歯列矯正の後戻りの原因と対処方法を歯科医師が解説!

2025.02.03

せっかく歯列矯正をしてきれいな歯並びを手に入れたのに、時間が経つと元の位置に戻ってしまう「後戻り」。これは多くの人が抱える悩みの一つです。では、どのような人が後戻りしやすいのでしょうか?その原因とともに解説します。

矯正治療後に後戻りしやすい人の特徴と原因

1. リテーナーを適切に使用していない

矯正治療が終わった後、歯が元の位置に戻らないように保定装置(リテーナー)を使用する必要があります。しかし、装着時間が短かったり、途中でやめてしまうと、歯は元の位置に戻ろうとします。

また、リテーナーが破損した状態で使用を継続した場合も後戻りすることがありますので破損した場合には、早急に医院に連絡して診察してください。

2. 成長期の子どもや若年層

成長期の子どもや10代の若年層は、顎の成長が続いているため、歯が動きやすい状態です。矯正後も顎の成長によって歯並びが変わる可能性があり、特に注意が必要です。

3. 舌の癖や悪習慣がある

舌で前歯を押す癖や、口呼吸の習慣があると、歯に常に圧力がかかり、後戻りしやすくなります。また、頬杖や爪を噛む癖も歯並びに影響を与えます。

そのため、治療中から歯並びに影響を与える日頃の何気ない癖をなくす意識づけが必要です。

舌で前歯を押してしまう場合、矯正治療後に前歯が前方に突出してくる事があります。

4. 歯ぎしり・食いしばりが強い

無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをする人は、歯に強い力がかかるため、歯並びが変化しやすくなります。

5. 矯正治療の期間が短かった

矯正期間が短すぎると、歯が新しい位置で安定する前に装置を外してしまうため、後戻りしやすくなります。治療期間は医師の指示に従い、焦らずしっかり行うことが大切です。

6.親知らずがある人

親知らずが他の歯を押しているようなケースでは、後戻りしやすくなります。

後戻りする確率を下げる方法

後戻りを防ぐためには、矯正治療後のアフターケアが重要です。以下のポイントを押さえて、きれいな歯並びを維持しましょう。

1. リテーナーを適切に使用する

矯正治療後の歯は、しばらく不安定な状態です。リテーナーを適切に装着し、歯が安定するまでしっかり保定しましょう。特に治療直後は1日中装着し、医師の指示に従って徐々に装着時間を減らします。

保定装置は、個人差がありますがおおよそ2年間使用します。使用時間は、徐々に減らしていきますが医師からの指示に従って使用してください。

2. 舌の癖を改善する

舌を前に押し出す癖がある場合、舌のトレーニングを行い、正しい舌の位置を意識しましょう。専門的な指導が必要な場合は、歯科医院で相談するとよいでしょう。

3. 歯ぎしり・食いしばり対策をする

歯ぎしりが原因で歯並びが崩れることを防ぐために、ナイトガード(マウスピース)を使用するのも効果的です。

4. 定期的な歯科検診を受ける

後戻りを防ぐためには、矯正治療後も定期的に歯科検診を受けることが重要です。歯の状態をチェックし、問題があれば早めに対処しましょう。

後戻りしてしまった場合の対処

もし歯並びが後戻りしてしまった場合、早めに対処することで元のきれいな歯並びを取り戻すことができます。

1. すぐに歯科医院に相談する

後戻りが軽度のうちに歯科医院へ相談すると、簡単な処置で改善できることがあります。まずは矯正治療をしてもらった医院に連絡しましょう。

2. リテーナーの再装着

後戻りが軽度の場合、以前使用していたリテーナーを再び装着することで歯並びを整えることができる場合があります。ただし、合わなくなっている場合は、新しいリテーナーを作成する必要があります。

3. 矯正治療の再開(再矯正治療)

後戻りが進行している場合は、再び矯正治療を行うことが必要になることもあります。部分矯正やマウスピース矯正装置など、負担の少ない方法が選べる場合もあるので、歯科医と相談しましょう。

