こんにちは。大宮SHIN矯正歯科 歯科衛生士のNです。

歯周病とは、歯を支えている歯茎や骨が壊されていく病気で、最終的に歯が抜け落ち失うことに繋がります。矯正治療というと、歯をきれいに並べ審美的な目的のための治療と思われがちですが、歯周病を予防し、身体の健康を保つための治療でもあります。

歯周病

日本は歯周病大国


日本人の歯を失う2大原因は主に「虫歯」と「歯周病」と言われていますが、近年では虫歯を上回って歯周病が第1位の原因となっています。30代以上の3人に2人が歯周病と言われ、もはや国民病と言われています。

歯周病は無症状のまま進行し、気づかないうちに悪化していることが多いので事前の予防が大切です。しかし、歯科医院で定期的な検診やメンテナンスをする人の割合がスウェーデンが80%アメリカが70%なのに対し、日本は16%と、他の先進国と比べて圧倒的に少ないのです。

逆に日本は診療目的のうち虫歯の治療が60%ほどを占めています。これは国民皆保険制度が関係しており、保険診療の少ない費用で歯の治療ができるからです。海外ですと保険に入っていない方が多いため、治療費がとても高額になってしまいます。そのため予防の方に力を入れているのです。

歯周病の原因と体への悪影響


口の中にはおよそ300~500種類の細菌がいます。これらは歯磨きが不十分だったり、お砂糖をたくさん取りすぎると、軽いブラッシングなどではなかなか落ちない粘着質の高い物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。

これが歯周病の直接の原因とされているプラーク(歯垢)といわれる細菌の固まりです。このプラーク中の細菌が、歯と歯肉の間に感染して毒素を出し炎症を起こします。取り除かなければ、硬く変化し歯石と呼ばれる物質になり、さらに細菌が入り込み歯周病が進行していきます。

歯周病の症状として近年では口腔内だけではなく、糖尿病や肥満、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、低体重児早産なども報告されています。水道の蛇口部分に錆があれば、水を流すとその錆が水道管全体を回っていくように、口腔内の歯周病菌は血管を回り、全身に影響を及ぼす可能性があります。

歯周病を口の中だけのトラブルだと思って、軽く考えてしまう方もいらっしゃると思いますが、体全身、様々な病気のきっかけの一つになったり、すでに抱えている疾患や持病を悪化させてしまうリスクをともなう恐ろしい病気です。

歯周病になりやすい歯並び


悪い歯並びは、虫歯になりやすいだけでなく歯周病になるリスクも高まります。そして、歯並びが悪いと、噛み合わせも問題がある方が多く歯肉がダメージを受けやすくなります。そこから炎症を起こすことで、歯周病になる可能性があります。

【歯周病になりやすい歯並び】

叢生(そうせい):ガタガタ の歯並び。歯ブラシが届かず磨き残しが多くなりプラークが蓄積しやすくなります。

前突:前歯が飛び出ていて口が閉じづらいと、口呼吸になる可能性が高くなります。口腔内が酸欠状態になると菌が増加傾向になり、歯周病菌が発生しやすくなります。

歯周病だと歯列矯正はできない?


すでに歯周病の場合は歯列矯正はできないのでしょうか。歯周病によっては、歯がグラグラして移動し、ずれてしまった噛み合わせを歯列矯正で正しい噛み合わせの位置に戻し、歯周病の悪化を予防することもあります。

歯周病専門家の間では、「規則正しい食生活が歯周病予防に繋がる」と言われています。よく噛んで食べると唾液がたくさん分泌され、お口の中の自浄作用が働き綺麗になります。そして満腹感も得られので肥満防止にもなります。

このような、歯周病の間接的な原因(リスクファクター)は様々な事柄が当てはまります。ストレスや喫煙、食生活といった「生活習慣」です。食生活のような生活習慣は意識することで改善できますが、よく噛んで食べるための歯並びや噛み合わせを自力では治すことは難しいですよね。

歯は一生使うものです。治療費が高いからという理由で矯正治療をためらっていても、歯周病で歯を失ってインプラントなどを入れることになった場合は、そこで結局、高額な費用が発生してしまいます。歯を失う前に歯列矯正で歯周病を予防して、全身の健康維持にも繋げましょう。