最近、日経のウェブサイトなどにも取り上げられている中国開発の矯正治療器具「エンジェルアライン」をご存じでしょうか。

歯並びを整えるための専用のマウスピースで、主に開発された中国国内で利用をされていますが、アジア圏を中心に浸透しはじめているそうです。今回は「エンジェルアライン」についてご紹介をしていきます。

歯の矯正に使用される透明なマウスピース型の装置です。歯を段階的に動かすために多くのマウスピースを利用して歯並びを改善するように設計されています。
おおよその仕組みとしては、アメリカのマウスピース矯正装置(インビザライン)と同じイメージです。

今のところ大宮SHIN矯正歯科ではエンジェルアラインによる治療はできません。

マウスピース矯正装置「エンジェルアライン」とは?

「エンジェルアライン」は、2003年に設立された中国の企業「Angelalign Technology Inc.」によって開発・提供されている新しいマウスピース矯正器具です。

設立当初から透明アライナーの開発に注力し、2006年独自のクリアアライナー技術を中国にて特許取得の上商品化を開始。

中国内でで7割の市場シェアを得ており、売上高は毎年3倍のペースで増えています。というの知名度はアライン社の(インビザライン)と並ぶほどとなり、2021年6月に香港証券取引所に上場も果たしています。

マウスピース矯正装置「エンジェルアライン」が中国で広まった背景

-中国の歯列矯正事情

近年経済発展を果たし、IT関連でも先進的な技術力について評価をされている中国ですが、意外なことに14億超の人口に対し、歯科医師が少なく、さらに、矯正専門医においては約5,000人強しかいません。

ちなみに、日本は人口1.2億人に対して矯正専門医は約3,000人ほどです。当院の院長プロフィールはこちら。

先にお伝えした通り、中国は世界有数の14億超の人口があり、顎の比較的小さなアジア系であるため、歯並びの悩みがある人口も多く、不正咬合の全体的な有病率は2000年に67.82%。これは、中国国民の10人に7人が不均一な歯を持っていることを意味します。

矯正専門医の数が足りず慢性的にサービスの供給不足である状態です。また、中国も近年の世界的な潮流にもれずSNS文化も浸透しており、審美的な需要「矯正中と知られず歯並びを直したい」も当然高いです。

当然歯列矯正をしたいというニーズが人口比で多くあったにもかかわらず、それに十分対応ができていない状況が続いていました。

-需要の高い「マウスピース矯正装置」

エンジェルアラインの場合、患者さまのデータがあれば矯正の主要な計画は歯科医師ではなくエンジェルアラインを提供しているAngelalign Technology Inc.が作成をしてくれます。

歯列矯正専門でない歯科医師でも、治療過程はマウスピースを定期的に順番に交換していくだけですから、仕組みだけで見れば希望する患者さまに矯正治療を施すことができるのです。

また、中国は比較的外資系よりも自国法人へ国として後押しをする傾向もあり、比較的販路の拡大がしやすい土壌を作りやすい環境もあります。

そのため、一般歯科医でも取り入れられる目立たないマウスピース矯正装置で、尚且つ国産企業の「エンジェルアライン」は、中国内で人気も高まるのは必然であるといえるでしょう。

まさに中国版「スマイルダイレクトクラブ」のような感じです。

他のマウスピース矯正装置との違い

マウスピース矯正装置「エンジェルライン」の治療手順

①精密検査(最新型の3D口腔内光学スキャナーiTeroおよび歯科用の低線量CTなど)

②スキャン結果を矯正装置メーカーに送り、メーカーはデータから歯型を3Dプリントします。

③定期的な通院により矯正治療を行う。

患者さまにとって治療を始めるに当たっての手順は、一般的な他のマウスピース矯正装置でも見られる手順とほぼ同様となっております。しかしながら、違う部分が2つあります。

1.プラン設計の実施に関して

精密検査で患者さまの歯並びのデータを得たのち、アライン社のインビザラインを利用している当院の場合は、医院にて患者さまの治療プランを設計し、そのうえでアライン社にマウスピースの作成を依頼します。

理由としては当然に、シミュレーションと実際の矯正治療は異なるということです。過去の症例などを元に機械的なシミュレーションに手を加え、常に治療の際に微修正を加える技術があり、初めて安全で美しい矯正治療が完結します。

一方でエンジェルアラインの場合、メーカー側がプランの設計をします。サービスを提供している医院側は基本的にプランに修正を加えません。

これは中国の矯正治療の現状も関係すると思われます。矯正専門医が少ないため、このエンジェルアラインは一般治療を行う医院が窓口となることが多く、つまりは矯正治療自体の知識があまりありません。

データをとったものをメーカーにいる技術者がシミュレートしたものをそのまま利用する、という状態となります。

2.通院頻度

マウスピース矯正装置(インビザライン)を利用している当院の場合はおよそ1~3か月ですが、エンジェルアラインの場合は2週間に一度ほどのようです。
月の一度のワイヤー矯正と比較してもかなりの頻度での通院といえます。

マウスピースの素材の違い

見た目はほぼ同じです。透明なマウスピースにどちらも独自のアタッチメントがついています。
どちらの素材も耐久性と審美性に優れており、日常生活で目立たずに使用することができます。
ただ、マウスピースの素材が異なるようです。

①マウスピース矯正装置(インビザライン)の場合

アライン社が開発した特許取得済みのSmartTrackという素材を使用しています。この素材は、柔軟性が高く、歯にかかる力を均等に分散し、特に快適性と効果的な歯の移動を促進するために開発されており、多くの臨床研究でその効果が証明されています。

②マウスピース矯正装置(エンジェルアライン)の場合

エンジェルアライナーの素材も快適性と効果を重視していますが、具体的な臨床データや素材の詳細についてはあまり公開されていません。

独自のプラスチック材料: エンジェルアライナーも高品質のプラスチック材料を使用していますが、具体的な素材名や詳細は公開されていないようです。

マウスピース矯正装置「エンジェルアライン」のメリット

それでは、このマウスピース矯正によってどんなメリットがもたらされるのでしょうか。
主な内容は次の通りとなります。

-治療費が低価格

当院の場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の治療費は860,000〜920,000円(税込946,000円〜1,012,000円)です。(2024年6月現在)

エンジェルアラインは24,000~40,000元(約432,000~720,000円)ほど。中国でのインビザライン治療は40,000~80,000元(約720,000~1,440,000円)とのことなので、およそ半額と割安で治療ができています。
※2022/3時点・1元=18円強

審美欲求の高い中国の若者にとっては、やはり治療費が安価というのは手が届きやすいものでしょう。

マウスピース矯正装置(エンジェルアライン)で治療ができる医院は?

現状日本においてはエンジェルアラインで治療をできる医院を確認することはできません。(2024年6月現在)
しかしながら、中国では一大シェアがありますので、中国でならば治療は可能と思われます。
また、アジアにも拡大中らしいので、アジア圏で探してみるのも良いかもしれません。

【参考文献】

「見えない歯科矯正」中国トップブランド 時代天使(6699/HK)」ボルゾイ
「世界の子どもの歯科事情②」みろ歯科ブログ
「中国のクリアアライナー技術市場の将来」デンタルリソースアジア