こんにちは。大宮SHIN矯正歯科 院長の矢野です。

歯は、骨や歯茎といった歯周組織によって支えられていますが、歯が移動するとこれらの組織も作り替わります。とくに矯正装置を外した直後の歯周組織はとても柔らかい状態で、固まるまで少なくとも1年間かそれ以上の時間がかかります。

そのため、歯周組織が完全に安定するまでの間、保定の装置(リテーナー )を使います。歯を支えている骨がしっかりと固まって初めて歯も安定したと言えます。しかし、歯周組織が安定しても歯が後戻りしてしまうことがあります。

後戻りする理由


噛み合わせ

「美しい歯並び」にばかり目が行きがちですが、後戻りを可能な限り防ぐためには「適切な噛み合わせ」がとても大切です。噛み合わせが悪いということは、噛む力を、すべての歯で受け止めていないということ。つまり、一部の歯に過度な力が加わっているということです。

そして、人間の身体は回復機能を備えているので、歯を動かすと元の位置に戻ろうとする力が働きます。「戻ろうとする力+一部に過度な力がかかる=後戻りを促進させる」という現象が起きるのです。

舌癖などの悪い習慣が治っていない

舌を前に出す癖や口呼吸、頬杖など、歯は唇や舌の圧による力が加わると、簡単に動いて後戻りを促進させてしまいます。そのため、治療中から歯並びに影響を与える日頃の何気ない癖をなくす意識づけが必要です。

歯周組織の変化

虫歯や歯周病による口内環境の悪化や、加齢によって歯茎が下がる、といった歯周組織の変化も、歯が動きやすくなる原因です。列矯正をしたことがなくても、だんだん自分の歯並びが変わってきていると感じる人もいるのではないでしょうか。

子供の矯正のみで治療が終わっている

子どもの歯の矯正のみで終わっていると、顎の成長や歯の生え変わりによって、口の環境が大きく変わり、歯の後戻りや予期せぬ位置に動いてしまうことがあります。引き続き大人の矯正をするかどうかの判断のひとつに、後戻りの可能性やその後の変化も考えておく必要があります。

後戻りしてしまったら


矯正治療後に後戻りした歯は、ほっておくとその後もどんどん動き続けます。違和感を感じたら、できるだけ早く、再び矯正歯科医院にかかりましょう。同じ先生に診てもらうことがベストですが、行きづらい場合もありますよね。

当院でも、他の医院で矯正治療を受けた方の再矯正治療も行っています。後戻りの原因、治療後の時間経過、再発した不正咬合の程度などを元に、それぞれの方の状況に応じて、改めて治療計画をたてます。

後戻り治療に選ばれるマウスピース型矯正装置(インビザライン )


いま後戻りで悩んでいる方が過去に行った治療はワイヤー矯正ではないでしょうか。再矯正を希望しているけれど、歯磨きの大変さや、装置が目立つという理由で、「もうブラケットは付けたくない」という患者さまが、当院のカウンセリングに多くいらっしゃいます。

そんな方におすすめなのが、マウスピース型矯正装置(インビザライン )による再矯正です。取り外しが簡単にできることがメリットですが、つい油断してリテーナー をサボったため後戻りしてしまった方にとっては、自己管理の必要性はデメリットになってしまうかもしれません。

しかし、マウスピース型矯正装置(インビザライン)とワイヤー矯正を両方経験した方からは、「装置の違和感がなく、ワイヤー矯正と比べて治療がとても楽だった!」といった感想の声をいただいています。

後戻り治療をマウスピース型矯正装置(インビザライン)で行った症例紹介


とはいえ、再矯正を行っても後戻りのリスクはあります。歯の後戻りを防ぐためにいちばん大切なのは保定装置の装着時間をしっかりと守り、定期的に検診を受けること。治療後の歯並びが後戻りせず、安定して持続することが、良い矯正治療の必須要件です。