こんにちは。大宮SHIN矯正歯科 院長の矢野です。

「○円で矯正が気軽にできる」「歯列矯正が短期間ですぐにできる」「自宅で歯並びが治る」などの広告を目にしたことはあるでしょうか。従来の矯正治療のイメージを覆すような、過度に価格の安さや治療期間の短さを強調する広告等には注意が必要です。

皆さんは風邪を引いた時に、薬局で風邪薬を買って飲みますか?それとも病院へ行きますか?これを歯列矯正に置き換えると、風邪薬が格安マウスピース矯正で、病院が矯正専門医が行う矯正治療です。まったくの別物ですね。

では、どのような歯科医院で矯正治療を受けたら良いのでしょうか?可能であれば当院を受診していただきたいところですが、遠距離にお住まいの方など通院が難しい方は、少なくとも以下の点を満たしている医院での受診をおすすめします。

【矯正専門歯科かを見分ける3つのチェックポイント】


【ワイヤー矯正によるリカバリー治療ができる】

格安マウスピース矯正ではすべての歯並びを治すことはできません。万が一、マウスピース矯正では治らないという状況になったときに従来型のワイヤー矯正によるリカバリーをする必要性がでてきます。

マウスピース矯正はやっているが、ワイヤー矯正はやっていないという歯科医院は注意が必要です。

【セファロレントゲン撮影検査を実施している】

日本臨床矯正歯科医会では安心して矯正治療を受けていただけるように、基準を提示しています。(参考:https://www.jpao.jp/

セファロレントゲン撮影検査に基づく矯正治療を推奨しています。歯根の露出や顎への弊害を回避するためにセファロレントゲン撮影検査をしている歯科医院での受診が大切です。

〈当院のセファロレントゲン(左)〉

【適正価格の医院を選ぶ】

矯正治療の相場は、大人の場合70~90万円です。(裏側矯正は100万円以上します)自費診療なので歯科医院によって料金に差がありますが、相場の範囲を超えた低価格で矯正治療を行っている場合は注意が必要です。

それでも、中には“安いに越したことはないよね?”と思う方もいるかもしれません。しかし、安いのにはそれなりの理由があります。企業努力では解決できないコストカットをしている場合、矯正治療の成功から遠ざかるのは自明の理です。

取り返しのつかない事態に発展することがありますので、矯正治療前にしっかりと知識を得ておくことが重要です。

【矯正治療で起こる可能性のあるトラブル】


【食事がしづらくなった】

オーバージェット&オーバーバイトは2㎜が基本です。2㎜でないと前歯で物を噛んで食事をすることができません。オーバージェット&オーバーバイトの位置関係を無視した矯正治療を受けると食事がしづらくなります。

【顎が痛くなるようになった】

矯正治療では、歯並びのデコボコをきれいに並べながら、以下のような奥歯の位置関係の構築を行います。

デコボコを取り除くことができたとしても、下記の2例のような位置関係になってしまうと顎に負担がかかり、将来的に顎関節症などになってしまいます。

出っ歯になってしまった】

デコボコをきれいに並べるだけの治療計画だと、出っ歯になってしまうことがあります。特に、抜歯をしない治療計画の場合は出っ歯になる可能性が高く、注意が必要です。抜歯を伴う治療計画は難易度が高く、経験豊富なドクターでないと治療できません。

【いつまで経っても治療が終わらない】

格安マウスピース矯正は限定的にしか歯を動かすことができませんので、治療に限界があります。治療期間をいくら伸ばしたところで、限界を超えたゴールを設定している場合、治療は終わりません。

【歯茎が下がった(歯根が露出した)】

セファロレントゲンを撮影し、顎の位置・大きさを考慮した治療計画を立てずに治療をしてしまった場合、歯茎が下がってしまう(歯根が露出してしまう)ことがあります。歯の根と骨の位置や厚みをしっかり確認した上での矯正治療を受けることが大切です。


格安マウスピース矯正できれいな歯並びを獲得できるケースが全く無いとは言い切れませんが、目立つ前歯の歯並び以外に、気が付いていないだけで、かみ合わせに問題がある場合が多くあります。それを無視した治療を行った場合、上記のようなトラブルに発展してしまうことがあります。

まずは、ご自身の全体的な歯並びの状態を把握することが重要です。当院のカウンセリング を受けて、もっと簡単に歯並びが綺麗になると思ったのに…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、価格や期間優先ではなく、患者様の健康を害さない最適な治療方法をご提案していきます。