よくある質問とその回答

Q. リテーナーはどのくらいの期間すればよいですか?

A. 矯正治療後、最低でも1〜2年はリテーナーを装着することが推奨されます。特に治療直後は1日中装着し、その後、夜間のみの使用へと移行します。医師の指示に従って使用を続けましょう。

ご自身でも歯がズレていないか確認していただけるとよりよい歯並びを維持できます。

Q. 後戻りしてしまった場合でも相談できますか?

A. もちろん可能です。

マウスピース矯正装置(インビザライン)で全体治療を行っている患者様には、治療開始してから5年間の保証制度を設けています。すなわち治療開始から5年間は無料でマウスピースの再製作を行えます。

平均的な治療期間を約2年としますと、動的治療終了後3年間は後戻りの保証ができる事になります。

このような保証制度は、治療を受けた医院でしか使用できませんが、時間が経ってしまった場合など、同じ先生に診てもらうことが難しい場合もあると思います。

もちろん他院で矯正治療を受けた方の再矯正治療も行うことも可能です。

後戻りの原因、治療後の時間経過、再発した不正咬合の程度などを元に、それぞれの方の状況に応じて、改めて治療計画をたてます。再矯正治療の症例紹介はこちら

まとめ

歯列矯正の後戻りは、多くの人が経験する可能性があります。しかし、リテーナーの適切な使用や悪習慣の改善、定期的な歯科検診を受けることで、後戻りのリスクを抑えることができます。もし後戻りが起きてしまった場合も、早めに対処することで、歯並びを整えることが可能です。

矯正治療後の歯並びを維持するために、適切なケアを続け、疑問や不安がある場合は歯科医院に相談しましょう。あなたの大切な歯を守るために、専門の矯正歯科がしっかりサポートします!

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

ワイヤー矯正のステップをわかりやすく説明。矯正治療ってどうやって進行するの?

2025.01.25

ワイヤー矯正とは?

ワイヤー矯正は、歯にブラケット(小さな装置)を装着し、それをワイヤーでつなぐことで歯を理想の位置に移動させる矯正治療の一種です。

この方法は、多くの歯並びやかみ合わせの問題に対応できるため、一般的に使用されています。ここでは、ワイヤー矯正の治療がどのように進むのかを、ステップごとに詳しく解説します。


ワイヤー矯正のステップ

1.初回相談と診断

矯正治療は、まず歯科医院での初回相談から始まります。このステップでは、次のようなことを行います。

歯並びやかみ合わせの確認

お口の中と顔の写真を撮影します。問診票と撮影した画像を見ながら歯科医が現在の状態をチェックし、どのような治療が必要かどうか判断します。

治療の説明

患者さんの希望や歯並びの悩みをヒアリングし、矯正の種類や大まかな治療期間、費用について説明します。

より詳しい治療計画を立てる場合は、レントゲン撮影、歯型の採取、口腔内写真の撮影を行います。これらのデータを収集する検査を精密検査と呼びます。


2.治療計画の立案と説明

精密検査の結果に基づき、矯正治療の具体的な計画が立てられます。

-治療目標

どのような歯並びにするのか、かみ合わせをどのように改善するのか治療目標を設定します。

治療期間

通常、1.5年から3年程度ですが、個人の状態によって異なります。

使用する装置

ワイヤー矯正に使うブラケットの種類(メタルブラケット、セラミックブラケットなど)や、追加の装置が必要かどうか検討します。

費用

治療全体にかかる費用を算出します。

そして、これらの情報を患者さんに共有し、この段階で治療内容に納得した場合は治療を開始します。


3.ワイヤー矯正装置の装着

治療がスタートすると、最初に矯正装置を装着します。

ブラケットの装着

歯の表面にブラケットを一つずつ接着剤で装着します。これは痛みはほとんどありません。

ワイヤーの取り付け

ブラケット同士をつなぐようにワイヤーを通し、矯正が始まります。このワイヤーが歯に力を加えて、徐々に歯を動かしていきます。

違和感への対応

装置を装着して数日間は、口の中に異物感を感じたり、歯が軽く痛むことがありますが、通常1週間程度で慣れます。


4.定期調整(毎月1回程度)

