最近日本に入ってきた、新しい歯の裏側につける矯正治療器具「ブラーバ」についてご存じでしょうか。

歯の裏側にワイヤーなどの矯正器具をつけて歯並びを整えていく治療方法を舌側矯正と呼びますが、
同じ意味合いでリンガル矯正や裏側矯正とも呼ばれています。

新しい舌側矯正器具「ブラーバ」とは?

正式名称「Brava by BRIUS(ブラバ バイ ブリアス)」は、アメリカのブリアス社によって提供されている歯の裏側に装着する新しい矯正器具です。

日本では2023年から提供している歯科医院があるようです。ちなみに、大宮SHIN矯正歯科ではブラーバによる治療はできません。

ブラーバ装置紹介動画 (出典元:Brius社公式youtubeチャンネルより)

ブラーバのオフィシャルページには「歯科矯正に対するまったく新しいアプローチです。矯正装置やアライナーではありません。」とありますが、イメージとしては舌側矯正の一種と考えて良いでしょう。

当院の舌側矯正について詳しい解説ページはこちら

「ブラーバ」と従来の舌側矯正との違い

舌側矯正は、その名の通り歯の裏側に装置をつけるために、矯正器具が目立たず、他の人に気づかれにくいこと、取り外しができるマウスピースでの矯正に比べ、装着時間や装置交換などを自己管理する必要がないことが特徴となります。

一般的な舌側矯正の場合、理想の歯並びに近い歯列の形の形状記憶ワイヤーを「歯列全体」に「横に渡す」ことで歯をつなぎ、そのワイヤーをブラケットで固定し、歯の動かして矯正していきます。

対して、ブラーバの場合は歯を「一本ずつ」理想の歯並びへの動きを想定した装置を「縦につなぐ」ことにより、矯正を促すこととなります。


装置本体は上下の歯の裏側の上部分の歯茎に装着し、そこからそれぞれの歯を固定する先端を歯の裏側につけ、個別に動かしていくイメージとなります。

装置利用の手順としては、次の通りです。
①矯正歯科で歯列の3Dスキャンなど撮影し、アメリカBravaのシステムにデータを送る
②Bravaシステムで自動構築された計画を矯正歯科医がカスタマイズし、患者様の装置を作成(装置は形状記憶ニッケルチタン製)
③チタン装置を医師に装着してもらう

マウスピース型矯正装置の中でも最もシェアの多い、アライン社のインビザラインの舌側矯正版のようなシステムとなっています。

舌側矯正器具「ブラーバ」のメリット

それでは、この新しい矯正技術によってどんなメリットがもたらされるのでしょうか。
主な内容は次の通りとなります。

出典元:「ブリウス・テクノロジーズ株式会社」のオフィシャルページ

-治療費が低価格

歯の裏側は表側に比べ状態が確認しづらいため、ワイヤーの調整を行うには高度な技術と経験が必要とされる専門性の高い治療です。

歯が窪んでおり、隣の歯との距離が近いので、既成のブラケットを歯に付けていくのではなく、一人ひとりの歯列に合わせてオーダーメイドで矯正器具を製作し歯に装着します。

そのため当院の場合、症例によって異なりますが、舌側矯正の治療費は、¥1,155,000(税込)〜です。他の医院も表側のワイヤー矯正と比較すると費用が高額になる場合が多いでしょう。
それに対し、日本のブラーバを取り扱っている医院では、70万円前後と比較的低価格となります。

裏側なので目立たない

歯の裏側に器具をつけるので、通常の舌側ワイヤーと同様、目立ちません。一見すると矯正をしているのかわからない状態で過ごすことができます。

-装着時間の管理がない

通常の舌側ワイヤーと同様、つけっぱなしで矯正終了まで過ごすことができます。

取り外しができるけれどその分、装着時間の管理やマウスピースの適合を気にする必要のあるマウスピースでの矯正が続かない人にはおすすめと言えます。

-フロスが通せる(絡まる可能性はあり)

