こんにちは。さいたま市大宮区にあるSHIN矯正歯科 院長の矢野です。

最近、お口の中や舌にできる癌「口腔がん」について、ニュースやメディアなどで連日話題になっています。

口腔がんの一番の原因は「喫煙」や「飲酒」といわれていますが、「悪い歯並び」や、合わない入れ歯や詰め物によって、いつも頰の内側など同じ場所が傷つけられてしまう、「慢性的な機械的刺激」による原因もあると言われています。

口腔がんの原因となる【かみ合わせ】


本来の正しい上下の歯のかみ合わせは、上の歯が下の歯より2〜3ミリ外側に並んでいます。前歯だけでなく、奥歯も同様に上の歯が下の歯より外側に2〜3ミリ外側に出ています。このかみ合わせが正しくない場合、頰や舌をかみやすくなり、慢性的な口内炎ができやすくなります。

歯列矯正治療を希望される方のほとんどが、歯並びの”見た目”を気にされていますが、こうした噛み合わせによるお口の中のトラブルを改善するために、歯列矯正治療が必要な場合も多くあります。

矯正治療と口内炎


不正なかみ合わせが原因で出来やすくなる口内炎ですが、悪い歯並びを治すために矯正治療をはじめると、矯正装置が口腔内にあたって口内炎ができやすくなることもあります。

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しかし、透明の取り外しができるマウスピース型矯正装置(インビザライン )を用いて矯正すると従来のワイヤー矯正と比較すると矯正治療中の口内炎のリスクが軽減されます。

口腔がんの早期発見の機会を逃さないために


口腔がんは癌の中でも、早期に発見しやすいと言われています。なぜなら、肉眼で観ることができ、手指で触診できるからです。口内炎は患部を触ってみると柔らかいのに対し、口腔がんの場合はしこりがあります。

それにも関わらず、今回のニュースでがんの発見が遅れたのは、口腔がんは癌の中でも珍しい癌であったためと言われています。口腔がんの治療を行うのは歯科医の中でも口腔外科の専門医です。毎日のように患者さまのお口の中を拝見していますが、矯正歯科医である私は、見慣れた口内炎が癌の初期症状かもしれないと疑うことは今までほとんどありませんでした。

2週間以上治らない口内炎や、痛みはないけれど潰瘍(かいよう)がお口の中に出来ている、また口内炎だけでなく、歯周病の症状と似たようなの原因不明の歯のぐらつきも口腔がんの初期症状にあると言われています。矯正治療中も歯が移動するため、歯がぐらぐらするような症状がでる場合があります。少しでも違和感を感じた場合は我慢や遠慮せず、当院のスタッフやドクターにお声がけください。

今回の報道で「口腔がん」という病に対しての意識が改まり、ありふれた日常の些細な症状が実は大きな病に繋がってしまう可能性があるかもしれないと、スタッフ一同気を引き締めて日々の診療に励んで参りたいと思います。