矯正治療と親知らずは関係ある?抜くか迷ったときに知っておきたいこと

2026.02.20UPDATE:2026.02.18

矯正治療を考え始めたとき、多くの方が同時に気になり始めるのが「親知らず」の存在です。
「矯正を始める前に抜いたほうがいいのか」「今は痛くないけれど、このまま残していて大丈夫なのか」など、判断に迷われる方は少なくありません。

親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれ、前歯から数えて8番目に位置する歯です。多くは10代後半から20代前半にかけて生えてきますが、生え方や位置には大きな個人差があります。
まっすぐ生える方もいれば、横向きや斜めに生える方、歯ぐきや骨の中に埋まったままの方、そもそも親知らず自体が存在しない方もいます。

そのため、矯正治療と親知らずの関係は一律に語れるものではなく、「現在の状態」と「将来的な影響」を踏まえて個別に判断する必要があるのが実際です。

親知らずが歯並びに与える影響とは

「親知らずが前の歯を押して、歯並びが悪くなる」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。

実際、横向きや斜めに生えた親知らずが、手前の第二大臼歯を圧迫し、その力が前方へ伝わることで、前歯のガタつきや歯列の乱れにつながるケースは存在します。
特に下顎の親知らずが横向きに埋まっている場合、奥歯から順に力が加わり、結果として前歯が重なり合うことがあります。

ただし、親知らずが歯並びを悪くする「唯一の原因」かどうかについては、専門家の間でも見解が分かれています。
親知らずは左右で最大2本ですが、その前には14本の歯が並んでいます。2本の歯が14本すべてを大きく動かすほどの力を持つかどうかは、慎重な評価が必要です。

現在では、親知らずは歯並びに影響を与えることがある「要素のひとつ」ではあるものの、歯列の乱れは顎の大きさ、歯のサイズ、成長過程、舌や口周りの筋肉の影響など、複数の要因が重なって起こるものと考えられています。

矯正治療前に親知らずを抜くべきケースとは

歯並びの乱れの原因となっている場合

親知らずが横向きや斜めに生えており、実際に手前の歯を押している状態がレントゲンやCTで確認できる場合は、矯正治療前に抜歯が推奨されることがあります。

矯正で歯並びを整えても、奥から押す力が残っていると、治療が計画通りに進まなかったり、治療後に後戻りが起こるリスクが高まるためです。

歯を動かすスペースを確保したい場合

前歯のスペース不足が大きいケースでは、奥歯を後方へ移動させてスペースを作る治療計画が立てられることがあります。
このとき、親知らずが残っていると奥歯を下げられる距離に制限が生じるため、スペース確保を目的として抜歯が選択されることがあります。

将来的な後戻りリスクを避けたい場合

現在は問題がなくても、歯胚(歯の芽)が横向きに埋まっている場合、将来的に移動して歯列へ影響を与える可能性があります。
矯正治療後の安定性を重視し、予防的に親知らずの抜歯を提案するケースもあります。

矯正治療でEラインはどこまで変わる?見た目だけで判断しないために

矯正治療でEラインはどの程度変化するのでしょうか。
見た目だけにとらわれないための考え方を解説します。

► 記事を読む

親知らずを残したまま矯正治療ができるケースもある

まっすぐ生えていて問題がない場合

上下の親知らずが正しい位置にまっすぐ生え、噛み合わせや清掃性にも問題がない場合は、必ずしも抜歯をする必要はありません。
他の奥歯と同じように、噛む機能を担う歯として残すことができます。

埋まったままで影響がない場合

歯ぐきや骨の中に埋まったままで、炎症や痛みがなく、歯並びや噛み合わせへの影響が少ないと判断された場合は、経過観察となることもあります。

親知らずは基本的に矯正装置を装着する対象外の歯であり、治療中に生えてきたからといって、必ずしも矯正をやり直す必要はありません。

矯正治療中に親知らずが生えてきた場合

矯正治療中に親知らずが生えてきても、多くの場合は治療を継続できます。
ただし、奥歯を後方へ動かす必要がある場合や、手前の歯に干渉する生え方をしている場合には、途中で抜歯を検討することがあります。

重要なのは、矯正治療の進行状況と親知らずの位置関係を定期的に確認しながら、必要に応じて治療計画を調整することです。

矯正方法によって異なる親知らずの考え方

ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正では、奥歯を後方へ移動させる治療計画が立てられることがあります。
その際、親知らずが残っていると歯の移動量に制限がかかるため、治療効率や仕上がりを考慮して抜歯が検討されるケースがあります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の場合