ワイヤー矯正中は、1カ月に1回程度のペースで定期的に通院し、装置の調整を行います。

ワイヤーの交換や調整

歯の動きに合わせてワイヤーを交換したり、強さを調整します。

歯の動きの確認

歯が計画通りに動いているかを確認し、必要に応じて計画を微調整します。

追加の装置

ゴムやパワーチェーンなどの追加装置が必要な場合、装着します。

調整後は、数日間歯が痛むことがありますが、軽い不快感に留まる場合がほとんどです。

関連記事:ワイヤー矯正・歯が痛くて食事ができない、ワイヤー矯正中におすすめの食事


5.治療後半:微調整

治療が進むにつれて、歯の位置がほぼ整ってきます。

かみ合わせの調整

歯の位置だけでなく、上下のかみ合わせも正しくなるよう微調整します。

最終確認

治療計画の最終段階に入り、ゴールに向けた細かい調整が行われます。


6.装置の取り外し

治療が完了したら、矯正装置を取り外します。

ブラケットとワイヤーの除去

装置を外し、歯の表面をきれいにします。ワイヤー矯正感動の瞬間

クリーニング

接着剤を取り除き、歯を徹底的にクリーニングします。


7.保定(リテーナーの使用)

矯正が終わった後も、歯が元の位置に戻らないように「保定」という段階が必要です。

リテーナーの装着

取り外し可能なリテーナーや固定式のワイヤーを装着して、歯を新しい位置に固定します。

定期チェック

矯正後も数カ月に一度、歯科医院でリテーナーの状態や歯並びを確認します。

保定期間

保定装置の使用期間は、1年から数年とされますが、場合によっては継続的な使用が推奨されることもあります。


まとめ

ワイヤー矯正は、初回相談から保定までを含めると数年にわたる治療プロセスです。一つひとつのステップを確実に進めることで、理想的な歯並びと噛み合わせを手に入れることができます。初めての方でも安心して治療を受けられるよう、疑問や不安は歯科医に相談しながら進めていきましょう。

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

下の歯だけ矯正できる?部分矯正の方法と一般的な費用

2025.01.17

下の歯だけの矯正は可能か

上の歯は綺麗なのに、下の前歯だけがガタガタしていて気になるということがありますよね。とくに今まで気にならなかったのに、年齢とともにガタガタが増えてきたという方もいらっしゃると思います。

歯は、顎の大きさだけではなく、噛む力(咬合力)や唇や舌の力の影響を受けて並びます。

上の歯に比べて下の歯は舌の力や親知らずの影響を受けやすいため、色々な力がかかった結果、下の前歯が増齢とともにガタガタになることが多いです。

奥歯の噛み合わせや上の歯に問題がない場合は、下のみの部分的な矯正治療が可能となる場合があります。

-部分矯正とは(MTMとLOT

部分矯正とは歯を部分的に移動する方法を言います。一般的には治療期間は6ヶ月から1年程度で、大規模でない矯正が適応となります。

部分矯正には、一歯から数歯単位の部分矯正があり、「局所矯正」とも言われるMTM(Minor Tooth Movement)と、比較的広範な治療範囲の意味合いで用いられてきた「限局的矯正治療」(Limited Orthodontic Treatment)と呼ばれることが多いです。

-下の歯だけ部分矯正するメリット

部分矯正治療は全体的な矯正治療に比べると次のようなメリットが挙げられます。

1.装置を装着する部位が少ないため違和感が少ない

2.下の歯のみの矯正治療なので目立ちにくい

3.治療期間が短い

4.料金が比較的安価に抑えられる

-下の歯だけ部分矯正するデメリット

部分的にしか歯列矯正しない場合のデメリットは下記の通りです。

1.適応症が少ない

2.治療の限界がある

3.部分的に歯を動かすことによって、他の歯に影響が生じ、かみ合わせが変化したり違和感が出る可能性がある

デメリットの3.に関しては装置をつけていない歯が動かないように、追加でマウスピースや歯の裏側にワイヤーなどを装着して抑えることによって防ぐことが多いです。

-全顎矯正との適応の違い

全体矯正と部分矯正の違いは、全部の歯か局所の歯を動かすかです。

全体矯正はかみ合わせにを1から作る治療ですが、部分矯正は今あるかみ合わせを前提に変化させずに一部の歯並びを改善させます。

治療期間は全体矯正でおよそ2−3年、部分矯正ではおよそ6―12ヶ月と言われています。部分矯正では歯を抜くことが少なく、歯と歯の間の隙間を閉じたり、歯の軽度なガタガタの改善し、奥歯が倒れてしまったのを起こしたりなどを行います。

歯を動かす際、動かしたい歯に力をかけるとその反作用の力が生じるため、一般的に反作用の力が歯並びに影響しないように固定源を作ります。部分矯正の場合はその反作用を受けて固定源である動かしたくない歯が動いてしまうと、もともとのかみ合わせを変化させてしまう場合があります。

