こんにちは。
さいたま市 大宮SHIN矯正歯科 歯科衛生士のSです。
実際に当院で歯列矯正の治療を受けられた方の症例をご報告します。今回のブログでは、開咬症例(前歯が開いている状態)についてお伝えしていきます。
【開咬(前歯が開いている状態)とは】
開咬とは、口を閉じた状態で、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合っておらず、常に上下の前歯が開いている状態のことです。別名、「オープンバイト」とも言われます。
開咬の原因は、「遺伝的な原因」と「後天的な原因」に分けることができます。
遺伝による開咬は、顎の骨の形態に問題があり、顎の成長とともに進行していくのが特徴です。一方、後天的な開咬の場合は、乳幼児期の指しゃぶりや舌を前に出して前歯に押し当てたり、前歯で舌を軽く噛んだり、舌を出したりするクセなどが主な原因となります。
【開咬(前歯が開いている状態)のデメリット】
開咬は前歯が閉じないため、見た目だけでなく様々な問題を引き起こします。
①食事の問題
前歯で食べ物を噛み切るのが難しいのが大きな問題です。噛み切るのに不自由をすると、しっかり噛まないまま飲み込んでしまうクセがつき、胃腸に負担がかかります。
また、前歯が噛み合わないため、常に奥歯で噛みます。そうすると、顎の関節・筋肉も疲労しやすいため、顎関節症になる確率が高くなります。さらに、奥歯に必要以上の負担がかかるため、奥歯の詰め物・被せ物が外れやすくなったり、奥歯が破折したりする場合もあります。
②発音の問題
常に上下の前歯に隙間ができているため、話をするときに息が漏れて不明瞭な発音になってしまいます。特に、サ行・ザ行が聞き取りにくい発音になってしまいます。
③ドライマウス
開咬の方は唇を閉じにくく、開きがちになります。唇が開いている時間が長いと、ドライマウス(口のなかが常に乾燥した状態)になり、唾液の分泌量が減少します。そうすると、口腔内に細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭を招きやすくなります。
【ご来院の理由】
29歳、女性の患者様です。
矯正治療後の後戻りが気になるということでご来院されました。こちらの患者様は、約10年前に他院でブラケットでの矯正治療が終了しています。その際に、上下左右1本ずつ、計4本抜歯をしたそうです。
ところが、矯正治療が終了して7~8年経過した頃から前歯が咬み合わなくなってきたことが気になり始めました。さらに、ここ数カ月で前歯のズレが大きくなってきたことをきっかけに、以前通っていた矯正歯科医院に相談に行ったそうです。その際に、再度ブラケット矯正で治療することを提案されました。
しかし、歯磨きの大変さや装置の見た目が嫌だということで、ブラケット矯正をもう一度行うことに抵抗がありました。そのため、マウスピース型装置(インビザライン)の治療経験が豊富なドクターがいる矯正専門医院で再矯正をしたいとのことで、当院の無料カウンセリングを希望されました。
患者様が歯磨きや装置の見た目を気にされていたため、当院では歯磨きがしやすく、目立ちにくいことが特徴であるマウスピース型矯正装置(インビザライン)での矯正をご提案しました。
また、こちらの患者様が後戻りしてしまった理由として「舌を前に出してしまう癖」がありました。そのため、当院では矯正治療と併用して舌癖の改善も行いました。
【治療開始・治療経過】
1回目のアライナー(=マウスピース)は全部で37枚です。
アライナーの交換は、装置に慣れるまでは10日交換で、慣れてから1週間交換で進めて頂き、約1年で終了しました。
こちらが1回目のアライナーが終了した際のお口の中の状態です。
全体的に並びも良くなり、前歯も咬んできましたが、左上の1番目の歯のねじれが少し残ってしまいました(写真2)。咬み合わせも、まだ奥歯が十分に咬んでいないようです(写真1・3)。そのため、追加アライナーで細かい所を調整していきました。
2回目のアライナーは全部で15枚です。
今回は初めから、アライナーは1週間交換で進めて頂き、約4ヶ月で終了しました。
こちらが2回目のアライナーが終了した際のお口の中の状態です。
1回目のアライナーで並びきらなかった上の前歯のねじれがキレイになりました!さらに、奥歯の咬み合わせも2回目のアライナーで改善されました!
【動的治療終了】
こちらの患者様は、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の使用方法や装着時間をしっかりとお守り頂けていたため、約1年6ヶ月で動的治療が終了しました。
こちらが動的治療終了後の正面から見たお口の中のお写真です。前歯の咬み合わせが改善され、しっかりと咬み合っています。さらに、上の歯の中心と下の歯の中心をそろえることで、見た目も美しく仕上がりました。
こちらが動的治療終了後の真横から見たお口の中のお写真です。横から見ても、前歯がしっかりと咬み合っています。さらに、出っ歯も改善されて全体の咬み合わせも良くなりました。
このような流れで、無事に動的治療は終了しました。
前回の矯正治療で、後戻りの原因となった舌癖を防ぐために当院では、動的治療後に使用して頂く「保定装置(リテーナー)」を工夫し、舌を前に出すことが出来ない、ガード付きのリテーナーを使用して頂きました。
【まとめ】
主訴:前歯が咬み合わない
診断名:開咬
初診時年齢:29歳
装置名:マウスピース型矯正装置(インビザライン )
抜歯or非抜歯:前回の矯正で抜歯
治療期間:1年6ヶ月
費用の目安:96万円程度
詳細はこちらをご覧ください
リスク・副作用:副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り