今回は、受け口(反対咬合)を表側のワイヤー矯正で治療した症例をお見せいたします🧐🔅
同じようなケースでお悩みの方はぜひ、ご参考にしてみてください🤗
【反対咬合=受け口とは】
本来、上の前歯は下の前歯の上に2~3mm程度重なるものですが、反対咬合とは、それが反対になっている不正咬合です。下顎が上顎を受けるように噛み合わさるので、俗に受け口ともいわれています。
反対咬合の原因は様々ですが、大きく分けてふたつが挙げられます。
【反対咬合の原因】
- ①遺伝
受け口は、特に遺伝性の要素が大きい不正咬合です。
有名な例では『ハプスブルク家』のお話があります。
中世ヨーロッパのハプスブルグ家は、政治的な理由により親族同士の結婚が多く、子供は遺伝の影響を強く受けたようです。
ハプスブルグ家の肖像画には、下顎が大きく発達する様子の面々が多く描かれております。
このように、受け口は遺伝の影響を強く受けることが知られています。
ご家族に受け口の方がいらっしゃるか確認してみてください🧐
- ②舌癖
歯は上唇や下唇、舌などのさまざまな軟組織に囲まれています。
特に舌は口腔内で大きな力を持つ筋肉であり、この筋肉と頬や唇の筋肉とのバランス関係が良好に保たれることによって、歯は正しい位置に並ぶと考えられています。
これを『バクチネーターメカニズム』といいます。
反対咬合の方は、この舌の筋力が弱く、口腔底を横ばいに力なく広がっている様子が見受けられることが多いです。
下顎が発達していく成長期にこの舌の位置が正常な位置に収まっていないと、舌の前に押し出す力によって下顎はどんどん前方に押され、反対咬合になるケースがあります。
【ご来院の理由】
15歳、男性の患者様です。
受け口が気になるということでご来院されました。
こちらの患者様は、学校の歯科検診や、歯科医院でも反対咬合を指摘されていたそうです。✨歯並びを気にせずに笑いたい!✨とのことで、当院の初診カウンセリングを受けられました。
【矯正中の不安・装置選び】
治療を進めるにあたって、抜歯に抵抗があることと、治療期間を気にされていました。
幸い、反対咬合の原因が主に上顎前歯が過度に舌側傾斜(内側に入っていること)であったため、上顎前歯を唇側(外側)に出す治療を行い、非抜歯で治療を進めていくことになりました。
【治療開始・治療経過】
患者様のご希望もあり非抜歯で治療を始めました。
反対咬合の原因が、上顎前歯の舌側傾斜(内側への傾斜)によるところが大きかったため、上顎前歯を唇側傾斜(外側への傾斜)させることをメインに治療を進めていきました。
上顎の1本だけ内側に入っている前歯を前に出すための隙間を確保するためと、上顎前歯の唇側傾斜の両方を行うためにバネ(オープンコイル)を入れていきました。
【ワイヤー矯正中の豆知識】
☆バネ(オープンコイル)とは?
オープンコイルをワイヤーに通して歯と歯の間に装着することで、歯と歯を離す力が働きます。
ただし、双方の歯に力が加わるため、一方の歯を動かしたい時には注意しなければなりません。(反作用)
今回のように歯を並べるためのスペース確保のため、そして、それと同時に上顎前歯を表に押し出したいときによく用います。
矯正治療はこの反作用をうまく使いながら、また時にはこの反作用を打ち消しながら歯を動かしていくことになります。
【動的治療終了】
こちらの患者様は、通院間隔等しっかりとお守り頂けていたため、動的治療は約2年3か月でした。
こちらが治療終了時のお口の中のお写真です。
反対咬合がきれいに改善し、お口元の受け口な様子も整いました🤗🤗
患者様にも『口元を気にせず笑顔で写真に写ることができた!✨』と喜んでいただけました😊❤️
【まとめ】
主訴:受け口が気になる
診断名:反対咬合
初診時年齢:15歳
装置名:表側矯正(ワイヤー)
抜歯or非抜歯:非抜歯
治療期間:2年3ヶ月
費用の目安:88万円程度
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リスク・副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯、後戻り