こんにちは 大宮SHIN矯正歯科の院長の矢野です。
歯並びの治療のために、むし歯でもなんでもない、健康な歯を「抜く必要があります」と聞くと驚いたり不安になったりしますよね。
目次
歯列矯正で抜歯する目的
–歯を正しい位置に並べるスペースを確保するため
3人がけのベンチがありました。
そのベンチに3人以上で座ろうとしたり、かなり身体の大きい人が座ろうとしたら、他の人の膝の上に座ったり、端の人は半分お尻がはみ出した状態で無理やり座るしかないですよね。
歯並びの場合、ベンチを顎に置きかえてみます。顎の大きさに対して1歯が大きすぎると、顎から歯がはみ出したり重なり合ってしまいます。
そのため、顎の大きさに合った歯並びにするためには歯を抜くしかないのです。
–横顔の改善
ベンチに座り切らないのなら、ベンチを大きくすればいいじゃないかという考えが浮かぶ方もいるかもしれません。
実際に非抜歯矯正と呼ばれ、歯を抜かずに歯列を拡大したり後方に歯を移動させて、歯が並ぶスペースを確保する方法もあります。
しかし、顎のベンチ(=歯列)は直線ではありません。馬蹄形といったりU字型をしています。
歯並びのガタガタが少ない方は歯を抜く必要はありませんが、適応でない非抜歯矯正の場合、正面から見るとガタガタの無い綺麗な歯並びになったとしても、横から見たら口元が盛り上がっていて、上下顎前突という新たな不正咬合になってしまう可能性があります。
歯列矯正で抜歯する確率は?
日本人は欧米人と比較すると、人種的に顎の幅や奥行が小さく、さらに鼻も低いため余計に口元が出ている様に見えてしまうという顔の骨格的な形の特徴があります。
つまり、欧米人と比較して日本人の患者さんの矯正治療は断然難しく、歯列矯正が必要な患者さんの約7割が抜歯をしなければ健康を兼ね備えた理想的な歯並び・咬み合わせに治らないことが多いと言われています。
歯列矯正のために抜歯する歯はどこ?
矯正治療で抜歯が必要になった場合、必ずこの歯を抜くという決まりはありません。
お口の中のレントゲンと頭部のセファロを見て、むし歯の有無や治療の跡、歯の状態や上下顎の位置を確認して、最も適している歯を抜歯します。
矯正する前に親知らずの抜歯は必要?
初診相談でよく受ける質問で、「矯正する前に親知らずは抜いておいた方が良いですか?」と効かれることがあります。
歯列矯正のために抜く歯が一人一人異なるのと同様に、親知らずも残しておいた方が良い症例と、抜いた方が良い症例があります。
親知らずが生えている向きに問題がなく、虫歯や歯周病で他の永久歯が無くなってしまったり、生まれつき永久歯が少ない状態なら、親知らずを残して矯正治療を行います。
一方、親知らずが歯の動きを邪魔してしまう場合や、親知らずが横から生えていたりと歯並びを悪くする原因になっているときは、矯正治療のために親知らずを抜歯する必要があります。
歯列矯正で抜歯したくないという方へ
矯正治療とは健康と美しさのために歯並びと咬み合わせを治す医療行為です。患者さん1人1人の歯並びによって、その目的を達成するためには、抜歯が必要な場合とそうでない場合があります。
当院では、患者様の治療計画を立てるとき、可能であれば抜歯をしない方法を選択します。逆に、抜歯が必要な場合には歯を抜かずに治療することはおすすめしません。
すべての患者さんを非抜歯矯正で対応するというのは、難しいことです。歯を抜かないことを優先させて矯正治療を行なった結果、歯茎が下がってしまったり、せっかく矯正をしたのにすぐ元に戻ってしまったりするデメリットもあるのです。
抜歯と非抜歯どちらの治療計画が、患者さんにとって最終的なゴールが良いものになるかということを考え、判断し治療計画を立てていきます。