歯の矯正治療は、すべて永久歯(おとなの歯)に生え変わった状態で行う「おとなの歯列矯正」と、まだ乳歯(子どもの歯)が残っている年齢から始める「子どもの歯列矯正」があります。

おとなの矯正治療は、永久歯に生え変わっていれば何歳からでも始めることができますが、子どもの歯列矯正は始めるタイミングがよくわからない方も多いのではないでしょうか。

いずれ生え変わる子どもの歯の矯正治療をする必要があるのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、お子様の矯正治療について、始める時期やその目的、メリットについてお伝えします。

子どもの歯列矯正の開始時期はいつから?

子どもの矯正治療を始める時期の目安は、上下の大人の前歯と第一大臼歯(6歳臼歯)が生えているかどうかが基準になります。

大人の前歯と第一大臼歯はだいたい6~7歳頃に生えてきますので、お子様の歯並びが気になる方は、上下の前歯が大人の歯に生え変わる7歳あたりで、いちど歯科医院を受診し子どもの矯正治療を受ける必要があるか専門医に判断してもらうと良いでしょう。

歯が生え変わる順番→https://www.acte-group.com/view/30

10~11歳頃になると、歯の生え変わりや骨の成長がかなり進んでしまうため、子どもの矯正治療ができないことがあります。その場合は大人の歯が生え揃うのを待ち、大人の矯正治療を行うことになります。

子どもの歯列矯正の目的

子どもの歯列矯正は、大人の歯がきちんと生えてこられるように、顎の骨の成長を促したり、上下の顎の骨のずれを治すことを目的に行う治療です。

20歳を過ぎると、顎の骨の成長がほとんど止まってしまっているため、その時の患者様の骨の状態に合わせて歯を並べていくことしかできません。

それに比べて、お子様の場合は顎の骨の成長が活発なため、骨の位置や形をある程度コントロールすることができ、より理想的なかみ合わせを目指すことができるというメリットがあります。

例えば、上顎の骨が前に出ている「出っ歯」のお子様では、下顎の骨を前方に成長させることで上下の骨の位置を改善し、出っ歯をなおすことができます。

また、顎の骨が小さく大人の歯が生える隙間が足りないお子様では、骨を横に大きく成長させる装置を使用して、歯が生えるための隙間づくりをしてガタガタをなおすことができます。

■小児矯正治療で使用する矯正装置

■成人矯正治療で行うこと

成人矯正治療の場合は骨の位置や形を変えることができないため、歯を抜くことで出っ歯やガタガタをなおすことが多くなります。

子どもの歯列矯正で注意するべきこと

顎の骨の位置を正しい位置に誘導することでより良いかみ合わせを作ることができたり、歯を抜くリスクを減らすことができたりと、多くのメリットがある子どもの矯正治療ですが、いくつか注意点があります。

まず一つに、子どもの矯正治療では、乳歯と大人の歯が混在しているため、大人の矯正のように全ての歯に装置をつけることができません。後から生えてくる大人の歯も含めて、全ての歯をきれいに並べるためには、子どもの矯正治療の後に、仕上げの大人の矯正治療を行う必要が出てくることがあります。

もちろん子どもの矯正治療のみで歯並びがきれいに整う方もいらっしゃいますが、大人の歯の生え方によっては、仕上げの大人の矯正治療をおすすめすることがあります。

二つ目の注意点は、骨の成長を完全にコントロールしきれない可能性があることです。

例えば「受け口」のお子様の場合、小児矯正治療である程度骨の位置をなおしても、体の成長に合わせて下顎の骨が成長し、再び「受け口」になってしまうことがあります。その場合は、矯正治療と骨の手術を合わせた外科矯正治療が必要になることもあります。

小児矯正治療の注意点につきましては、治療の前に必ず担当医から説明があります。仕上げの成人矯正治療が必要になる可能性や、骨のコントロールのしやすさには個人差があるため、治療開始前に担当医からきちんと話を聞き、納得した上で治療を始めることをおすすめします。

子どもの歯列矯正のメリット

お子様の顎の骨の成長を利用して、骨の位置や形をある程度コントロールすることができ、より理想的なかみ合わせを目指すことができます。

子どもの歯列矯正のデメリット

骨の成長を完全にコントロールしきれない可能性があり、子どもの矯正治療の後に仕上げの大人の矯正治療を行う必要が出てくることがあります。