バイトランプとは

バイトランプとは、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の上顎のマウスピースの前歯の裏側に付いている膨らみのことです。電気のランプ”lamp”ではなく、”ramp”傾斜、タラップという意味のランプです。

咬合斜面板という矯正装置があるのですが、その機能をつけたマウスピース型矯正装置です。

このバイトランプはアタッチメントとは異なり、歯自体には何も付かず出っ張りの中は空洞です。

バイトランプをつける効果

このバイトランプをつける目的は、主にかみ合わせの調整のためです。

歯全体を覆うマウスピースで歯列矯正をはじめると、マウスピースの厚み分、かみ合わせが変わります。

前歯と奥歯ではかむ力が奥歯の方が強いので、マウスピースを外した状態で奥歯をかんだ時にマウスピースの厚さ分、上下の奥歯の間に隙間が開いてしまい、奥歯がかみにくくなる可能性があります。

特に、歯を食いしばる力が強い方は、かむ力で奥歯が歯茎の方に埋まってしまい、上下の奥歯が離開する傾向にあります。

その状態を防ぐために、前歯の裏側にバイトランプを設置して、先に下の前歯がバイトランプにあたるようマウスピースを設計しています。

マウスピースの厚みでかみ合わせが変わっても、前歯と奥歯が均等にかみ合うことができるよう、基本的に大宮SHIN矯正歯科ではマウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療する場合、ほぼ全ての方の上にバイトランプが付きます。

バイトランプを付ける期間はどのくらい?

バイトランプが付いている期間は、歯並びによって個人差があります。最初のマウスピースからバイトランプがついているケースもあれば、途中からバイトランプがマウスピースにつくこともあります。

バイトランプは痛い?

歯の裏側に付くバイトランプは目立たず、治療中の見た目には影響はありません。

しかし、バイトランプがついたマウスピースを装着しはじめた患者さまから、「前歯の裏に段差が付いていて、口を閉じた時に下の前歯がうまくしまえず、無理やりしまおうとすると痛い」という声をいただくことがあります。

マウスピースが歯に馴染むまでは、違和感や痛みを感じることがあります。また、喋りづらかったり滑舌が悪くなる可能性がありますが、これらはマウスピースのつけ始めだけで、次第に慣れて痛みも感じなくなっていきますのでご安心ください。

それでも我慢できない痛みがある場合は、遠慮なく医院にご相談ください。

バイトランプを用いた症例紹介

最後に、バイトランプを使用した治療症例を紹介します!

上下の歯をかみ合わせた時に、下の前歯が上の前歯に隠れてしまうほど深いかみ合わせの歯並びを、歯科専門用語で過蓋咬合(かがいこうごう)と言います。

バイトランプは過蓋咬合の治療にも効果を発揮します。

矯正治療を始める前は、下の前歯が上の前歯に隠れるほど深くかみ合っていますが、バイトランプが付いているマウスピースで治療することで、過蓋咬合がしっかりと改善されています。

過蓋咬合をそのままにしておくと、奥歯の負担が大きいので顎関節症や、虫歯の治療で歯に被せたかぶせものが外れるリスクが高まります。また、下の前歯の先が上の歯茎にあたり傷つけてしまう可能性もあります。

バイトランプがついたマウスピースの初回装着時は、前歯の裏側の出っ張りに多少違和感を感じるかもしれませんが、歯並びを改善するために、マウスピースの正しい装着方法と指定された装着時間を守って、矯正治療を進めていきましょう!