ですので、部分矯正の場合は治療予定以外の歯が動かないように、歯科矯正用アンカースクリューやマウスピース矯正装置などで固定を強固にする必要があります。

矯正装置の種類とその特徴

下の歯だけの矯正する場合も、装置の種類は歯列全体を矯正する時と同じものを用います。

装置の種類は大きく分けて、取り外せないブラケット・ワイヤー装置と取り外しができるマウスピース装置の2種類あります。

取り外せない装置は歯の表面にブラケット装置を着けたまま生活していただくため、歯ブラシがしにくかったり、違和感が強いなどのデメリットがありますが、逆に装置の着脱の手間がないためその方が楽と感じる方もいらっしゃいます。

マウスピース装置は歯ブラシがしやすいですが、マウスピースは食事と歯ブラシ時以外の1日の約22時間使用を推奨しているためしっかり使用できないと歯は動いてきません。

マウスピースを付けたまま飲食をされると、虫歯や着色の原因となるため、飲食関係の仕事をされていて頻繁に味見や試食する回数が多い方にはブラケット装置をおすすめしています。

下の歯だけ矯正した場合の一般的な費用感

下の歯だけの部分矯正は全体矯正治療に比べると、装置を装着する部位が少ないため費用や治療期間を抑えることが可能です。

下の歯の前歯だけなのか、奥歯だけなのか、それとも下の歯全部の矯正治療をするかなどの治療する範囲によって費用は変わりますが、一般的にはブラケット・ワイヤー装置の場合は15万円から45万円、マウスピース矯正装置の場合は30万円から60万円ほどかかります。

当院では部分矯正は28万円(税別)から治療可能となっております。

大宮SHIN矯正歯科の治療費のページ

矯正後のメンテナンスとケア

矯正治療は歯を動かす過程も大切ですが、歯を動かし終わった後の保定(歯が戻らないように抑えること)期間も同じように大切と言われています。

それは部分矯正治療でも同じです。とくに下の前歯は舌や噛む力の影響を受けやすく後戻りがしやすいと言われています。

また、下の親知らずが横を向いている場合は親知らずが下の奥歯を押すことによって、前歯のガタガタが生じる場合があるので、保定装置はしっかり使用するようにお願いします。

治療後も定期的に来院していただき、歯の後戻りが生じていないか、保定装置に変形や破損がないか、親知らずの位置に問題がないかなどを確認していきます。

よくある質問とその回答

-ワイヤー矯正の痛みはどのくらいですか?

ワイヤー矯正の場合、装置を装着した日やワイヤーを交換して新たに歯に力をかけた際に痛みが生じます。ただ痛みの感じ方は個人差がかなり大きいです。

マウスピース矯正は歯にかかる力が一定量となっていますが、ワイヤー矯正の場合は歯の動きによって強いときと弱いときがあるため、一般的にワイヤー矯正の方がマウスピース矯正と比べて痛みが強いと言われています。歯の痛みは大体3、4日がピークで、1週間経つと痛みを感じないことが多いです。

それ以外では硬いものを食べたき、歯軋りや噛みしめなどで一時的に上下の歯が強く接触する場合は痛みが生じやすいです。

-下の歯だけ治療した場合、顔立ちの変化はありますか?

下の前歯が上の前歯よりも出っ歯の場合矯正治療によって顔立ちが変化することがありますが、一般的には上の前歯の位置や噛み合わせの改善によって顔立ちや横顔が変化することが多いです。

口元の突出感の改善や噛み合わせのずれの改善がご希望の場合は、部分矯正ではなく全体矯正をお勧めしたします。

-治療開始後に他の部分の歯並びが気になる場合はどうしたらいいですか?

