歯列から飛び出している八重歯を矯正で治療しようと考えている方は「どうやって歯の凸凹をきれいに並べていくのかな?」と疑問に思いませんか?

八重歯とは?犬歯のこと?

八重歯 抜歯

八重歯とは、他の歯と重なるように生えていて、歯列の外側に出てしまっている歯のことをいいます。

犬歯とは、対になっている前歯から数えて三番目の尖った歯のことをいいます。糸切り歯とも呼ばれますね。

-八重歯の原因

乳歯から永久歯へ生え変わるタイミングが遅かったり、遺伝的な要因があります。

犬歯は他の歯より生えてくるのが遅いので、顎の成長不足で犬歯が萌出するスペースが残っていない場合、唇側に飛び出して生えてきてしまうことがあります。

そのため、犬歯が八重歯であることが多く、八重歯を犬歯のことだと思っている方が多いのですが、必ずしも八重歯=犬歯ではありません。

下の写真のように、前から2番目の歯(側切歯)が八重歯のこともあります。

八重歯はなぜダメなの?

八重歯は立派な「不正咬合」と呼ばれる悪い歯並びです。八重歯をそのままにしておくと健康面で様々な悪影響を及ぼします。

-むし歯になりやすい

八重歯の多くは他の歯と重なっており、歯ブラシが行き届かないのでどんなに歯磨きを頑張っても、磨き残しができてしまいます。

徐々にそこから虫歯・歯肉炎・歯周病のいずれかにかかり、結局は抜けてなくなってしまうのです。

よーく考えてみると、高齢で八重歯の方って思い浮かびますか?笑ったときに八重歯がのぞく「八重歯がチャームポイントのおばあちゃん」っていないですよね。

今は何ともなくても、八重歯を残しておいてもいずれ抜けて無くなってしまいます。

-口内炎になりやすい

とがっている八重歯は、口の中を切ったり、頬をかんだりしやすいので、口内炎ができます。また、口が閉じにくいので、口腔内が乾燥しドライマウスになりやすく、それは口臭の原因にもなります。

-他の歯の破折・動揺・知覚過敏

八重歯に多い犬歯は、他の歯より長くて丈夫な根を持っており、歯の中で最も寿命が長い歯です。犬歯ならではの大切な役割がたくさんあると言われています。

動物の犬歯は食物を捕らえ切り裂くための歯ですが、人間の犬歯は前歯と奥歯の橋渡し、または補佐的な役割を果たしています。

顎を左右に動かしたり上下の歯を噛み合わせたときに、犬歯は前歯と奥歯にかかる負担を和らげたり軽減してくれます。

しかし、犬歯が八重歯の場合、歯列から飛び出ていてかみ合う歯がありません。そのため、本来ならば犬歯が担う役割をほかの歯たちに分散させることになります。

それは他の歯にとって負担が大きく、それを放っておくと歯が割れたりひびが入ったり知覚過敏になることもあります。

また、犬歯が正常な歯列にないことで、歯の根にかかる負担が歯周病を進行させたり、顎関節症を引き起こすことも少なくありません。

歯を抜かずに八重歯を治療した症例

歯を抜かずにIPR(歯のやすりがけ)のみで、マウスピース型矯正装置(インビザライン)で八重歯を改善した症例を紹介します。

  • 主訴:八重歯
  • 診断名:八重歯・叢生
  • 初診時年齢:16歳
  • 治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)
  • 抜歯箇所:なし
  • 治療期間:1年9ヶ月
  • 費用:979,000円(税込)
  • リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、後戻り

歯を抜いて八重歯を治療した症例

むやみやたらに健康な歯を抜くことはしませんが、症例によっては歯を抜いて八重歯を治療することもあります。

その場合は、八重歯を抜くのではなくすぐ後ろにある第一小臼歯を抜いて歯列に隙間を作り、歯並びを整えていくことが多いです。

  • 主訴:八重歯と前歯が咬んでいないことが気になる
  • 診断名:叢生・開咬
  • 初診時年齢:23歳
  • 治療装置:表側矯正(ワイヤー)
  • 抜歯箇所:上下左右第一小臼歯
  • 治療期間:2年2ヶ月
  • 費用:946,000円(税込)
  • リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、後戻り

八重歯を抜いて歯列矯正した症例

歯の状態によっては犬歯を抜歯して八重歯の治療をすることもあります。

  • 主訴:八重歯
  • 診断名:叢生
  • 初診時年齢:24歳
  • 治療装置:マウスピース型矯正装置(インビザライン)
  • 抜歯箇所:上顎左右犬歯、下顎左側側切歯
  • 治療期間:2年1ヶ月
  • 費用:1,001,000円(税込)
  • リスクと副作用:痛み、歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、後戻り
  • こちらのページから当院で治療した八重歯の症例の詳細が見れます。

八重歯を抜かない方が良い理由

上記で述べたように、八重歯に多い犬歯はお口の健康を維持していくためには大事な歯です。

犬歯を抜歯してしまうと、他の歯が犬歯の役割を負担することになり、歯周病や虫歯、知覚過敏などの原因や、顎関節症などになる可能性があります。

歯の状態によっては犬歯を抜くこともありますが、歯並びを短期間できれいにするセラミック矯正などで被せ物をするために、歯列からはみ出している八重歯を抜いていてしまうことはおすすめではありません。

八重歯の歯列矯正の治療方法はひとつではありません。八重歯を改善したいと考えている場合は、まずは、矯正歯科医院で相談してご自身の八重歯にあった治療方法を提案してもらいましょう。