歯列矯正中に、ブラケットが外れてしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には、何度も外れてしまう人もいるようです。ではなぜ、ブラケットが外れてしまうのか具体的に説明します。

矯正装置がはずれることはよくある?

矯正装置が外れることは良くあるのか?ということに対しての答えは、「良くある」です。

特に、装置を装着した初期のころは矯正装置が外れやすい傾向にあります。

何度も矯正装置が外れると、歯科医院選びを誤ってしまったのかと不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

そもそも矯正装置の一つであるブラケットは、歯の表面に接着剤を使用してくっつけていますが、歯列矯正が終わったら全て外します。つまり、歯列矯正が終わったら全て外せるような接着力でくっつけています。

外したいときに外れないのでは困ってしまいますから、ある程度外れやすい性質を持っていると考えてください。

装置が外れる原因について

矯正装置が外れる原因はいくつか考えられますが、大きく分けて「患者さま側によるもの」と「医院側によるもの」の2つが考えられます。

患者さま側によるもの

過蓋咬合(ディープバイト)などの不正咬合が原因

ブラケットが外れやすい歯並びがあります。過蓋咬合(ディープバイト)という、咬み合わせが深く、上の歯が大きくかぶさっているために、下の歯がほとんど見えない場合です。

深く咬み合っていると、ブラケットを接着したときに歯に干渉しやすく、ブラケットが外れる原因になります。

接着面が天然歯(自分の歯)ではないことが原因

ブラケットを付ける接着剤は、銀歯と呼ばれるメタルクラウンやセラミッククラウンには接着しにくいという特性があります。

あまりにも何度も外れる場合は、仮歯に置き換える、接着剤の種類を変えるなどといった方法があります。

硬いものを食べたことが原因

おせんべいなどの硬い物を食べたり、弾力のあるものを咬みしめたりすると、想像以上の負荷がかかります。人間は自身の体重に相当する咬合力がありますので、ブラケットのある部分に必要以上に負荷がかかり、ブラケットが外れる原因となります。

食いしばり、歯ぎしりなどの癖が原因

食いしばったり、歯ぎしりなどで常に歯に負荷をかけている状態が続くと、天然歯がかけたり、すり減ったりする原因となります。歯列矯正中も同じで、食いしばり、歯ぎしりはブラケットが外れる原因となります。

無意識に触る癖が原因

矯正装置が気になって、無意識に舌や指で装置を触ってしまうことがあるかもしれません。必要以上の刺激は、接着力を弱める可能性があります。

プラークコントロール(歯磨き)ができていないことが原因

歯の表面にプラークが付着していたり、虫歯ができかけていたりすると、ブラケットの接着力も弱まってきます。矯正治療中は、装置の形状上プラークや食べ残しが付着しやすい環境ですので、より丁寧なブラッシングが大切になっていきます。

ワイヤー矯正治療中の歯みがきのコツはこちら

歯と接着剤の相性が悪いことが原因

人の性格や見た目が違うように、歯の性質も人それぞれです。まれに、特筆すべき原因がないにも関わらず、頻繁にブラケットが外れてしまう方もいらっしゃるようです。この場合、歯と接着剤の相性が悪いということになります。接着剤を変えることで解決できることがあります。

医院側によるもの

防湿・乾燥不足が原因

ブラケットを付ける接着剤は、乾いている面に対して効果を発揮します。歯面をしっかり乾かして接着しないとブラケットが外れる原因になります。

フッ素塗布

フッ素には歯面を強化させる役割がありますが、歯の表面がつるつるしているとブラケットが外れやすくなります。

そのため、フッ素塗布を行うタイミングや、接着剤の前処理(歯の表面をほんのわずかに粗造にする)を長めにするなど対策が必要です。

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ブラケットセットの様子です

何度も外れても大丈夫?

外れたあとに、かかりつけ医にてしっかり対処をすれば問題はありません。

問題となるのは、外れたまま放置をしておくことです。

その結果、後戻りが起きれば治療計画に支障がでます。

外れた時の対処法

矯正装置が外れてしまったら、応急処置として、歯科矯正用粘膜保護剤(保護用ワックス)を破損部に使用することができます。

破損の度合いや位置にもよりますが、ワイヤーを安定させたり、外れてしまった後の粗造な面から唇などの粘膜を守ったりすることができます。

応急処置として自分で接着剤を使用してつけるということはせず、外れてしまったブラケットは持参すると良いです。

再度使用できる可能性もありますし、破損の具合や程度を確認する材料にもなるからです。

万が一矯正装置が外れてしまったら、まずやるべきことは、かかりつけ医に連絡をすることです。

そのうえで、応急処置などの指示を仰ぎ、次回の予約を取りましょう。

それが一番の対処法となります。