こんにちは。さいたま市 大宮SHIN矯正歯科 歯科衛生士のOです。

最近よく耳にする格安マウスピース型矯正。当院で行なっているマウスピース型矯正装置(インビザライン)と同じマウスピース型矯正装置ですが、どのような違いがあるのでしょうか。私自身気になったので、比較・検討してまとめてみました。

マウスピース型矯正装置(インビザライン) と格安マウスピース矯正の違い


【全体矯正か部分矯正か】

マウスピース型矯正(インビザライン )と格安マウスピース矯正の最も大きく異なる点は、治療できる歯並びの範囲です。マウスピース型矯正装置(インビザライン) は前歯から奥歯まで全ての歯を動かして治療することができます。一方、格安マウスピース矯正は前歯(写真オレンジ色の上6本、下6本の範囲)のみの部分矯正です。

現在、当院ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)で対応できない歯並びはありません。中にはマウスピース型矯正装置(インビザライン )単独よりワイヤー矯正を併用した方が良い症例もありますが、抜歯が必要な症例や噛み合わせの治療もマウスピースでの治療が可能です。

格安マウスピース矯正装置は、抜歯を伴う治療や、大きく奥歯を動かす必要がある症例には適応外とのこと。噛み合わせなどの歯の機能の回復ではなく、口元の見た目を綺麗にすることを目的としており、プチ整形ならぬプチ歯列矯正といった印象を受けました。

【治療費】

次に大きく異なる点は、治療にかかる費用です。「歯の矯正をもっと手軽に」「格安」と謳っているだけあって、価格だけで見ると今まで高額な治療費が理由で、矯正治療を諦めていた方にとってはハードルがぐっと下がりますね。

格安マウスピース矯正装置が低価格の理由


【前歯のみの部分矯正】

格安マウスピース矯正装置の説明を読むと、「マウスピース矯正は奥歯を動かすのに不向き」と記載されていますが、そんなことはありません。マウスピース型矯正装置(インビザライン) の特徴のひとつアタッチメントを歯面に付けることによって、奥歯も含めた複雑な歯の移動を可能にしています。

【治療期間が短い】

マウスピース型矯正装置(インビザライン)の1人あたりのマウスピースの平均枚数は40~50枚。その分治療期間もかかります。格安マウスピース 矯正の料金表を見ると10回コースが最大なので、そんなにたくさんのマウスピースは使用しないようです。

格安マウスピース 矯正の治療期間が短期間で設定できる理由は、「自分が満足したところで治療が終わる」という点ですが、逆に満足できなかったら治療が終わらず追加料金がかかることになります。

【マウスピースの作り方】

マウスピース型矯正装置(インビザライン )は1回のスキャンで、歯型のデータを元にマウスピース型矯正装置(インビザライン) の過去の膨大な症例をもとに治療のシミュレーションし(クリンチェック)、それを元にドクターが治療計画をたて複数のマウスピースができあがります。

当院の待合室のモニターでは、工場で実際にマウスピースが製作されている様子が動画が流れています。ご来院の際にチェックしてみてくださいね。

一方、私が調べた格安マウスピース矯正装置は国内でひとつひとつのマウスピースが、歯科技工士によってデザインされ製作しているようです。マウスピース型矯正装置(インビザライン) は海外で製作されているのでその分輸送費などがかかります。そういった点が価格に反映されているのかもしれません。

部分矯正なら格安マウスピース矯正の方がお得?


実はマウスピース型矯正装置(インビザライン) には2つの種類があります。通常の歯列全体の矯正治療を行う、マウスピース型矯正装置(インビザライン・コンプリヘンシブパッケージ)とは別に、部分矯正専門の マウスピース型矯正装置(インビザライン・ライトパッケージ)があります。

もともと「前歯の部分矯正で」と考えている場合は、マウスピース型矯正装置(インビザライン ライトパッケージ)より格安マウスピース矯正のほうが費用面でみると安く治療できますね。しかし、初めから部分矯正だけで理想的な歯並びになる症例は多くはありません。

歯は、上下左右・前歯と奥歯の噛み合わせ、歯列全体で支え合って成り立っています。もちろん歯並びの見た目も大事ですが、口は、話す・食べる・体のバランスをとるなど機能面で重要な役割がたくさんあります。歯の噛み合わせは生きていくうえでとても大切です。

歯並びは自分でデザインできるものではありません。部分矯正の適応例ではないのに、無理やり前歯だけを動かして、歯列のバランスが崩れてしまった場合、う蝕(虫歯)、歯周病、肩こり、肥満などさまざまな原因になります。

※部分矯正についての関連ブログ

【部分矯正】後悔しないために治療前に知っておきたい5つの確認ポイント

矯正歯科医院選びは慎重に


・キレイライン矯正

・マウスピース矯正ローコスト

・DPEARL

・ビフォーデント

・ピュアライン矯正

・oh my teeth  などなど、、

昨年くらいから、かなりたくさんの格安マウスピース 矯正の広告を主にSNS上で目にします。コロナウイルスのせいでマスク生活を余儀なくされていることもあって、マスクをつけている間に矯正治療して歯並びを綺麗にしようと考える人が多いようです。

そうした中で、安く気軽に矯正ができる格安マウスピースは今のニーズに非常に合っているのかもしれませんが、日々、矯正の知識に触れている私からするとメリットばかりではなくデメリットの方も気になってしまいます。

矯正治療する場合は、低価格や短期間といった言葉に惑わされないで、慎重に医院選びをしていただきたいと思います。