやすくなります。葉物やえのきなど絡まりやすい食べ物は気をつけましょう。お食事の時はゴムとマウスピースは外してください。
矯正中の食事についてはこちらのブログに詳しく書かれています。
-カリエールは目立つ?
カリエールが登場したときは金属のものしかなく、存在感は否めませんでしたが、最近はカリエールクリアという透明の樹脂タイプのものがあり、目立つ見た目は克服されています。
-金属アレルギーでも使えますか?
比較的アレルギーの起こりにくい、ニッケルチタン合金、ポリエステルといった材質でできています。
-子どもの歯列矯正にも使用できる?
カリエールは大人だけでなく、乳歯から永久歯に生え変わっている最中の子どもの歯列矯正にも使用できます。
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、叢生(ガタガタ)の歯並びで、奥歯の位置関係に問題がある方にカリエールを使用します。
カリエールは、治療期間短縮や非抜歯など歯列矯正を効率的に進めることができます。しかし、全ての方に適応する補助器具ではありません。気になる方はぜひ初診カウンセリングでご相談ください。