マウスピース型矯正装置(インビザライン)では、親知らずを基本的に動かさない前提で治療計画を立てることが多く、必ずしも事前抜歯が必要とは限りません。
ただし、スペース不足が大きい場合や後戻りリスクが高い場合には、同様に抜歯が検討されます。

親知らずを抜かないことで起こりうるトラブル

虫歯・歯周病のリスク

親知らずは最も奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
特に斜めに生えている場合、手前の第二大臼歯まで虫歯になるケースもあります。

智歯周囲炎

半分だけ歯ぐきから出ている親知らずでは、歯と歯ぐきの間に細菌が溜まり、炎症を起こすことがあります。
腫れや痛みを繰り返す場合は、抜歯が検討されます。

嚢胞の形成

埋まっている親知らずの周囲に嚢胞ができることがあり、無症状のまま進行するケースもあります。放置すると顎の骨に影響を与えることもあるため注意が必要です。

親知らずの抜歯を決断するときの判断ポイント

・痛みや腫れを繰り返していないか
・正しい向きで生えているか
・清掃が十分にできているか
・噛み合わせに悪影響がないか
・矯正治療の妨げにならないか

これらを、レントゲンやCTなどの精密検査をもとに総合的に判断することが重要です。

親知らずの抜歯に関するよくある質問(Q&A)

Q. 抜歯は痛いですか?
A. 処置中は局所麻酔を行うため、強い痛みを感じることはほとんどありません。

Q. 回復までどれくらいかかりますか?
A. 個人差はありますが、1〜2週間程度で日常生活に支障がなくなるケースが多いです。

Q. 神経麻痺のリスクはありますか?
A. CTで神経との位置関係を精査し、リスクが高い場合は方法を工夫して対応します。

Q. 矯正後に親知らずが生えてきたらどうなりますか?
A. 必ずしも歯並びが乱れるわけではありませんが、定期的なチェックが重要です。

大宮SHIN矯正歯科での親知らずと矯正治療の考え方

大宮SHIN矯正歯科では、「抜く・抜かない」の二択ではなく、矯正治療への影響と将来の安定性を重視した判断を行っています。
ワイヤー矯正・マウスピース型矯正装置(インビザライン)の双方に対応し、患者さまの生活背景も含めた治療計画をご提案します。

まとめ|親知らずと矯正治療は「個別判断」が大切

親知らずと矯正治療の関係は、人によって大きく異なります。
大切なのは、精密な検査と専門的な診断を受けたうえで、納得して判断することです。

「今抜くべきか」「将来に備えるべきか」迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)について

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)において承認を受けていない医療機器です。

本装置は、米国アライン・テクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン社を通じて、歯科医師の判断のもと正規ルートで入手しています。

日本国内には、マウスピース型矯正装置(インビザライン)として薬機法の承認を受けている医療機器が複数存在します。

なお、マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、1997年に米国食品医薬品局(FDA)により医療機器として認証を受けています。

治療にあたっては、効果や限界、考えられるリスクについて十分に説明したうえで提供しています。

著者情報

大宮SHIN矯正歯科 院長 矢野 晋也

経歴

2001年 日本大学歯学部卒業

2006年 日本大学歯学部矯正科大学院卒業

2008年 日本大学歯学部矯正科専修医

2010年 日本大学歯学部矯正科助教

2013年 大宮SHIN矯正歯科開業

2016年 医療法人社団バリュースマイル

     大宮SHIN矯正歯科理事長就任

 

資格・所属学会

歯学博士

日本矯正歯科学会認定医

日本矯正歯科学会会員

日本舌側矯正歯科学会

日本顎変形症学会

日本口蓋裂学会

日本成人矯正歯科学会

東京矯正歯科学会会員

さいたま市立植竹中学校 校医

日本歯科医師会

埼玉県歯科医師会

大宮歯科医師会

日本医師薬専門学校 非常勤講師(審美矯正学)

日本大学歯学部歯科矯正学講座 同門会 理事

指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)

顎口腔機能診断施設

歯科矯正診断指定施設

矢野晋也 歯学博士/SHIN矯正歯科院長

ブログ一覧へ

初診相談予約 電話 LINE 初診相談とは?
初診相談予約24時間OK 症例を見る LINE予約ご相談OK 初診相談とは?