スマイルダイレクトクラブとは？

スマイルダイレクトクラブ（SmileDirectClub）という会社を知っていますか？歯列矯正に興味がある方は知っているかもしれません。

アメリカの遠隔歯科を行っていた大手の法人です。
日本ではまだ未上陸ですが、アメリカやカナダでは利用者が多い人気の歯列矯正サービスです。

「歯医者に行かずマウスピースでできる矯正」いわゆる「セルフ矯正」がそのサービス内容で、マウスピースは当院でも提供をしているマウスピース型矯正装置「インビザライン」のOEMを行っていたアライン社と提携をしていました。

アライン社のマウスピース型矯正装置（インビザライン）が、歯科医師によって処方され、基本的に全体矯正が対象となり、治療期間もおおよそ２年前後…

一方、スマイルダイレクトクラブは、軽度の前歯だけの部分矯正を対象としているため、標準治療期間は6カ月、さらには治療期間にほとんど専門の医師を介さないことにより、2,000USD前後（約30万円）とかなりお安めの内容となっています。

マウスピースの歯列矯正が気になっているけれど「節約したい…」「短期間で終わらせたい…」
そういう需要に応えた、ある意味合理的で画期的なサービスではあったのだと思います。

スマイルダイレクトクラブの株価暴落破産宣告

そんな中、今月（2023年10月）の頭にスマイルダイレクトクラブに関する、このようなニュースが飛び込んできました。

…内容だけをご覧になると、メリットが大変目立つので、株式が上場された直後には利用者数は大変増えていましたが、その後年々減り続け、先日には株価が急落し、破産法11条適用を申請しました。

同社はIPOで13億5000万ドルを調達してから4年後に破産を申請したことになり、期限までに債権者への返済計画を練りながら営業を続けている状態です。

では、何故画期的な歯列矯正サービスを行っていたスマイルダイレクトクラブは、破産をすることになったのか…

出典：bloomburg

「短期間」「気になる部分だけ」「お安めに」

様々な要因があるため、どれか一つとはいいがたいですが、ここではスマイルダイレクトクラブが行っていた歯列矯正サービスの中身について考えてみましょう。

こちらは、実際にサービスを受けた方のブログ内容です。

【雲行きが怪しくなって来ました】Smile Direct Club 使用3ヶ月が経ってみての正直な感想

こちらを拝見すると、「短期間」「気になる部分だけ」「お安めに」を実現するために、スマイルダイレクトクラブは、

  • ◾️かみ合わせまでは考慮しない
  • ◾️トラブルが起きた時に矯正歯科の専門医に即時相談できない
  • ◾️カスタマーサポートの質が担保できていない

 

など、肝心な「健康」「安全性」を疎かにしてしまっていたことが伺えます。

スマイルダイレクトクラブが利用していたのはアライン社のマウスピース型矯正装置（インビザライン）にも提供されていたマウスピースのOEM。

一見、大手でも利用しているような品質の良いマウスピースが最後まで作られれば、その通り歯にはめていくだけなので、矯正医は不要に感じるかもしれません。

しかし、矯正途中にイレギュラーなトラブルはつきもので、いざという時に即時に的確に対応ができる歯科医師が傍にいるかどうかは、歯列矯正の上では最重要と言えます。


歯列矯正は審美だけでなく、健康と安全が深く関わっています。

実際スマイルダイレクトクラブのサービスはトラブルが多く、矯正中の歯が骨から外れてしまったケースも見られますし、当然訴訟問題も抱えています。

歯列矯正専門医のもとでなら、そのようなリスクはよほどでなければ考えられません。

アライン社のマウスピース型矯正装置（インビザライン）とスマイルダイレクトクラブをはじめとする他の矯正装置との違いは、利用者の健康と安全に対する姿勢もあるのではないでしょうか。



このニュースから紐解くマウスピース型矯正装置とは

マウスピース型矯正装置のメリットは、従来のワイヤー矯正と比較すると、目立ちにくい見た目だけでなく、虫歯ができにくい、痛みが少ない、通院頻度も少なめ（患者さま自身に委ねられる部分が多いため）、矯正中のストレスも比較的低いなどがあります。

しかしながら、利用者に委ねられ、通院頻度が低い分、いざという時の的確な医療フォローがなければ、安全で安心な矯正も担保できないのです。

アライン社のインビザラインやスマイルダイレクトクラブのようなマウスピース型矯正装置は、同じ事象は日本でもあります。

安価・短期間を謳ったマウスピース型矯正装置の矯正サービスは、WEB上で様々広告が散見されます。
様々なニーズに合わせたサービスがあること自体は、歯列矯正を検討している方にとっても選択肢が増えることは良いことではあります。

しかしながら、歯を動かすということは、当然健康上の安全と安心も常に気配りが大切です。
その矯正サービスは本当に安全なのか、歯列矯正の知識や経験が豊富な矯正専門医が担当をして、貴方の歯列矯正を常にケアできる状態なのか。矯正治療中のフォロー体制は万全なのか…

せっかくの歯を失って後悔をしないように、実績ある歯列矯正のサービスを選ぶようにしましょう。