部分矯正の途中や後に他の部分の治療を追加することは可能です。しかし、治療費や治療期間が追加となるため、初めから全体矯正治療を行った方が治療費や治療期間を抑えることができる場合もございます。

歯並びだけではなく、噛み合わせ・口元など気になる部分に関しては、治療方法・治療費や治療期間について担当医とよく相談してから治療を開始することをおすすめいたします。

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

しゃくれは矯正で治療できる?反対咬合(受け口)との違い

2025.01.11

下顎が前に突き出ている状態、いわゆる「しゃくれ」を改善する方法として歯列矯正は効果があるのでしょうか。しゃくれの原因を踏まえつつ、しゃくれを改善する方法をお伝えします。

しゃくれの原因と症状

しゃくれは、反対咬合(受け口)と同様に下顎が前に突き出ている状態です。

違いとしては、しゃくれの主なのは骨格的な問題で、反対咬合と違い下顎の歯列が上顎の歯列より前に出ていないケースもあります。

医学的には「下顎前突(かがくぜんとつ)」と言います。見た目としては、口を閉じたときに下顎が前方に出ている印象を与えます。

-しゃくれの原因

先天的な骨格的な成長の問題や遺伝、あるいは後天的なもの、幼少期の悪習癖(指しゃぶりや舌癖)があります。

-しゃくれの症状

①顔貌の特徴

下顎が突出しているため、美しい横顔の基準(Eライン)から下唇や顎が大きくずれる場合があり、その外見的な特徴から他人に無表情の時でも怒ったような印象を与えてしまっているかもしれません。

②かみ合わせの特徴

上顎より下顎が前方にある「反対咬合」となり、食事の際に食べ物をかみ切ることが難しい。また、特定の発音(サ行、タ行など)がしづらいのではないでしょうか。 

  • 〈画像の症例詳細
  • 主訴:咬み合わせが反対
  • 診断名:反対咬合
  • 初診時年齢・性別:25歳・男性
  • 治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)
  • 抜歯箇所:なし
  • 治療期間:1年5ヶ月
  • 費用:90万円(税別)
  • リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

しゃくれを治すための矯正治療の方法

-子どもの矯正治療

成長期の子どもであれば、機能的矯正装置を用いて顎の成長をコントロールする治療法が適しています。この方法では、舌の使い方や位置を改善することも行えます。

そのため、矯正治療を行いながら、舌のトレーニングを行なっていきます。

-大人の矯正治療(成人矯正)

しゃくれの度合いが比較的軽度であり、上顎の歯が内側に倒れている場合、ワイヤー矯正、マウスピース矯正装置(インビザラインなど)にて改善することが可能です。

しゃくれの度合いが重症の場合でも、奥に歯を移動させるスペースがあれば、下顎の歯列を後方(遠心移動)にすることにより改善できる可能性があります。

まず、カリエールモーション歯科矯正用アンカースクリューなどの補助装置を用いて下顎の歯列を後ろに移動させます。その後、ワイヤーまたはマウスピース矯正装置(インビザラインなど)にて改善していきます。

-外科的矯正治療

骨格的なズレが大きすぎる場合は、外科手術(骨切り術)が必要になります。先ほどの述べた大人の矯正治療(術前矯正治療といいます)を先に行い、その後に外科手術をして改善します。

外科的矯正治療を行う場合、外科手術(骨切り術)を行う前はしゃくれが悪化したように見えます。その後、外科手術後には改善されます。

手術が必要かどうかは、セファロやCT画像による分析を行なって判断します。矯正専門医院にて相談してください。

歯列矯正以外のしゃくれ治療法

-セラミック治療

しゃくれの度合いが軽度の場合、セラミック治療により改善できます。

上顎、下顎ともに歯を削りセラミックの人工歯により歯の形や角度を変えることで見た目を改善する方法です。

-美容外科手術

オトガイ形成術という顎先を切除し、ずらすことにより顔貌を改善する方法です。

この方法は、歯並びは治さないためかみ合わせ等はそのままとなります。

矯正治療をするリスクと矯正治療しないままでいるリスク

-矯正治療中のリスク

①矯正装置による不快感、痛み

装置を装着した直後は、違和感や痛み等があります。とはいえ、数日(2~3日)長くても1~2 週間で慣れることがほとんどです。

②むし歯や歯周病のリスク

ワイヤー矯正治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。 むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。

また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。

③歯根吸収や歯肉退縮のリスク

歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。

④治療期間延長の可能性

マウスピース矯正装置のように患者さま協力度が大きく関わる治療の場合、装置の使用状況によっては治療期間の延長、および治療結果が制限される可能性があります。

詳しくは日本矯正歯科学会ホームページをご覧ください。

-矯正治療しないままでいるリスク

しゃくれの症状で述べた、顔貌のコンプレックスや不正咬合(悪いかみ合わせ)をそのままにしておくことになります。

その他、顎がずれているため顎関節への負担が大きくなり顎関節症を引き起こしやすい口呼吸の傾向があります。

下顎が前方に出ていることで口唇が閉じにく、無意識に口呼吸になっていませんか?口呼吸は、乾燥による喉の炎症や風邪の引きやすさにつながります。

またしゃくれの方は低位舌になっている可能性が多く、睡眠時無呼吸症候群のリスクも上がります。

しゃくれについてよくある質問とその回答

-矯正治療の期間はどのくらいですか?