通常のワイヤー矯正の場合、表側も裏側もワイヤーを歯列全体に横に渡して矯正をしているため、フロスを歯間に通すことが難しいです。

一方、ブラーバの場合は歯を「一本ずつ」「縦に固定して」矯正をしているため、歯間に邪魔をするものがなく、フロスを通しやすそうです。ただし、複雑な形状のワイヤーにフロスが絡まる可能性はあります。

-通院頻度が表側ワイヤーより少ない

ブラーバを使用した舌側矯正の通院頻度は2ヶ月に1回ほどが目安のようです。一般的な舌側矯正のように、月に一度ワイヤーを調整したり交換する必要がないため、通院頻度が少なくて済むそうです。

舌側矯正器具「ブラーバ」のデメリット

これほど画期的でメリットの多いブラーバですが、もちろんデメリットもあります。

-症例数が少ない

数年前から始まった、まだ歴史の浅い矯正技術のため、治療症例が少ないことです。

一般的に歯の矯正は治療完了までに1年半~2年はかかります。ブラーバの場合、公式サイトでは6~12ヶ月と記載がありますが、いずれにしても歯列矯正は時間がかかるため、安全が確保されると判断されうる治療症例数がこれまでの矯正器具に比べ、まだまだ少ないことも現実です。


一方で従来の矯正方法は時間はかかるものの、様々な症例に対しトラブルが起きた時の対応法の確立しているという意味では、安全性がより確保されているということが言えるでしょう。

-痛い、口内炎ができやすい

舌側矯正と同様に歯の裏側に装置をつけること自体は変わりません。そのため、舌側矯正に起こりがちな「口内炎」トラブルは起こりやすい状況となります。


また、ブラーバの場合、短期間での治療を謳っている分、当然従来の歯列矯正治療よりも、歯を短時間で動かすこととなります。

そのため装置をつけてすぐの際に、歯を強く動かすことから痛みを強く感じる可能性もあります。
痛みに弱い方は事前にブラーバで矯正治療を行っている歯科医院にて相談をすることをおすすめします。

-発音しづらい

舌側矯正と同様に歯の裏側に装置をつけること自体は変わりません。そのため、舌側矯正に起こりがちな「発音しづらい」トラブルは起こりやすい状況となります。

-微調整が難しい

ブラーバのシステムは最初の治療計画に沿って、治療が終わるまで一つの器具を交換することなく利用します。とはいえ、いくらAIの技術が進歩しているとはいえ、人間の歯が完全に予測通りに動くことは難しいでしょう。

そのため、治療計画通りに歯が動かなかった場合に、途中で歯の動きを微調整することができないようです。

-抜歯症例は向いてない

治療医院によっては、治療開始前に抜歯を提案される可能性はあるそうですが、歯を抜いて矯正する場合、抜歯した前後の歯が治療計画で想定された動き通りにならないことが多く、歯の動きの微調整ができないということは、抜歯症例も向いていないと言えるでしょう。

「ブラーバ」で舌側矯正ができる医院は?

2023年3月現在、ブラーバ矯正が出来る医院は渋谷・高田馬場・大宮・名古屋・心斎橋・梅田の6か所となります。当院近くの大宮では、大宮駅前矯正歯科クリニックで可能のようです。

歯列矯正の技術も常に日進月歩です。今やマウスピース型矯正装置は多くの方がご存じだと思いますが、患者様の治療をより良いものとするため新しい技術も常に開発され、提供されています。

歯列矯正の治療を検討している方は、ひとつの情報だけで決めずに、治療の内容や安全性などをよく吟味し、ご自身にとってより適した治療方法を選択していただきたいと思います。

【当院の舌側矯正の症例紹介ページ】

ガタガタ・20代・抜歯・舌側矯正

ガタガタ・20代・非抜歯・舌側矯正

ガタガタ・10代・非抜歯・マウスピース型矯正装置と舌側矯正の併用

【目立たない矯正治療をやりたい人用のリンク】

マウスピース矯正装置(インビザライン)

舌側(裏側)矯正

ホワイトワイヤー