歯の矯正を始めたのに、患者さまの個人的な事情で通院が難しくなり、治療が途中でストップしたまま、結果、やめてしまった状態になることがまれにあります。
折角はじめた矯正治療を、もし途中でやめたらどうなるのでしょうか。
目次
歯の矯正を途中でやめたくなるのはどんな時?
歯列矯正のための通院ができなくなる様々な理由の具体的な例は、このようなものがあります。
–モチベーションの低下
治療の進行が遅く感じたり、結果が思ったように出ないことで、モチベーションが低下し、途中で通院をやめてしまう人。
矯正器具による痛みやお口の中の不快感が耐えられず、治療が中断してしまう人。
–引越しや転勤
矯正治療には長い時間がかかるため、仕事、学業の都合でライフスタイルが変化でし、転勤や引越しによって通院が難しくなるケースがあります。
–健康上の問題
矯正中に妊娠やその他の健康問題が発生し、治療を継続できなくなることがあります。
矯正治療中に妊娠が発覚…詳しくはこちら
これらの理由から、矯正治療を始める前に自分の生活環境を十分に考慮することや、クリニックでの初診相談などで治療への疑問や不安をしっかりと解消することが重要となります。
あらかじめ歯列矯正の目的を明確にし、納得して治療を開始すると、矯正治療の中途での疑問や不安も軽減されるためです。
矯正治療は途中でやめられる?
矯正治療自体は、治療を希望をしていた患者さまの判断・意志が最優先されます。医師がその判断に対してどう考えるかは治療継続に対して義務を持ちません。
患者さまがどうしてもやめたいとご希望される場合には、中途半端な状態であれ、途中でやめることはできます。
しかしながら、当然中途半端な状態でやめてしまえば、歯並びへの悪影響が出るのみならず、様々なリスクも発生します。
歯の矯正を途中でやめてしまうとどうなる?
歯列矯正は段階的に歯を動かし、最終的に安定した歯並びとかみ合わせを作ります。そのため、途中でやめてしまうと治療の効果が得られないだけでなく、さらなる健康上の問題を引き起こす可能性があります。
–かみ合わせの悪化
矯正治療を始めて1年くらいすると、前歯の歯並びがきれいになって見た目のコンプレックスが解消されてくるかもしれません。
しかし、そこで矯正治療をやめてしまうと、上下の歯のかみ合わせが整わないままになるため、不正咬合(かみ合わせの異常)の状態になります。
不正咬合は、お口の中だけでなく体にも様々な不調を引き起こす原因となります。
—顎関節への悪影響
上下の歯が均等にかみ合っていない状態だと、顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症は、顎の痛みや開閉時の異常音、頭痛などを引き起こすことがあり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
—歯や歯肉に負担がかかる
部分的にかみ合っていない歯があると、かみ合っている歯に力が集中します。その状態が長く続くと、その部分の歯にヒビが入ったり、歯茎が下がり、歯肉退縮や知覚過敏が起こる可能性も少なくありません。
–むし歯や歯周病になりやすくなる
矯正装置がついたまま矯正治療をやめてしまうと、歯ブラシが行き届かずむし歯や歯肉炎のリスクも高まります。
また、抜歯後の隙間や移動中の歯列に隙間があいたままで、、食べ物が挟まりやすくなります。
-歯の後戻り
矯正治療は、歯にゆっくりと力をかけて、理想的な位置に少しずつ動かしていきます。そして、移動した歯や顎骨が新しい位置に安定するまで、歯の移動にかかった時間と同じくらいの時間がかかります。
歯列が完全に安定する前に治療を中断すると、歯が元の位置に戻る可能性が高いです。矯正前の状態に戻るだけでなく、さらに悪化することもあります。
矯正治療で歯が動く仕組みについてはこちらをご覧ください。
-経済的な損失
治療をやめると、それまでに得られた矯正の成果が失われることになります。時間と費用をかけて歯を移動させたものの、治療を中断するとその努力が無駄になってしまいます。
もし再び矯正を始める場合、最初から治療をやり直す必要があります。この場合、再度時間や費用がかかるだけでなく、歯の後戻りによって以前の治療が無駄になる可能性もあります。
当院の場合、途中でやめてしまった場合の返金は・・・・・・・・・
基本的には、患者さまの都合で治療を途中でやめてしまった場合、治療費の返金は行なっておりません。
ただし、治療費を一括ですでにお支払済みで、通院が難しい遠方に引越しで転院するなど、やむを得ない場合は費用の精算を行い残りの治療費は返金することもありますので、ご相談ください。
矯正治療中に引っ越すことになった場合について詳しくはこちら
歯列矯正を途中でやめたくなったら
歯の矯正治療は段階的に歯を動かし、最終的に安定した歯列を作るため、途中でやめるとその効果が十分に得られません。
かみ合わせの悪化、歯の後戻りなどのさらなる問題を引き起こし、そして結局は再治療が必要になり、経済的にも損失が大きくなります。
もし矯正をやめたい理由がある場合は、勝手に通院をやめることは大変危険です。早めに治療を担当している歯科医師と相談し、最善の対応を見つけることをお勧めします。
長期的に見ると、治療を継続することで得られる効果は非常に大きいため、治療を途中でやめることなく最後まで続けることが重要です。
そのため、歯列矯正はライフスタイルや自分自身のモチベーションをしっかりと考慮した上で治療を始めることが大切です。