治療期間の目安としては下記の表の通りです。より具体的な治療期間を知りたい場合は、歯並びや骨格によって一人一人異なりますので、初診相談や精密検査をご利用ください。

また、矯正治療後は保定装置(リテーナー)を最低でも2年間使用していただきます。

-しゃくれが悪化することはありますか?

遺伝的なしゃくれの場合、思春期の成長ラストスパートなどで悪化する可能性があります。後天的な原因のしゃくれの場合は、生活習慣や癖の積み重ねがしゃくれの進行を助長します。

早期に原因を特定し、適切な治療や対策を講じることで、悪化を防ぐことが可能です。気になる場合は、歯科医や矯正専門医に相談することをおすすめします。

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

叢生 27歳 女性 治療期間:2年6ヶ月

2025.01.07UPDATE:2025.01.10

ガタガタなことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:27歳・女性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:2年6ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:92万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

叢生 9歳 男の子 治療期間:1年5ヶ月

2025.01.07

ガタガタを気にして来院された患者様です。非抜歯で、取り外し式矯正装置拡大床)を使用し、永久歯が生えるスペースを確保した後、表側矯正ワイヤー)でガタガタを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:9歳・男の子

治療装置:拡大床、表側矯正(ワイヤー)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:1年5ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:48万円程度(税別)


詳細は
こちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

叢生 25歳 女性 治療期間:1年5ヶ月

2025.01.07UPDATE:2025.01.10

ガタガタなことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:25歳・女性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:1年5ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:92万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

上顎前突・正中離開 22歳 男性 治療期間:2年9ヶ月

2025.01.07

出っ歯前歯の隙間を気にして来院された患者様です。抜歯上下左右第一小臼歯)をして、表側矯正ワイヤー)を使用し、前歯の隙間咬み合わせを改善しました。

主訴:出っ歯と前歯の隙間が気になる

診断名:上顎前突・正中離開

初診時年齢・性別:22歳・男性

治療装置:表側矯正(ワイヤー)

抜歯or非抜歯:抜歯(上下左右第一小臼歯)

治療期間:2年9ヵ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:82万円程度(税別)


詳細は
こちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

叢生 35歳 男性 治療期間:3年2ヶ月

2025.01.07UPDATE:2025.01.10

ガタガタなことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、ガタガタ咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタが気になる

診断名:叢生

初診時年齢・性別:35歳・男性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:3年2ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:92万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

抜歯後の矯正治療で歯の隙間が埋まるまでどれくらいかかる?歯が移動する期間とステップ

2024.12.11UPDATE:2025.03.19

矯正治療で抜歯を行った際、抜歯後の隙間がどのように埋まっていくのかは多くの患者さんが気になるポイントです。今回のブログでは、隙間が埋まるまでの期間やステップ、そして隙間が埋まらない場合の原因や治療の選択肢について詳しく解説します。

抜歯後の隙間はどのくらいで埋まるのか

抜歯後の隙間が完全に埋まるまでの期間は、治療内容や患者さんの状況によって異なります。凸凹(でこぼこ)の解消をメインとする治療では、比較的早い段階で隙間が埋まります。一方、出っ張った前歯を下げる治療の場合、隙間が埋まるスピードは遅くなりがちです。

具体的には、治療初期の段階で凸凹を整えながら隙間の一部が閉じ、治療後半では前歯を後ろへ移動させながら残りの隙間を埋めていきます。

隙間が完全に閉じるまでには、平均で1年から1年半程度かかることが多いですが、治療ごとに少しずつ閉じるため、途中からはあまり気にならなくなるケースがほとんどです。

また、歯の動く速さは一般的に月に約1mm程度とされており、歯のガタつきや骨の状態によって個人差があります。そのため、治療のペースや計画は患者さんごとに異なるという点はご理解ください。

