さいたま市 大宮SHIN矯正歯科 院長の矢野です。
歯茎が下がることによって、歯が長くなったように見える現象を「歯肉退縮」といいます。年齢と共に、歯茎は次第に下がると言われます。これは、生理現象ですので仕方のないことです。しかし、歯茎が下がる、歯肉退縮の原因は加齢だけではありません。
年齢を重ねるにつれて自然と下がってくる歯茎に、他の要因が重なると、歯肉退縮はさらに悪化してしまいます。そこで、歯の矯正治療で、歯肉退縮のリスクを減らすことができます。
目次
歯肉退縮の主な原因3つ
歯ブラシが強く当たりすぎている
歯並びが凸凹だと、凸の部分に歯ブラシが強く当たりやすくなります。歯自体には歯ブラシを強く当てても問題ありませんが、歯のそばにはデリケートな歯茎があるのです!自分では歯を磨いてるつもりが、柔らか~い歯茎に強くブラシを当てていたら歯茎が傷だらけです。
痛めつけられた歯茎は、本来あるべき歯茎のラインより下がってしまい「歯肉退縮」に。歯列矯正で歯並びがきれいになれば、歯ブラシが均等な力で当てやすくなります。
歯ブラシは決して「力で磨くもの」ではありません。力を入れてしまうと、歯ブラシの一番汚れを落としてくれる部分、「毛先」が曲がってしまい、「汚れ落ちの効率down⤵」「歯茎を傷つけて歯肉退縮のリスクup⤴」になっていいことがありません。
歯ブラシの持ち方を、ペンを持つように優しく握る、指の爪が力が入りすぎて白くなっていないかなど、気にしてみてくださいね。歯ブラシの仕方について、写真付きで解説しています👇
歯周病が悪化している
歯周病の悪化は、歯茎とその周辺の組織にダメージを与え歯肉退縮を招きます。歯周病の原因となる細菌を、毎日の歯ブラシでどれだけ減らすことができるかが、歯周病予防において、大きな力を発揮します。歯並びが悪いままだと、歯ブラシが行き届かないところがどうしても出てきます。
そもそも歯周病はどのように進行していくのでしょうか?
<歯周病が進行する仕組み>
歯周病の原因は細菌です。この細菌たち、酸素が好きではありません。口の中で酸素がより少ない場所、それは歯茎の奥深く...歯周ポケットの中です。ただただ歯周ポケットに細菌がいてくれるだけならいいのですが、ここからが歯周病菌の恐いところ。
歯周ポケット奥深くに辿り着いた歯周病菌は、悪さを始めます。さらに酸素の薄い場所を求めて歯周ポケットを破壊しながら、もっともっと奥深くへ…「歯を支えている顎の骨」までも溶かし始めます。骨が溶けて下がってしまうと、歯茎は単独でいられず、骨と一緒に下がってしまいます。
歯並びを整えることで、歯が磨きやすくなり歯周病や虫歯のリスクが減り、歯肉退縮も防ぐことができます。
咬み合わせで強く当たっている所がある
他の歯よりも噛んだ時に強く当たる所があるとしたら、要注意です。放っておくと、噛むたびに過剰な強い力がかかり、歯を支える骨が溶けてしまいます。骨が溶けてしまえば、歯茎も一緒に下がってしまいます。歯列矯正で噛み合わせも改善することができます。
ところで、まれに、矯正して「歯並びは良くなったけれど、歯茎が下がってしまった」という声を聞くことがあります。なぜ、矯正で「歯肉退縮」が起きてしまうのでしょうか?
矯正治療で歯肉退縮が起こる原因
矯正治療で歯にかけた力が過剰な場合
歯を動かすための力が過剰になりすぎると、歯を支えている顎の骨が吸収されて減ってしまい、それにともなって歯茎も一緒に下がっていってしまうことがあります。
通常の矯正の力がかかっているときは、引っ張られている側の顎の骨が吸収され、そのスペースに歯が移動⇨元々歯があった空きスペースに骨が新しく作られるという工程を繰り返しながら、少しずつ歯を動かしていきます。
しかし、この歯を動かす力が強すぎると、後半の「元々歯があった空きスペースに骨が新しくつくられる」という工程で、うまく新しい骨が作られず、その場所は顎の骨が少ないままになってしまいます。
歯肉は、顎の骨にくっついていますので、その少ない骨の部分に合わせて歯茎のラインも下がってしまうというわけです。
正しい歯列矯正の知識と治療経験豊富な矯正専門医の治療を受ければ、こういった歯肉退縮のリスクは減らすことができます。歯並びをきれいにすることは、「健康面でのたくさんのメリット」を得ることにつながります。ご自身の歯並びに不安がある方は初診相談をぜひご利用ください。