矯正治療における抜歯の必要性

矯正治療で抜歯が必要になるケースは、主に歯槽骨(歯と顎の骨)のバランスが取れていない場合です。歯が大きい、もしくは顎が小さい場合、歯を無理に並べると以下のリスクが高まります。

◾️歯茎が下がる

◾️歯がぐらつく

◾️出っ歯になる

たとえば、3人掛けの椅子に4〜5人が座ろうとする状態を想像してください。十分なスペースがないため、無理に並べると問題が生じます。

矯正治療における抜歯の必要性

このようなケースでは、抜歯を行ってスペースを確保し、歯並びを適切に整えることが重要です。治療の方針を決める際には、事前に歯や骨の状態を確認し、無理のない計画を立てることが大切です。

矯正治療における抜歯の必要性について詳しくはこちら

抜歯後の隙間が埋まるためのステップ

抜歯後の隙間が埋まるまでのプロセスは、治療の目的に応じて以下のステップで進められます:

1. 凸凹の解消
最初に、歯並びを整えるための動きを行います。この時点で、隙間が一部閉じることがあります。

2. 前歯の後方移動
前歯を後ろに引く動きにより、残った隙間を徐々に埋めます。

3. 最終調整
噛み合わせのバランスを取りながら、隙間を完全に閉じて治療を仕上げます。

各ステップを着実に進めることで、理想的な歯並びを実現できます。

こちらのブログもご覧ください:歯を抜いた場合の矯正治療の進め方【ワイヤー矯正編】

抜歯後の隙間が埋まらない理由

基本的に抜歯後の隙間は全て埋まりますが、以下のような場合、閉じきらないことがあります

◾️矯正装置の使用方法の不備
マウスピース矯正装置の使用時間や方法が守られていない場合、計画通りに歯が動かず隙間が閉じないことがあります。

矯正装置の使用方法の不備

◾️歯石の影響
歯と歯の間に歯石(歯の汚れの塊)がたまると、隙間が閉じる邪魔になることがあります。

歯石の影響

◾️急ぎすぎた治療
隙間を急いで閉じようとすると、かみ合わせが崩れ、力が均等にかからなくなる場合があります。

適切な力と期間で治療を進めることが隙間をきれいに閉じるポイントです。

急ぎすぎた治療

抜歯を伴う治療選択肢

抜歯を伴う治療は、以下のようなケースに適応されます

◾️歯列矯正のためのスペースが必要な場合

◾️出っ張った前歯を下げる必要がある場合

◾️上下のかみ合わせのバランスを大きく修正する必要がある場合など

抜歯を避ける選択肢もありますが、スペースが十分に確保できないと仕上がりが理想的にならないこともあります。そのため、治療方針は歯科医とよく相談することが重要です。

大宮SHIN矯正歯科では、初診カウンセリングを行っております。

抜歯についてご不安のある方、そもそもご自身の歯並びは抜歯が必要なのか気になる方、ご安心いただけるまでしっかりとご説明いたします。ぜひお気軽にお越しください。

矯正相談

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

開咬 25歳 女性 治療期間:2年1ヵ月

2024.12.03UPDATE:2024.12.07

前歯が咬んでいないことを気にして来院された患者様です。非抜歯で、IPR上下の歯をヤスリがけ)して、マウスピース型矯正装置インビザライン)を使用し、咬み合わせを改善しました。

主訴:前歯が咬んでいない

診断名:開咬

初診時年齢・性別:25歳・女性

治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:非抜歯

治療期間:2年1ヶ月

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:92万円程度(税別)

詳細はこちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

叢生・上下顎前突 16歳 男性 治療期間:2年

2024.12.03

ガタガタと口元を気にして来院された患者様です。抜歯上下左右第一小臼歯)をして、表側矯正ワイヤー)を使用し、ガタガタを改善した後、歯を抜いたスペースをクローズしました。その後、インビザラインに移行し咬み合わせを改善しました。

主訴:ガタガタと口元が気になる

診断名:叢生・上下顎前突

初診時年齢・性別:16歳・男性

治療装置:表側矯正(ワイヤー)、マウスピース型矯正装置(インビザライン)

抜歯or非抜歯:抜歯(上下左右第一小臼歯)

治療期間:2年

リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り

費用:82万円程度(税別)
詳細は
こちらをご覧ください

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

初診相談予約 電話 LINE お問い合わせ
初診相談予約24時間OK 症例を見る LINE予約ご相談OK お問い合わせ